2014-09-11

2014.09.08(月) 報道ステーション「SPEEDI 縮小の理由は…」


9/8(月)報ステで、SPEEDIの解体・縮小案についてやってたんで文字にしとく。


古舘伊知郎:次は、このニュースです。

武内絵美:
原発事故と自殺の因果関係が初めて認められた判決を受けて、
亡くなった渡邉はま子さんの自宅を今日、東京電力の担当者が訪れて謝罪をしました。
こうした東電の対応は今後、ほかの自殺者遺族にどのような影響があるんでしょうか。


―2014.9.8(月) 福島・川俣町山木屋地区
東電 福島原子力補償相談室 近藤通隆:
私ども原子力発電所の事故によりまして、渡邉様の大切な奥様の尊い命を奪う結果になりまして、
私ども本当に大変申し訳なく心より深くお詫び申し上げます。
本当に申し訳ございませんでした。

ナレーター:
今日、東京電力は3年前の7月、自ら命を絶った渡邉はま子さんが暮らしていた家であり、
最後の場所となった川俣町山木屋地区の自宅を訪れ謝罪した。


渡邉幹夫さん:
皆さまがお出で下さっても、はま子は帰って来ません。それが何よりの残念です。
ただ、はま子も皆さんの本当に誠意ある謝罪の言葉を頂き、成仏できると思っております。


ナレーター:
訪れたのは福島原子力補償相談室長ら4人。
場所は渡邉さん自身からの要望に応える形で、今は避難指示解除準備区域で生活する事の出来ない自宅となった。


記者:東電に言いたっていうのは、どんな事?

渡邉幹夫さん:
国でも支援している原発政策、これはやっぱ全部をやっぱり廃炉にすべきだと自分は思いますね。
こんな福島の、この悲惨な事故また二度と起こさない為にも。


ナレーター:
東電は福島地裁からの4,900万円の賠償判決に対し既に控訴しないと発表をしている。
判決を受入れ遺族に謝罪した東電
この姿勢の転換は、ほかの自殺者遺族にも大きな影響があると担当弁護士は指摘する。



渡邉幹夫さんの代理人・広田次男弁護士:
これが、東電が控訴を断念せざるを得なかった、という形で、(判決が)確定したっていう事は、
極めて大きな意味を持つと。
(仕事上の損失だけでなく)故郷を失うという事は、非常に大きな意味合いを持ってるんだという事が
この裁判によって確定したわけでありますから、(福島県内の震災関連で)56人ともいわれております自殺者の方、
この中の未提訴の(遺族の)人々に対して、非常に大きな励ましになる事は言うまでもない。


古舘:
渡邉さんご夫妻は、ずっと長く川俣町の山木屋にお住まいだったんですね。
さぁそして、あの時、風はどう吹いていたか。


浪江町民:分かってれば、それはやっぱり放射能あるほうには行かないですよ。


古舘:
改めて、これをご覧ください。2011年の3月の15日ですね。SPEEDIです。


この時、2号炉方向から北西の風に乗って放射性物質が飛散されて行きました。
双葉町方向から更に北西
浪江町、果てはこのあとですね、飯舘村方向伊達市に至るまで、北西の風に乗って放射性物質が飛んで行った
ここで考えられるのは本来、逃げるべき人が逃げられずにいた
そして、被曝してしまったという多くの現実があるわけです。
そういう中で、この住民の被曝をとにかくこのようにさせないという事に予測システムSPEEDIという事は、
存在価値があるわけですが、あの時、公開されたのはずっとあとでした。
このSPEEDIが解体寸前になっています。
どうしてでしょうか。

ナレーター:
この図形、覚えている方も多いのではないか。

3年前の原発事故直後、大量の放射性物質が放出された3月15日

SPEEDIが出していた拡散予測だ。


北西方向に向かっている
これは、その後、実際の放射線量を測定したデータ。予測とほぼ重なる。


しかし当時、SPEEDIの予測は公開されず住民の避難に活用出来なかったとして問題となった。
なぜ公開しなかったのか


政府事故調査委員会でこの件も調査した吉岡教授。

九州大学副学長・大学院比較社会文化研究院 吉岡 斉教授:
防災よりも、パニックを起こさないほうが重要というような、そういう本末転倒の意識
やはり行政としてあるんだと思います。


―2014.9.3 ドイツ・オッフェンバッハ

ナレーター:日本政府とは違い、ドイツ気象庁は福島の事故後独自の拡散予測をインターネットで公開し続けていた。


ドイツ気象庁・放射能測定担当・トーマスシュタインコップ博士:
(放射性物質の拡散が)日本周辺で収まらないのがはっきり分かりますね。

我々はこれで16日後まで予測する事が出来ます。


ナレーター:事故から4カ月後、放射性物質の放出量が落ち着いてきた為公開をやめた。


トーマスシュタインコップ博士:日本から非常に多くの反応がありました。



ナレーター:
ドイツ気象庁に日本から届いた1万を超えるメール、その殆どが何故やめるのかというものだったという。

事故から3年目の今年2月末
全国からSPEEDI担当者が集められ会合が開かれた。
内部取材は拒否されたが、この席でSPEEDIの解体・縮小案が初めて示されたのである。


この時の内容を規制委員会が我々に明かしたのは、会議から3カ月も経ってからだった。


具体的には、事故に備え担当者が24時間泊まり込んでいた体制をやめる。
場所をとっていた大型コンピューターは小型化。
原発の地元自治体や関係省庁と繋いでいた専用回線は廃止するなどの縮小案だ。


これは、規制委がSPEEDIそのものに対する不信感を表したものだった。



―2012.12.20(木)原子力規制委員会 原子力災害事前対策等に関する検討チーム 第4回会合
原子力規制委員会 担当委員 更田豊志:
秋葉原で買って来る数万円のノートパソコンで、十分出来る計算をですね、
専用回線で流すっていう発想は、もう捨てるべきだと思ってまして。



ナレーター:
そして、10日前に出されたSPEEDIの来年度予算要求額は1億6,000万円
3年前の10億円と比べ大幅削減となった。

なぜ縮小させるのか


―2012.10.17(水)原子力規制委員会 第5回会議
更田豊志委員:まぁ要するに使えなかったと。で、これは私は誰だって使えないと思ってるんです。


ナレーター:
当時の政権は、放射性物質がどれだけ外部に放出されたか分からなかった為、
本来の予測計算が出来なかった事を理由に、避難に活用しなかったとしている。

しかし、放射性物質の流れる方向だけでも分かれば利用価値はあると政府事故調は報告している。
だが、規制委員会は今後、予測は住民避難の判断に使わないと結論付けた。
今後は実際に測定した放射線量を元に、避難の指示を出すとした。


吉岡 斉教授:
役に立つというふうに、私たちが報告したにも拘わらず、
「役に立たない」と簡単に根拠もなしに覆すというのは、良くないと思います。


ナレーター:
規制委は既に、政府の公文書からSPEEDIや放射能拡散予測という言葉を次々に消している

3年前SPEEDIを隠した政府は、今度も国民の知らぬうちにSPEEDIを葬り去ろうとしているのではないか。

冒頭で紹介した3月15日の予測図が残した教訓は何だったのか。

3年前、原発事故直後のSPEEDIの予測図。

3月11日から放出量を1Bqと仮定したいわゆる単位放出による予測が行われていた。

大量の放射性物質が放出された15日

それまで南向きだった拡散方向が午後から北西方向へと変わった。

この時、浪江町の多くの住民は北西方向に避難していた。

これが、実際の放射線量を測った図

線量が最も高いこの赤い部分に、浪江町の多くの住民が避難していた津島地区がある。


浪江町の住民:
なんか、外で、活性化センターの外で、おにぎりを握ったり、待ったりしてね、
そして、ズラーっと並んで、1個貰うのにズラーっと並んでね、そして貰って、
まぁ内部も外部も(放射線に)当たったと私は思ってます、今はね。


ナレーター:
住民は、知らされていれば逃げていたと振り返った。
SPEEDIの開発者茅野氏に話を聞いた。


日本原子力研究開発機構 茅野政道氏:
日本の場合ですと、地形が複雑なわけですよね。
住民付近と上空で風の流れが違って、全く違う方向に煙が流れたりですね、
そういう意味で、その計算シミュレーションというのは、それなりに意味があって、
重要だというふうに思ってます。


ナレーター:茅野氏は予測と実測の両方が必要だと考えている。更に…

茅野政道氏:
甲状腺による内部被爆の問題
これは、対策を放射性物質が飛来する前に取らないといけませんから、
それは例え、単位放出(1Bq)の計算であってもですね、来るか来ないかっていう事が分かるわけで、
なんで、そういう意味では、単位放出の計算であっても非常に重要だというふに思いますね。



ナレーター:
アメリカやフランス、ドイツ、韓国など海外の多くの国でもSPEEDIのようなシステムを運用している。
ドイツでは予測を重視している。


トーマス・シュタインコップ博士:
放射性物質の放出はあくまでも予測だ。
重要なのは、「いつ汚染された空気が広がるか」だ
(つまりどの地域に飛ぶかであって)放出量は、あとでいつでも訂正出来る。

ナレーター:アメリカの予測システムの専門家は…


アメリカ コーネル大学 エドウィン・ライマン博士:
(実測値の)線量が急上昇してから初めて町長が避難指示を出しても
住民はどこに避難したら良いか分からず「遅すぎた」という事になりかねない


ナレーター:
一方、予測を避難に活用しないと決めた日本政府
更に、疑問もある。
政府は、SPEEDIの計算プログラムの公開を検討しているのだ。
将来は、民間企業が予測を流す可能性がある。
つまり、予測の公表は民間に任せて国は放棄するのか。

吉岡 斉教授:
SPEEDIというのは、結局は防災に役立てるというような事が前提であって、
防災というのは、行政が主導でやるべきであって、
民間に開放するのは、それ自体は悪い事じゃないんだけれども、
避難指示や避難命令に繋げないという、そこが無責任ですね。


―スタジオ

古舘:
恵村さん、これはある見方をすれば再稼働に向けて新しい安全神話なのかと、
そういう疑いを持つんですけれども。

恵村順一郎:
ええ、全くその通りだと思いますねぇ。
SPEEDI神話が実測神話に変わるだけだと思うんですね。
震災直後にSPEEDIが上手く活用出来なかったのというのは、SPEEDIが悪いって事じゃないと思うんです。
使う側がですね、SPEEDIを使いこなせなかったという事だと思うんですよね。
災害時って情報は、いっつも足らないわけです。
実測値を測るモニタリングポストを増やしたとしてもですね、
データが常にいつもきちんと入って来るとは限らないわけだし、
それから、実際に放射能が汚染されたという事が分かってから避難したんでは遅いわけですよね。

政府は、原発再稼働させるって言ってますけども、だとするとですね、このSPEEDIも、それから実測もですね、
共に国民の安全を守る、命を守る為に重要なツールなんですよね。
ツールってのは、多いほうがいいわけです。
大事な事は、このSPEEDIにしても、実測にしてもですね、得られたデータをどう判断して
その結果をどういうふうに自治体や住民の方にお伝えしてですね、
実際の判断に使っていただくかという事で、その手順を普段からしっかり自治体や、それから住民の方ですね、
共有しておくという事が大事だし、定期的に訓練しておく事が大事だし、
それから、人材をですね、やっぱり判断する、育てておくって事がとても大事だと思います。


古舘:
恵村さん、これですと、恰もこの原発事故は起きないという前提に立ってるような気がしてきて、
もし起きないというんであれば、新規制基準に則れば安全だというんであれば、
そもそもが、この福島第一原発で起きた事故の原因をきちっと、
今は津波による破損というふうになってますが、そもそも地震破損説
津波が来る前に、一部機材が壊れたのではないか、1号機。
この疑念は払われてませんから、そこの原因をはっきりさせる事で新基準に行き、
そしてっていうなら分かるんですが、根本が今まだ証明されてませんね。

恵村:
そうですね、原因も分からないままでの再稼働。
これはもういかにも時期尚早だと思いますし、
今回の件も避難に責任持たないといってるに等しいと思うんですよね。
避難計画にも国はきちんと関わらないという事ですから、これで再稼働っていうのは本当に出来んのか。
やってはいけないと思いますけどね。


以上です。



惠村の発言はごもっともなんやけど、「当時の政権」とか「SPEEDIを隠した政府」とか、
番組のスタンスがなw
ハッキリと「当時の民主党政権」とか、「SPEEDIを隠した民主党」て報道できんか?w

既に8/25(月)にもSPEEDIの縮小や予算減は報じられてる。(一部抜粋)

SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)について
原子力規制委員会は来年度予算を半額以下に大幅減額する方針を固めた。
放射性物質の広がりを即座に予測するには技術的な限界があるため、
代わりに放射線量を実測するシステムを強化する。

実測システムの強化は、改定指針が周辺のモニタリングポストなどの値をもとに、
原発30キロ圏内の緊急時の避難を判断する方針に転換したのを踏まえた。
大量の放射性物質が放出されるおそれが生じた時点で、
5キロ圏は放出の有無にかかわらず即避難。
5~30キロ圏は屋内退避を原則とし、実測値をもとに避難の必要性とタイミングを
地域ごとに判断する。
不確実な予測よりも迅速で的確に対応できるとの考え方が背景にある。

朝日新聞デジタル:朝日新聞より
泉田知事もTwitterで指摘してた。
当然の指摘。実測値で避難しても意味ないからな。
しかも、モニタリングポストは地域によって設置の高さがマチマチで、なんでそんな上やねん?て
かなり問題にもなってたけど、場所によっては1m高さの推計値が示されてるとこもある。
モニタリングポストで線量上がってきたから逃げなあかん!とかあり得んな。

SPEEDI解体・縮小案の詳細は分からんけど、詳細の資料は一般には公表してないんかな?
色々調べてみたけど、それらしいものがなかった。
とりあえず、報ステでは4つだけやったけど、
「24時間常駐体制を廃止」については、平時の24時間体制を廃止するって意味なんかな?
緊急時の24時間も廃止って意味なんか、よう分からんな。
平時の廃止なら、別に廃止でも問題ないと思うけどな?

「大型コンピューターの小型化」は、更田が言うように、計算も配信も普通のPCで出来るやろ。
「自治体や省庁との専用回線を廃止」は、福島県知事のFAX云々で色々問題になってたけど、
要するに、自治体に連絡取れる方法は専用回線でなくても、ほかにあれば特に問題ないか?
「被曝量モニタリングデータとの分離」は、意味が分からん。
SPEEDIとモニタリングポストのデータて、そもそも別のもんちゃうんやろか?
具体的に、何をどう縮小するんか詳細が欲しいけど、
結局、事故った時の規模、風向きとかの情報が欲しいって事や。
被曝する前に避難したいのは当然やねんから、どう飛散して行くか知らせてもらいたい。
で、緊急時は各家庭にどう知らせるか?
災害時は、通信網が遮断されるから、被害が大きいとこほど音信不通で状況が分かり難い。
で、泉田知事がよう言うてたけど、どうやって避難すんの?
円滑な避難は可能なんか?
SPEEDIをフル活用したとしても、避難指示の問題とか、避難手段とか全然解決されてない。
次にどこかで事故が起こったら、避難指示なんか待ってないかもな?
またドイツ気象庁の情報のお世話になるんやろか?
SPEEDIに膨大な税金が使われきたのに、結局役に立たずに、次は縮小しますよって
惠村の言う実測神話か。

番組では、防災基本計画の修正前と修正後について「今年1月」としてるけど、
2/26の「原子力規制委員会防災業務計画の修正について」しか見つけられず。(内容は大差なし)


「ERSS」については、2年前の9月に決まってたみたい?
平成24年9月「緊急時対策支援システム(ERSS)における運用マニュアル(内規)

今後、事故が起きたらどうするか?の課題は山積みやけど、
福島原発事故はまだ過去になってへんしな?
あの時飛散した放射能は、まだ消えてないんやけどな?



以下、参照
平成26年9月10日(水) 第23回 原子力規制委員会

平成26年1月 中央防災会議

原子力規制委員会 平成27年度概算要求

原子力規制委員会 原子力防災ネットワーク 「環境防災Nネット」

原子力規制委員会 都道府県別環境放射能水準調査結果

東京電力 報道配布資料


東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会



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