2012-08-16

8/15(水) VOICEマル調 『本当に安心していい?食品の放射能安全基準をめぐる現状と不信感』


そろそろ瓦礫について第5弾をやって欲しいんやけどな。
放射能汚染食品については、慎重派の方なら既にご存知の内容ばっかりやけど
無関心層向けには広げて欲しい内容でもある。

追記:VOICEがアップされましたので、こちらも是非!
特命調査班 ~マル調~「果たして妥当か?食品の“安全基準”」

今回のテーマ:内部被曝

私たちが放射性物質を含む物を食べた際、体内から被曝をしてしまうという問題です。
福島の原発事故から一年経った今年4月、政府は放射性セシウムについて、
これまでの食品の安全基準をより厳しくしまして、
野菜や肉、魚といった一般の食品は100Bq/kg以下に、
乳児用食品や牛乳は50Bq/kg以下に設定しました。
国は100Bq/kgという基準値ですと、健康に影響はないとしているんですが、
一方でこの数値が本当に安全なのか疑問の声も上がっています。

『果たして妥当か?食品の安全基準』

今年5月から設けられた京都市民放射能測定所(京都市伏見区)

去年秋、福島県で収穫されたという玄米の中に放射性セシウムが含まれていないのか?
専用の器械で測定が行われ、30分後パソコンの画面に反応が。
「明らかにここにセシウムがあるので、あるのは間違いない」
玄米から国が定めた安全基準値100Bq/kgを超える129Bq/kgが検出された。
実は、この玄米は国の検査で既に異常が見つかっていた物だ。

京都市民放射能測定所の目的は、自分の目で測定の安全性を確かめる事。
検査費用は1回5,000円。価格は民間の検査機関の4分の1以下だという。
これまでに380品目が測定されているが、今のところ国の基準を上回る物は検出されていない。

奥森祥陽氏:
行政がやっている測定も基準値以下の場合は安全だという事で、数値公表がされていないとか、
そういった色んな事情があって、私たち自身としては、自分たちで測定をして、
その事で食品が安全なのかどうなのかを市民一人一人が判断出来るようにしたい。
知らず知らずのうちに汚染された食品を摂って、内部被曝しているという可能性もありますので。

─内部被曝とは
放射能に汚染された空気を吸ったり、放射性物質が付いた食品を食べる事で
体の中から放射線を浴びる事だ。
1986年に起きたチェルノブイリ原発事故後、
周辺の子供たちが甲状腺癌を発症するケースが急上したという。
その原因はミルクに含まれていた放射性ヨウ素と見られている。
内部被曝は大人と比べ子供への影響は大きいと専門家は指摘する。

村田三郎医師(阪南中央病院副院長):
子供さんの放射線に対する感受性を大人と比べると、
少なくとも癌とかになる危険性は、3倍は高いと言われている。
細胞分裂が活発な臓器ほど、放射線による染色体異常を起こしやすい。

去年3月の福島第一原発事故以降、食品の安全に対する不安は高まりを見せている。
これを受け、国は今年4月、放射性物質を含む食品のセシウムの基準値を改定した。
国は流通する食品は安全だと説明している。
この基準に基づき、生産者だけでなく、国や自治体も検査を行っているが、
不安を抱く消費者は少なくない。

─コープ甲南
客1:
安全と言う国の基準は信用してなくて、やっぱり汚染されてるには変わりないんで。

客2:
信憑性はないと思ってるんで信じてないですね。

─こうした消費者の要望に応えようと独自に検査を始めた小売店もある。

グリーンコープ 
(福岡県福岡市東区)
毎日およそ15品目を選び、放射性物質の測定を行っている。
国の基準の10分の1にあたる10Bq/kgを自社の安全基準としている。

グリーンコープ放射能測定室 真武史織室長:
ちゃんと自分たちが測定した事を公表して、組合員さんに判断して貰える。
その事のキャッチボールそのものが信頼関係に繋がっていると思うんで、
間違いなく放射能測定は、やる事に意味があると思ってます。

─国は独自基準を設ける小売店に100Bq/kg守る事を要望していた。なぜか?

─北茨城市(漁港) 殆どの魚は基準値以下
漁師1:
首都圏の方で茨城産とか福島県産の名前だけで売れない状態が続いている。

漁師2:
もう不検出ですよ。出ても20Bq/kgぐらい。魚は異常ないんだけど、困っちゃうもんね。
先が見えない状態だから。

─こうした風評被害を食い止めようと国は小売店側が独自の厳しい基準を設ける事を反対している

農水省 池渕雅和課長(食品小売りサービス課):
4月以降の検査で100Bq/kgを越える物が見られるようになっていまして、
それと共に風評被害で100Bq/kg以下であっても取引されないというような事例もあるようですので、
取引できないという支障が生じないように、国の基準に沿った取り組みを行って頂きたい。

─4月以降の検査で100をオーバーしたのは1100品目以上。全て市場に流通させていない為、
更に厳しい検査は必要ないと担当者は言う。

池渕:
国の基準は安全の側に立って、厳しい基準になっているという事で
100以内であれば、十分安全性が確保されている。

─国が安全とする基準、だがこの意見に異を唱える専門家もいる
ベラルーシの医師の報告から、日本の安全基準は十分でないと主張する。

京都大学大学院(放射線計測)河野益近氏:
体重1kgあたり50Bqを超えると、子供の臓器に障害が出るというレポートがあるので、
それを元に考えると、100Bq/kgなんてとてもとても子供に食べさせられないと僕は思う。
せめて(基準は)10Bq/kgにして欲しい、子供は。

小出裕章助教:
仮に10Bq/kgという線を引いたとしても、それが安全量なのではないのです。
100Bq/kgに比べれば、10分の1まで危険を落とせるという事だけであって、
危険は必ず伴っているのです。
(現在の基準は)もの凄い幅があるわけですから、100Bq/kgの中の、これは一体どこなのか、
99なのか、90なのか、一つ一つの食品に対して、きちっと測定をして人々に知らせて、
人々が選択出来るようにするという事が一番大切だと私は思います。


─放射能という見えない危険と私たちは今後、数十年間向き合う事になる。
食品は安全なのか。その不信感を拭い去るためにも万全な検査と情報開示が一層求められている。

大八木友之:
実に難しい問題です。
難しくさせているのは、例えば100Bq/kg以下の食品を生涯食べ続けて
健康への影響があったのか、なかったのか
そういった将来に渡ってのきっちりとした科学的なデーターがないからなんです。
十分か不十分か、この安全基準を巡る議論を私たちは真摯に重ねていくしかありません。



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