2012-02-19

大阪維新の会・小出裕章氏講師「広域処理についての勉強会」

2月8日(水)、京都大学原子炉実験所にて「大阪維新の会」の30数名の大阪府議会の議員の方々が、
小出裕章氏を講師に、「広域処理についての勉強会」が開催された。
その内容を文字にしとく。(割愛あり)

幹事長
震災瓦礫の受け入れということで、真っ正面から向き合っている。
瓦礫の受け入れを前提として、どういう点を注意すべきか、
あるいはどういう点と向き合うべきかを教授して、大阪から新しい受け入れの方法を
学んでいきたいと思っている。

小出氏
私は実験所で熊取6人組と後ろ指を指されてきました。
なぜそんな名前にされたかというと、原子力開発に反対すると発言し続けてきたからです。
去年3月11日の出来事の中でも大変重要な問題だと思いますので
私がどんなふうに考えているかお聞き頂きたいと思います。

事務局の方から昨日メールが届きまして、
府の災害廃棄物処理指針について、専門家の立場から指摘しておきたい点

災害廃棄物の受け入れを前提とした場合の今後の課題、数値的な目安、
焼却灰の処分場の課題、海面処分の可否などについての話

○今後、災害廃棄物の受け入れを議会、行政が検討するに辺り、専門家として
伝えておきたいこと

この三つを皆さんにお伝えしろということだったようなんです。
まずは、一番目と三番目の点を聞いていただいて、二番目は一番最後に一言だけ。


─放射能の取り扱いについての話
放射能を取り扱う場合の原則は、放射能は生命体に有害である上、煮ても焼いても
なくならないという、そういうものをまず私たちが相手にしているということを
皆さんも分かっていただきたい。そういうものを扱う場合には、
拡散させないで現場で封じ込めるということが一番の原則です。
水で薄めてもいけないし、空気で薄めてもいけないし、
一カ所にある物をあっちこっちばらまくというようなことも本当はしてはいけない
なるべく封じ込めやすいように注意しなさいというのが、
私たちの放射能を扱う場合の原則でした。
瓦礫問題ということで、現在何が行われようとしているか、
皆さんご承知のように、福島、宮城、岩手、一部茨城にあるような瓦礫を
全国の自治体によって、現在ある焼却施設で焼きなさい。
大阪府の各自治体でも引き受けて、そこで焼けということなんですね。

二点目は、焼いた後に焼却灰が残るわけですが、その焼却灰は各自治体で処分をしろと。
これが国から言ってくることなわけですし、大阪府の皆さんそれぞれの自治体で、
どうしようかと悩んでいることだろうと思います。
私は、これはどちらも正しくないと思います。
国が今やれと言ってること、そして大阪府、あるいは自治体が受け入れようとしていることは
どちらも正しくない
現在ある各自治体の焼却施設は、放射性物質に対する考慮はありません。当たり前ですね。
私は、それを避難するつもりはありません。
各自治体の焼却施設は、元々放射能を取り扱うというのは全く考えてもいないという
そういう焼却施設なんですね。物を焼いて煙が出るだろうし、
灰はある程度捕まえるというような施設はあるでしょうけれど、
放射能を捕まえるというような設計は元々されていないものです。
そんな所で、このままの形で焼いてしまうということはやってはいけないと思います。

それから、焼却灰という物が出て、ものすごく放射能が濃縮されてきているわけで、
そういうものを普通のゴミと混ぜて捨てるなんてことはしてはいけません。
この実験所でさまざまな放射能で汚れたゴミは出ますけれども、
そんなゴミを普通のゴミと混ぜて、そこらの町の処分場に捨てるなんてあり得ないこと。
放射能で汚れた物は、放射能で汚れたゴミとして、お守りをしなければならない。
それなのに、焼却灰をそれぞれの自治体で勝手にあっちこっちに捨てる、
海面埋立にまで使ってしまうというようなことは、到底正しくありません
そこでまずは被曝ということがどういうことなのか、
原理原則に戻って聞いて頂こうと思います。

─被曝についての説明
どれぐらい被曝すると死んでしまうかなど、約100年ちょっと人間が経験してきた中で
分かってきた科学的事実。
それを証明したのが1999年9月30日に、茨城県の東海村臨界事故であった。
事故に遭った作業員の方の話。

放射線で被曝をするということはどういう事かというと、
皆さんも時々病院なんかでX線撮影を受けると思いますが、
例えば私が胸のX線撮影を受ける時は、
撮影台の前に立って、息を吸って止めて、ハイ、バシャっていって撮るんですね。
そのときに、私の胸の前には写真乾板があります。写真のフィルムがあります。
背中のほうからX線を私の体に向けて照射して、
X線が背中の皮膚を貫いて肉を貫いて、骨で一部が止まって、
また前の肉、前の皮膚を貫いて写真のフィルムまで届くということなんですね。
つまり、背中から全部の体がX線で貫かれているという状態なわけです。

放射線で被曝をした場合に表面の皮膚が死んでしまうと、
その下の組織も、もう実は死んでいるんですね。
ですから再生が出来ないということです。

被曝というのは、どれだけ外部からエネルギーを得たのかということが決定的なこと。
被曝は、とてつもない有害なものである。

今問題になっているのは、セシウム137という放射性物質、
福島第一原子力発電所から放出された放射性物質が問題になっているのですが、
それは、66万1000エレクトロンボルトというエネルギーを持っている。
こんなものはもう、数十万倍という猛烈なエネルギーの塊なわけですから、
こんなもので生き物が被曝をしてしまえば、
もうズタズタに、要するに生命情報が切断されてしまいます。
だから、体温としては1000分の数度しか上がらないとしても、
生き物は生きられなくなってしまうという事なのです。

放射線というのは、巨大な破壊力を持っています
遺伝情報を正確に伝えていくという事は、個体が生きる上で重要なわけだし、
将来の世代を育てるという事でも重要なわけですけれども、
放射線というのは、遺伝情報が書き込まれたDNAを簡単に切断してしまうので、
被曝はできる限り避けなければいけないということ。

─現在の学問の到達点「閾値はない」
現在の学問の到達点は、『BEIR Ⅶ 報告』
電離放射線の生物影響に関する委員会というのが、米国の科学アカデミーの中にあり、
長い間、放射線が生命体にどういう影響を与えるかということを研究してきて、
2005年に七番目の報告を出しました。
その報告には、
利用できる生物学的、生物物理学的なデータを総合的に検討した結果、
委員会は以下の結論に達した。
被曝のリスクは低線量に至るまで、直線的に存在し続け、閾値はない

閾値というのは、これ以下なら安全だよということです。
でも、そんなものは放射線に関する限りない。
どんなに微量な被曝だってリスクはあるというのが、現在の学問の到達点
大量に被曝すれば、勿論死んでしまったり、髪の毛が抜けてしまったり、火傷をしたり、
そういう急性傷害が出るんですね。
去年の事故の後、枝野さんがしきりに「直ちに影響が出るレベルではない」というような
説明をしていましたけれども
「直ちに」というのは、「急性の傷害はありません」と言っているだけなのであって、
急性の傷害が出なくても、長い年月が経てば、やがて癌などの被害が出ます」と
むしろそれを言っているわけです。
こういう学問の到達点でもそれを認めている。
急性の傷害が出なくてもやがて危険が現れてくるということが分かっているわけです。
ですから、なんとしてでも被曝は避けなければいけない、ということで、
日本でも放射線の被曝に関しては各種の規制がなされているわけですね。
一般公衆の線量の限度は
一年間に1ミリシーベルトしか被曝をしてはいけないと決められている。

私は京都大学原子炉実験所で働いています。そのため給料をもらっています。
私を雇っている京都大学、あるいは文科省、日本の国は、私に対して
「お前には給料をやってるんだ。だから少しぐらいの被曝は我慢しろ」と言う。
私は放射線業務従事者というレッテルを貼られて、一年間に皆さんの20倍の
20ミリシーベルトまでは我慢しろと言われているわけです。
それは安全だからではなく、給料もらってるから我慢しろと言われているのがこの値。
放射線の管理区域という場所は、一年間に5.2ミリシーベルトを超えてしまうような
場所は放射線の管理区域にして一般の人たちは、入ることを許さないという
そういう場所にしなさいという規制にしている。
こういうのは全て放射線に被曝をすれば、危険が伴う、どこまでなら我慢ができるか
ということで決めてきたわけです。

そういう規制値は山ほどありまして、例えば原子力発電所というのは、
日本に54基もあるんですが、その発電所の敷地境界であれば、0.05ミリシーベルトを目標
これを超えないように管理をしなさいというのが決まっている。
それから、低レベル放射性廃物というものが出てきた。
要するに、放射能で汚れたゴミも一般のところに野放しにしていい、
つまり埋めていいとか、リサイクルしていいというようなときには、
それをリサイクルしたときに、一年辺り0.01ミリシーベルトを超えないということが
分かったときに初めて野放しにしていい。
そうじゃない限りは、放射性物質は放射性物質として管理をしろと
普通のゴミと混ぜてはいけないというのが、これまでの法律だった。
すべて被曝は危険だからということで、こういう法体系ができている。
それでもこれまでにも色々な事故はありましたし、
色々な放射能の汚染ということもありました。

─岡山県と鳥取県の県境にある人形峠の話
1955年の暮れにウランが見つかって一躍大騒ぎになった場所です。
日本がこれから原子力に手を染めるという頃に、日本にもウランがあったということで、
大喜びをして、人形峠周辺で沢山の坑口が開かれてウランを掘ろうとしました。
ほぼ10年間、試掘を繰り返したのですが、実はウランはなかった。
あったわけですけれども、10年間掘っても85トンのウランしか掘れませんでした。

今日標準の原子力発電所は100万キロワットですが、
その原子力発電所を一年間運転しようと思うと、約180トンのウランが必要です。
85トンのウランしか人形峠から出なかったということは、
1基の原子力発電所を半年運転することもできないほどのウランしか出なかった。
結局、人形峠のウラン鉱山は閉山しました。
静かな山村だった住民の山があったわけですが、日本国家が賃貸契約を結んで
借りて掘ったわけですね。
掘ったけどやっぱり駄目だということで、住民にその土地を返しました

ところが、返した後、静かな山村に戻っていたわけですが
1988年になって、ウラン鉱山周辺に膨大な放射能のゴミが捨てられているということに
気がつきました。
坑道を掘って中から鉱石を掘り出してきて、役に立ちそうな物は、製錬所に持って行って
ウランを取り出したわけですけれど、役に立ちそうにないものは、
鉱山周辺に、みんなぶちまけてきた。
放射能を含んだゴミが、人形峠周辺に45万立米も野ざらしに捨てられているということが
1988年に発覚しました。
そのうち、一部の土はかなりウランの濃度が高いということで、これはやっぱり
こんなところに置いておくのはまずいということになった。
竹林が全部ウランのゴミで、谷沿いが埋め尽くされている。
坑口から掘り出してきて、役に立ちそうな鉱石はケーブルで下に降ろしたんですけど、
そうでないものは全部この谷に投げ捨てたということで、
ウランを含んだゴミで谷が埋め尽くされていた。
それに気がついて、フレコンバックという袋の中に入れて、
放射能が台風やなんかで流れ落ちないようにしようという事をやりました。
それを結局集めて、上には防水のゴムのシートが掛けてあって、土嚢を置いて、
とにかく外に放射能が出てこないようにしようとしたんですね。
この中に埋められたのは、290立米です。

人形峠周辺の45万立米の内、鳥取県の方面(かたも)という小さな集落で坑口が一つあって、
そこに1万6千立米分があり、その内290立米が特に酷いのでそこに埋められた
しかし、それは住民の私有地なので、
住民は「こんな放射能のゴミを自分の所に置くな」と言ったのです。
「国と賃貸契約も結ばない、自分たちの静かな山村を返してくれ」ということで
国と長い戦いをしたが、いくら戦っても国はどけなかった。
放射能のゴミなんて、どこに持って行くのか、どける場所がない」と言い続けた。

人形峠には「動力炉・核燃料開発事業団」という、今は「日本原子力研究開発機構」という
名前になっていますが、実はその事業所に持って行こうとした時期もあったが
事業所の場所は、岡山県と鳥取県の県境の岡山県側にあります。
そして、この方面(かたも)という集落は鳥取県側である。
このゴミを事業所に持ち込もうとしたときに、岡山県の知事が、
鳥取県で危険だというようなものを岡山県に持ち込ませるわけにはいかない」という
議会答弁をしました。
その結果、もうこのゴミはどこにも動かせなくなって、
国はもう駄目だ、持って行こうと思ったんだけど、持って行く場所がないということで
この場所に放置した。
結局、12年ほど経って住民がしびれを切らして、ここの一角のゴミを掘り出して、
人形峠の事業所の前まで、実力行使をして捨てに行くということがありました

鳥取県の片山さんという当時の知事は
日本という国は法治国家なんだから、住民が実力行使をやってはいけない。
でも悪いのは国なんだから、鳥取県がちゃんと裁判をして国と戦うから、
実力行使をするな」と言って住民と話した。
結局、鳥取県が裁判を支えて、「このゴミをどけろ」ということで国と戦いをした。
まず鳥取地方裁判所で、
「国が捨てたゴミなんだ。こんなものを民有地に置いておくことはまかりならん」
ということで、持って帰れという判決が出ました
国は、「持って帰れと言われても、放射能のゴミを捨てる場所がない。
持って行く場所がないから、もうどうしようもないんだ」と言って高裁に控訴した。

高裁でも審議が続いた結果、
「国が悪い。人の土地に勝手に放射能のゴミを捨てるなんてことは許せない」
ということで、国は敗訴しました。
そうしたら国は「放射能のゴミなんて持って行く場所がないんだから、どうしようもないんだ」
と、最高裁に上告した
しかし最高裁にいっても、結論は変わりませんでした。
「これは国が捨てたゴミなんだから、持って行くしかない」と国は最終的に敗訴した。

では、このゴミはどこへ行ったか?

このゴミのウランの濃度で約300ppmでした。放射能の濃度でいうと、1kg辺り3700ベクレル。
このゴミを日本の国は、どうにも持って行く場所がないと言い続けて
最高裁まで行って敗訴した。
結局これは、どうしたかというと米国です。
ユタ州、コロラド州、ニューメキシコ、アリゾナという所に、
国境線が十字路になっている所で、フォーコーナーと私たちが呼んでいる所で
アメリカ先住民が、白人に虐殺されながら閉じこめられた土地があって
ここにウラン鉱山が幾つもあって、ホワイトメサ製錬所というところがある。
ここまで捨てに行った。
1kg辺り3700ベクレルというウランで汚れた放射能のゴミを
日本の国家がどうしようもない、日本国内では捨てるところもないということで、
アメリカ先住民の土地まで持って行って、そこで捨てた
放射能のゴミというのは、これほど大変なんです。

この京都大学原子炉実験所を成り立たせるためにも
色んな放射能が出ますけれども、それをどうやってお守りができるかということが
一番大切なことになるくらい大変なことなんです。

ところが去年の3月11日に事故が起きてしまったんですね。
その事故によって、放射性物質が環境に大量に放出されました。
一体どのくらい放出されたか?
「IAEA」という原子力を推進する国際的な団体があります。
その団体に対して日本国政府が報告書を出しました
その報告書の中に、大気中に放出されたセシウム137がどれだけだったか

─広島の原爆との比較
広島の原爆が爆発したときに大気中にばらまかれたセシウム137は、8.9×10の13乗ベクレル
では、福島第一原子力発電所の事故で、
どれだけセシウム137が大気中に放出されたと日本政府が言ってるか?
広島原爆の6発分、7発分を1号基から放出した。酷いのは2号基です。3号基も放出した。
全部合わせると、広島原爆がばらまいたセシウム137の170発分ものを既に大気中に放出
してしまったということです。

私は、これを過小評価だと実は思っているんです。
日本政府は今回の事故の最大の責任者、あるいは犯罪者と呼びたいぐらいですけど、
そういう人たちが自分の罪を軽く見せようなんて事はあり得ないことであって、
なるべく小ちゃめの数字を発表するということになっていると思います。
世界的にも色々な研究者が放出された放射能の評価を出していますが
日本政府のこんな小ちゃな数字を出している人はどこにも居ない

多分これの数倍というものを大気中にばらまいてしまっている。

そして同じ程度の物を海に今現在もばらまき続けている状態が続いている
大気中にばらまかれた放射性物質で、どういう汚染が生じたか?

─文部科学省が公表している地図より
福島第一原子力発電所より半径20km、半径30kmという、
日本政府が住民に対して避難指示を出したり、あるいは自主避難を呼び掛けたが
放射能は環境に出てきてしまえば、ジワジワと等方的に広がるのではありません。
風によって流れる。
北風が吹いているときに、南の方向に放射能が流れて、海岸沿いにずーと汚染を広げていく。

茨城県の北部を越えて、一時海へ出て、そしてまた陸に戻ってきて、茨城県の南部、
千葉県の北部、東京都の一部を汚染するということになりました。
一時は北西方向に流れていきまして、20km、30kmなんていうのでは
到底止まらないで50km先まで、猛烈な汚染を落としました
その辺りで今度風向きが変わりまして、南へ流れていきました。
福島県の中通りと呼ばれている地域で、福島市、二本松市、郡山市、白河市というような
福島県の人口密集地帯が並んでいる所を放射能の雲がダーっと汚染していった。
簡単に県境を越えて栃木県の北部を汚して、そしてまた県境を越えて群馬県の北部を汚した。
こういう汚染が広がっている。
到底住めない約10万人の人たちを日本政府が今避難させている
琵琶湖の約2倍ほどの面積、相当広いということが分かって頂けると思いますが、
では、そこの範囲でない所はどうなのか?
1㎡辺り6万~10万ベクレル汚れている(青色)。

放射線管理区域という場所なんです。
管理区域から外へ出ようと思えば、検査をしないと出られない。
私が管理区域の中で仕事をしたら、私の手が汚れているかもしれない。
私が実験着が汚れているかもしれない。
私が持ち込んだ実験道具が汚れているかもしれない。
そういう物を管理区域の外側に持ち出してしまえば、普通の人たちを被曝させてしまうので、
管理区域から出るときには、どれだけ汚れているかを検査をしない限り出てはいけない
ということになっている。
ゲートがあって、測定しない限りゲートが開かないという仕組みになっている。
では、その基準は幾つなのか?
1㎡辺り4万ベクレル
放射線の管理区域というごく特殊な場所以外に、
1㎡辺り4万ベクレルを超えてるような物体は、どんな物でも持ち出してはならない。
私の実験着が汚れていれば、放射能のゴミとして管理区域の中で捨ててくる。
持ち込んだ実験道具が汚れていても管理区域の中で、放射能のゴミとして捨ててこい
というのが日本の法律なんです。
この地域は、1㎡辺り6万ベクレルを超えている
それも実験着や手が汚れているとかいうのではなく、大地そのものが汚れている。

その周りの所(緑色)も1㎡辺り3万ベクレルを超えて汚れている。
私から見るともう想像も出来ない汚染である。
私がお守りをしている管理区域の基準を超えて汚れてしまっている。

福島県の東半分を中心にして、宮城県と茨城県の南部・北部、
さらに栃木県、群馬県と千葉県の北部、新潟県、埼玉県と東京都の一部地域が
放射線管理区域にしなければならない汚染が今あるのです。
そこに今人が住んでいる。
放射線の管理区域というのは、中に入ったら水を飲んではいけない。
食べ物を食べてもいけない。タバコを吸いたいと思っても、タバコを吸ってもいけない。
そこで寝てはいけない。子どもを連れ込んではいけないという場所が
放射線の管理区域ですけれども、全部やっているんですね。
こんなことが起きている。
日本政府はちょっとだけ避難させているけれども、
殆どの所はみんな瓦礫に埋もれながら住んでいる実態なんです。

どうしたらいいのか?

─原則
焼却施設を建設すること。
汚染の強い瓦礫は、福島原発敷地内、あるいは周辺に新たに専用焼却施設を作ってそこで焼く
これが一番良い。
早く専用の焼却施設を作ってそこで焼くべき。

私がやりたいことは、子供を被曝から守ること。
皆さんは特に政治家だし、この国を作ってきた事にとりわけ責任のある方々だと思います。
この国の仕組み、原子力発電をやるかやらないかを含めて、とりわけ責任がある方々だと思うし、
私だって、原子力というものの現場にいる人間として、とりわけの責任があると思います。
しかし、そうではない人たちだって、大人であれば何がしかの責任はあると私は思います
原子力をここまで許してきて事故を起こした責任があると思う。
だから、大人が被曝するのは、私はしょうがない諦めて下さいと、言っているわけですけれども、
子供たちは責任がないんです。
おまけに子供というのは、生命体としてものすごく活発に細胞分裂をしているので、
放射線に対して、ものすごい敏感なんです。
私なんかに比べれば、もう何百倍も子供というのは敏感だ。
私はもうすでに60を超えましたけれども、60を超えたような人間なんて、
放射線に被曝したって大したことないというぐらいに鈍感になっているのですけれども、
でも、子供というのは本当に敏感なんです。
なんとしても子供を守らなければいけないと私は思います。

子供には、大阪府の子供も含まれているし、福島県の子供も含まれている。
子供全体の被曝をトータルで減らさなければいけない
瓦礫を今のまま放置しておけば、福島の子供たちはどんどん被曝してしまう現実がある。
どうしたらいいんでしょう?

私は、専用の焼却施設を作るべきだと言ったが、日本の国はやろうともしていない
今現在どんどん被曝が進行している。
私は、間に合わない分は、全国の自治体で引き受けるしかないと発言している。
そのために原子力に反対をしている皆さんから怒られ続けていますけれども、
でも、私はもうやるしかないと思っています。

ただし、今日本の国がやろうとしている現在ある焼却施設で焼くのは間違えている
そして出てきた焼却灰をそれぞれで埋めてしまうのも間違えている

─どうすればいいか?
第一に、少なくとも焼却施設の廃棄系に適切なフィルターを設置し、
放射性物質を捕捉できるか現場でテストする。

大阪府の検討会では、バクフィルターが付いてるからもう大丈夫なんだと行政のほうが
説明しているようなんですけれども、とんでもないことです。
バグフィルターが本当に性能があるかどうか、テストしてみたら直ぐ分かるわけですけれども、
普通の焼却施設は、元々放射能を取り扱うように設計されていませんし、
多分あちこちで、漏れがあるだろうし、捕捉効率も悪いだろう。
ちゃんとやらなければならないと、まず考えてほしいです。

第二に、焼却灰を管理できない場所に埋めてはならない。
汚染の正体である放射性物質は東京電力の所有物であり、東京電力に返す

放射性物質は、一般廃棄物や産業廃棄物と混ぜてはいけない
放射能として管理をしろというのが日本の原則。
福島第一原子力発電所の原子炉の中に、
東京電力のれっきとした所有物であるウランの燃料というのがあって、
それが核分裂して生まれた核分裂生成物という放射性物質なのです。
東京電力の所有物なんです。
東京電力は外に出ないと言い続けたのに嘘をついてばらまいた。
東京電力に返すのが筋だ。

どうやって返すか?

─焼却灰の使い道
汚染の強い焼却灰は、今後、福島原発で建設が必要となる石棺や地下遮水壁の
コンクリートの原料として使用する。

これから東京電力の福島第一原子力発電所の事故を収束させるために、
何年、何十年という期間を掛けて作業をこれから続けていきます
地上には石棺というものを多分作らなければいけない。
地下には汚染水が海に流れ出ないように遮水壁を作らなければならない。
要するにコンクリートの構造物を膨大に作らなければならないということになる。
これまでも焼却施設の焼却灰というのは、コンクリートの母材に使われてきました。
だから、コンクリートの母材に使えばいいと思っています。
それを東京電力の敷地に持って行って、東電の事故の収束作業のために使うのが良い。
各自治体で、勿論専用のフィルター等を付けて焼くのは仕方ないが、
でも、焼却灰は東電に返すというような仕組み
皆さんに是非とも作ってほしいと思います。


─二番目の質問について
災害廃棄物の受け入れを前提とした場合の今後の課題
(数値的な目安、焼却灰の処分場の課題、海面処分の可否など)
この答えは、
前提としてはいけない
今、大阪府が進めようとしているようなことは決してやってはいけないことだ。
皆さんもしっかりこの問題を考えて頂ければ有り難いと思います。



─質疑応答
Q1:汚染されている地域の風向きによってという地図を見て、
大気中を漂ったという図であって、先生の仰る大地に入ってるというのが、
色んな情報を聞くところによると、漂っているうちに雨なんかが降って、
木に付いた分と、漂ってほかの地域に行って、そこの地域には残っていない可能性が
あるのではないかというような話も聞いたことがあるのですが?

小出:大地に今降り積もっている放射性物質の量です。
大気中の量ではありません。
大気中から、地面にくっついたり、雨で洗い落とされて大地に降り積もった量です。

Q1:福島の事故がなければ、岩手県とかの瓦礫を大阪でも分けて焼却するのは
問題ないと思いますが、先生の仰っている条件は、福島の部分だけのことを仰っているのか、
岩手県北部の分までやっては駄目だと仰っているのか?

小出:これは文科省が公表した汚染地図ですが、
猛烈に汚染しているのが福島のこの辺りですが、風向きで日本全国で汚れている。
この大阪府も福島第一原子力発電所から飛んできた放射能で汚れている
そこらの土を取れば分かります。日本だけではない。
米国やヨーロッパだって福島第一原子力発電所の放射能が行っている。
ですから汚染していないところはないのです。
岩手の北部だって、汚染していないわけではないが、汚染のレベルが少ないというだけ。
災害瓦礫は放置することはできない。
私はやるべきだと思います。
専用の焼却施設ができないなら、汚染の程度によらず大阪府だって引き受けてもいいと
実は思っているのです。
ただし、引き受ける側にはちゃんとした施設でやらなければならないし、
排気系統に放射能が出ないように設備ができた所でしかやってはいけない
焼いた後の焼却灰に猛烈な放射性物質が溜まってくるわけで
それをここに返せと言うのが私の主張。
ですから岩手や宮城のゴミだってやって頂いていいと思います。
やるにあたっては、条件がありますというのが私の主張です。

Q1:先日、行政からバグフィルターが付いておれば、大気中は心配ないから
焼却灰だけの問題とかいう説明は確かにありました。
そのときに、
「大気中に出る分は、科学的知識がないので、それでいけるかなと認識はしていたが
焼却灰の場合、仮に許容の範囲であれ、少しでも放射性物質が含んでるか分からん
瓦礫を焼却する場合、その大気中に出る分を考えると
持ってきた分を全部その日のうちに、全部焼却するとは限らんと。
もし僕がどうしてもやれと言われれば、例えば1割くらい混ぜるとか
2割混ぜるとかいう方法で混ぜるから、あなた方の計算した持ってくる瓦礫に対する
発生する焼却灰の数は5倍にも10倍にもなりますよ」と。
「だから、それを確実にどこで安全な処理をしてもらえるか確約できないと
焼却場の管理者としては、とても引き受けられない
という話をしたんですが、先生は東電に返せということですけども、
なかなかいいアイデアやなあと思います。

大阪府もやろうとしてるんですけども、先生の仰る通りでしたら
全国汚染されておったら、今普段うちの田尻町にある焼却場で焼く分に対しても
今言われるようなことをしなければならないという理屈になりますんで、
できれば、僕からは安心して焼却していいよということはないと思いますけども、
今先生にお伺いした範囲に気を遣って、危険性を認知してやらなければならないと
いう部分はよく分かりますけども
比較的そういうことに関しては、通常のゴミと変わらんような状況で焼却しても
大丈夫というレベルというか、それが我々には全く分からないんですけども
先生の仰るように全部入ってるよということになれば、線の引きようがないんですけど
その辺は今、国が定めて、あるいは大阪府はそれ以上に厳しい数値を
出しているんですけど、それについては、やはり無茶だと思われている?

小出:私は基準は、むしろあんまり興味がない
膨大な汚染をしている物も実際にあるんですね。どこかで、それを始末しなければ
環境に放置する限りは、被曝をしてしまうのです。
福島に住んでいる子供たちも含めて今現在も被曝をしてしまっている。
ですから一刻も早く急いで始末をしなければいけない。
そのための施設は、今日本国内にはない
私は専用の施設を作れと言っているわけですが、日本政府はそんな物を作る気も
ないような顔をしている。
多分、福島県内では、特別な施設も排気系統のフィルターも何もないような施設で
もう焼かれてしまって、放射能もまた二次的な汚染を広げているんではないか
私は危惧しているのです。
ちゃんとした施設であれば、仮にそれは大阪府であっても猛烈な汚染したものでも
引き受けてもいいと実は私は思っているのです。
ただし、ちゃんとした所でやらなければ、また二次汚染が広がってしまうから
大阪府でやるのであれば、その施設のちゃんとした度合いというか、
それにまず何よりも注意をしてくれとお願いしているわけだし、
ちゃんとした施設であればあるだけ、放射能をそこに閉じこめるわけですね。
外にばらまかないで、閉じこめてしまう。
一度放射能の瓦礫を受け入れて、焼却施設で焼いたら、その焼却施設は放射能で
どんどん汚れていきます
焼却炉も含めて、施設内がどんどん汚れていくと思いますので、
作業員の方も被曝をすることになるし、
その焼却施設をいざ潰すということになったら、どうやって潰していいかという
そういう問題も出てきてしまいます。
本当に引き受けるということは、ものすごく大変なことなんです。
どこで線を引いても結局は、そういう問題が出てきます。程度の違いだけ。
でも私は、今現在子供たちが被曝をしているということを思えば
早くやらなければいけないし
大阪府というところは、力のある自治体ですから
ちゃんとした施設を作って、そこで受け入れるということは
むしろやったほうがいいというぐらいに私は思っているわけです。

Q2:焼却をするのに瓦礫を受け入れないと、早くしないと駄目だと
結論を聞かさせて頂いて、バグフィルターの件で、先生のお話の中で曖昧なのが
ちゃんとした施設、ちゃんとしたバグフィルターというお話なんですけども
例えばバグフィルター自体がこういうものであればいい
焼却炉はセシウムが600度が沸点で、焼却炉から外に出すときに200度に冷却をすると、
その時点で外に漏れることはないという認識で
私は説明とかご指導の中で勉強させてもらってるんですけど、
それをクリアする焼却炉はこうあるべきだっていうのは、
権威のある先生が何かお持ちなら、それをリードしていただくのがいいかと思う。

小出:フィルターは現場でずさんな管理をしているところもあると思いますし、
ちゃんと管理しているところもあるでしょうから、
現場現場で同じバクフィルターでやっても、捕捉効率は違うと思います。
ですから、現場でどれだけ捕捉できるかをテストするということが、
まず第一にやってほしいことです。
大阪府の中にも、たくさんの焼却施設があると思いますけれども
そこにバグフィルターが付いている施設もあるだろうし、
付いてない施設もあるだろうと思います。
それぞれの施設でバグフィルターが付いていてもいいけれども
一体どれだけ捕捉できるかということを現場でテストする。

Q2:バグフィルターの付いてない焼却場では受けないと思います。

小出:勿論です。

Q2:放射線量をベクレルを計るには、どういうもので4万ベクレルとか計ったデーターが
あるかっていうのと、あれだけの地域をどれだけの形で計ったかというのも
土地知らないんですけれども、なかなかしっかりした測定するのに、
しっかりとした測定器がいるんだということを聞いて、
焼却炉の周りでは、せめて放射線量ぐらい簡易なやつで計るようにしなさい、
それくらいのことと、焼却炉の煙突から出てくるその周辺で計らないと
熱風が出るからなかなか無理やというお話も聞いて、最初にこういうところを
こうしといたらいいというのがご指摘頂ければ。

小出:簡単なことであって、放射線量なんて計っても駄目です。
バグフィルターの付いてる上流側の空気をサンプリングして
その空気の中にセシウムが1立米辺りどれだけ含まれているということを
まず測定する。
そしてバグフィルターを通ったあとの空気の中に、1立方メートル辺りセシウムが
どれだけ含まれているということを測定すればいいです。

Q2:それは今の焼却炉でも取るようになってますよね?

小出:なってるんですか?

Q2:なってるはずです。

小出:ですからすぐにやればいいです。すぐにやって本当にこのバグフィルターが
セシウムを捕捉できるかどうかということをテストすればいいんです。

Q2:そうですね。
テストをする体制が出来ているかどうかをチェックする体制を作るということですね?

小出:そうですね。

Q3:大阪府で瓦礫を受け入れて、一度放射性物質を焼却した焼却炉は、
ずっと汚染され続けますから、それ以後普通のゴミが出ても燃やせない状況に
なりますよね。ということは、何カ所かもう放射性物質を含む瓦礫を
受け入れる前提の元に、ここのゴミ焼却場だけという、そこを限定して
瓦礫を受け入れて、そこを瓦礫専用で使って、終わったら密閉するじゃないですけど
そういうような後、どういうような処理になるか分からないですけども
もうほかのゴミは燃やすべきではないというような解釈でよろしいでしょうか?

小出:はい、いい案だと思います。
私、一番初めに聞いて頂きましたけれども、放射性物質を取り扱うときの原則は
拡散させないということなんです。
そこらじゅうに、ばらまくということをやってはいけない。
ですから、私は福島県なら福島県の汚染地に専用施設を作るのが
一番いいと思っているわけですし、
全国にばらまくということは、本当は原則に抵してるんです。
ですから、私は本当は反対なんです。
でもこの緊急事態で子供たちの被曝を守るためには仕方がないと言っているわけで
大阪府で受け入れるのも仕方がないけれども、
大阪府の中でもうそこらじゅうの自治体の焼却施設でやるということは、
やはりまずいだろうと思います。
ちゃんとした施設を付けて、そこをむしろ専用の焼却施設のように使うというほうが
放射能を取り扱う原則に則っていると思いますし、
多分、被曝の量としては、それが一番減らせる方策だと思います。

Q4:これは住民感情として、ものすごい難しい話をされたなと。
特に閾値がないというのは、大変ある意味致命的と言っていいかなと。
住民感情からすれば、福島の方で言えば、福島のところがさらに汚染される物が
濃縮されるということに対しての心理的な反発というのは当然あるでしょうし
当然ほかの地域でも、閾値がないということは、
少しでも受け入れたら受け入れた分だけ、被曝量が増えるんだと言うてることと等しいので、
ところがそこの部分というのは、
科学的にはもう閾値がないというのは、もう確実な話ということで、
受け止めていいんでしょうかというのが一点と、
もしそうであるならば、これは安全かどうかというのは、
安全ではないということを前提にした上で、より被害を少なくするために
より良くするためにという言葉になるんですが、
これは住民の方には受け入れられない可能性が、極めて高い話になってしまうんですけども、
そういったときのために、先生なんかでしたら、もう受け入れるべきだというようなことまで
言って頂いてるんですが、それをどうしても受け入れられない方っていうのは、
必ず一定の割合で住民の中にあるというのも現実でして、
それに対しては、どのような対処が一番相応しいと、ご意見としてあれば
アドバイスがあれば頂けたらと思います。

小出:閾値がないということは、現在の学問の到達点です。
だからこそ世界中どこでも、放射線の被曝に対して、
法律で規制をするということになっているわけです。
もし低いレベルで安全だというなら、規制なんかしなくてもいいわけですし、
むしろ低い放射線は健康にいいなんて言っている学者もいるわけですけれども
そうなら、むしろ低い被曝を国民に推奨したほうがいいわけですけれども、
残念ながら、そうではなくて、どんなレベルの低い被曝でも危険があるというのは
現在の学問の到達点なんです。それは受け入れるしかないのです。

そうなってしまうと、仰ったとおり誰だって嫌なんです。
汚染した今福島にある物を大阪に来るのが嫌だと思うのは、普通の住民感情なんです。
私もよく分かります、大阪府の人だって、京都府の人だってみんな嫌だと言ってるんですね。
でも私はもう一度考えてほしいんです。
残念ながらもう事故は起きちゃった。これを防げなかった責任というのは、
やっぱり皆さんにあると。大阪府の住民にも京都府の住民にも、みんなに
日本人の大人であればすべからくあると思うんです。
自分だけが被害を受けないで済ませたいと思うかもしれないけれども
それでは、やはりまずいはずだと、なんとか全体としての被曝量を少なくする。
それも子供たちの全体としての被曝を少なくするために、
どういう方策をとるのがいいのかという、そういう議論をしてほしいと思います。
なかなか住民を納得させるということは難しいと思いますけれども
でもそれがせめてもの大人の責任だと思いますし、
むしろ政治に携わっている皆さんの責任だと思います。

Q5:最終的には、焼却施設というのは濃度を高めていける唯一の方法であろうかと思いますし、
要は拡散した物を集めるためには、焼却というやり方が
一番相応しいと思われているんでしょうか?
それともこの物質を、要はそこの土地の部分をどこかに集めて
管理できるというほうがいいと思われる、
焼却そのものの効用といったらおかしいですけれども、
私は焼却することによって濃度を高めることによって、より管理しやすく
より放射線を小さくできる方策としては、焼却という方法は
一つの方法だと思うんですけれども、当然蒸気とか一部の拡散以上に
より濃縮している効果のほうが、個人的には思っているんですが
専門家の意見としては、焼却という処分方法が相応しいものかどうか?

小出:焼却のほかにも、多分放射性物質を集めるというやり方はあると思います。
ですから焼却が一番いいかどうかという議論は、
これからしっかりやらなければいけないと思いますが、
今現在、被曝が続いてしまってるので、速やかにやらなければいけない。
速やかに大量にやらなければいけないという選択に迫られているわけで、
そのときには、焼却だろうと私は思います。
ただし、焼却をやって、膨大な物から、焼却灰に集めるという、
濃縮という作業をやろうとしているわけで、それは放射能を管理するという意味で
いいやり方なんです。
膨大な物からコンパクトにしていくということは、いいやり方ですけれども
その過程で排気系統に放射能をばらまくようなことをしてはいけないわけですから
そこはしっかりとやってくださいとお願いしてるんです。

Q6:焼却に対しては、ある程度理解しました。
フィルター関係、そこのチェックをどのようにやっているかということが正しかろうと思いますし、
ただ、これをやりいったところで、どのように集積をしながら、どこへ処分を求めるか
この課題のほうが大事だろうと思います。
臨海部のほうへほかすということは、私の理論ではとんでもない話。

小出:そう思います。

Q6:堺では、ゴミの焼却を10センチぐらいのゴムのシートを敷いて
これを18年前から酪農団地でやってます。
これだけの分をやっておるのと、それを早く大阪府で受け入れた場合
そのゴミの問題と、そのゴミを福島へ返すという方法もあるんじゃなかろうかと
それと合わして、今復興ができないですけども、
福島のほうであとの焼却炉を更新するときの、焼却をできるような処分地を
福島で永久的に、恒久的にできるような施設を早く構築するということが
大きな課題だろうと思いますけど、先生はどのように?

小出:私は、今日の話の一番初めに放射能の原則ということから話を聞いていただいて、
放射能はとにかく拡散させないで、コンパクトに扱うというのが一番いいやり方だと
思うのです。ですから福島は膨大に汚染した物があるわけですから
福島から出さないで、福島で処理するのが本当は一番いいのです。
ですから福島に専用の焼却施設を作って、そこで焼くのがいいと提案している。
残念ながら日本の国はそれをやろうとしていない

Q6:その赤いところで、建設作業員が安全に焼却施設を作れますか?

小出:それは問題ですね。安全なというのは被曝に関してはないのです。
どんな微量でも被曝は危険ですから、こういうところに焼却施設を作って、
そこで焼却する人たちが働くとすれば、その人たちが被曝をしてしまうということになる。
一体どこならいいのかということは、政策的な判断によると思います。労働者も含めた。
でもなるべくなら、大阪まで持ってくるより、この周辺でやったほうがいい
そこでやったゴミをここから散らばらさないほうがいいと思うし
大阪府で焼いた、堺市で焼いた焼却灰も、それぞれのところで埋めてしまうのではなく
やはり福島に返す、それも東電の敷地に返す。
そこで事故処理作業に使えるわけですから、そのために使うのがいいと提案している。

今、福島県内に恒久的な核のゴミ置き場を作れと仰ったんだと思いますけれども
日本政府も双葉町にゴミ置き場を作らせてくれと申し入れに行った
そしたら双葉町が嫌だとか言ったという話で、
双葉町が嫌だと言うかよ」と私は思ったんですけれども
これまで原子力発電を容認して、何十億円も懐に入れきた双葉町
そういうのはおかしいと私は思うけれども、
住民感情としては分かるんです。

でも、核のゴミ捨て場にする場所は、実はあるんです。
東京電力福島第一原子力発電所の敷地が膨大にあるわけです。
そこを核のゴミ捨て場にしたらいい。
ただし、今あそこは戦場なんです。戦争状態になっているので、
今あそこを核のゴミ捨て場にはできない
じゃあどうしたらいいか?
福島第二原子力発電所の膨大な敷地があるので、
あそこを核のゴミ捨て場にしようと言っている。
東京電力は福島第二原子力発電所を再稼働させたいなんてことを
言っているらしいんですけれども、冗談言うなと。
まずは、自分の責任をきっちり問わなければいけない。
その上で、なおかつまだ核のゴミ捨て場が足りないと言うなら
双葉町に押し入れてもいいけれども、まずは自分の敷地を全部差し出せと、
いうことを私は東京電力に求めてきている。
ですから、堺市で焼いた焼却灰だって、福島に戻す場所はあるのです。
第一原子力発電所の敷地もあるし、第二原子力発電所の敷地もあるんですから
自治体がそれを受け入れてしまって、あっちこっちで埋めるというのをやるのは
原則に反していると私は思います。

Q7:先生が仰ったように、焼却灰、つまり汚染物質を東京電力に返すと
これがまた濃度的に凝縮されて、例えば雨が降って浸透して、それが昇華して
また大気に流されて、より濃度が濃い汚染物質が大阪を含め日本全土、世界各国に
流れるという可能性というのはないのか?
チェルノブイリのときに、この今の日本の状況より、より濃度が濃くて
広範囲に汚染されていると私は記憶しているんですけど、
あのときも石棺で固めましたよね。
あれは現状どのような状況で、汚染が広がっているのかお伺いできれば。

小出:石棺自身はもうボロボロです。チェルノブイリの原子力発電所の壊れた原子炉を
閉じこめようとして、巨大な石の棺で覆ったのですけれども、
その石の棺は、もう今やボロボロになってしまっています。
25年、26年経ってるわけですけれども、ボロボロになって
今何をしようとしているかというと、初め作った巨大な石棺の上に、さらに巨大な石棺を作って、
それで覆って放射能が外に出てこないように工事をしようとしている。

ですから福島でもまずは、今ウランの溶けた物が中にあるのですけれども、
それをなんとかまずは、安全な場所に移せないかと、今日本政府も考えているわけです。
使用済みの燃料プールの中にも膨大な使用済み燃料が、
今はまだ水に浸かった状態にあるので、それをなんとかどっか外に移したいと言っている。
それを移した後で、石棺で覆いたい、というのが日本政府の考え方なんですけど、
私は、使用済み燃料プールの燃料は、ひょっとしたら移せるかもしれない。
それも難しいと思いますけれども、移せるかもしれない。
でも、溶けてしまった炉心は、多分駄目だ思っているんです。
手を付けることも、摘み出すこともできない。もう、そうなれば今の原子炉を
全体を石棺という構造物で覆うということが、必ず必要だと思っている。
巨大なコンクリートが必要になります。それが雨とか、風雨でまた汚染を
外に広げるということは、ゼロではありません。必ずあると思います。
でも、焼却灰をあっちこっちで勝手に埋めてしまうというよりは、
コンクリートという形にして、猛烈な汚染地帯で、猛烈な放射能が飛び出してくるのを
防ぐために使うという用途であれば、まだ合理的かなと思うんです。

Q7:チェルノブイリの場合も仰ったように、石棺はボロボロになってますよね。
じゃ未来永劫に何回も外側にコンクリートを打っていかなあかん作業が
続くという考えなんですか?

小出:そうです、仰る通りです。ですから私は多分、福島第一原子力発電所に石棺が
これから何年掛かるか分かりませんけども、作るしかありませんので、
作るでしょう。それを多分私が生きているうちに見ると思いますけれども、
でもその石棺がボロボロになって、さらに外側に第二石棺を作るというときには
私はもう生きてないです。今日お出での殆どの方がもう死んでしまう。
子供たちの世代が、次の第二石棺というのが、福島の原子力発電所にできるのを
見るのです。でも、その子供たちもきっとその次の石棺を見ることもなく、
死んでいくと思います。またさらに何十年か、あるいは百年か経ったときに
またさらに大きな石棺を作らなければいけない。
そういう仕事がもう逃げることが出来ないであるんです。

以上

汚染地図などのスライドを使いながらの説明やったので、随所分かりにくいと思うけど
動画を見てもらえば。

今回の話を聞いて、うちが思たことを以下に書くので、興味のない方はここまでちゅうことで^^

小出さんの話は、大体一貫して同じこと言うてて
「被災地の子供たちを被曝から救いたい」
ちゅうことなんやけど、
そもそも子供たちの生活圏で、一刻も早く被曝を軽減するためにて言うのは
大阪府が受け入れ予定の岩手のことちゃうやろ?
放射能汚染されてない所はないにしても、岩手はレベル的にも少ないわけやん。
そやから、国も大阪府も一応、安全ってことを前提にしてるわけなんやろ。
小出さんの言うように、猛烈な汚染瓦礫でも、ちゃんとした施設なら受け入れたらええ言うのは
現状としては論外やし、
早急に被曝から救わなあかんのは福島の子供たちなわけで
現時点では、大阪府が受け入れ予定してないとこの話
福島の子供たちと岩手の子供たちをゴッチャにしてるんちゃうんかな?
仮に、岩手の瓦礫も子供たちの生活圏に置かれてあったとしても
放射能レベルは低いわけなんやろ?
なら、ここでは子供たちを~は矛盾。
国も大阪府も受け入れ言うてるのは、復興のためちゃうんか?

大阪府の子供も福島の子供も含めて、トータルで被曝を少なく
ちゅうてるけど、岩手やっちゅうねん。
ほんまに子供のことを考えるなら
汚染のかなり少ない西日本の子供たちだけでも被曝させないことちゃうんか?
ほんまに早急に被曝から救うんなら、避難させるのが何より早いやろ。
仮に受け入れるとしても、焼却施設の問題やらテストしたりせなあかんし
大阪府は2年間で処理する予定やん。
そんな年数掛けるよりも、ほんまに急ぐんなら避難が一番ええやん。

それと、大人は責任とれっちゅうけど
大人が責任とる言うても、結局は子供に負わせることになるやろ。
子供のほうが放射能に対して敏感言うてるやん。
大人の責任て何なんや?
受け入れることが責任か?
子供を被曝させんことが責任やろ。いや、義務やろ。
これ、子供が被曝しにくくて、大人が被曝しやすい言うんやったら
大人の責任で仕方なく・・っちゅうのは有りやけど
大阪の大人が受け入れることで、殆ど被曝してない子供らを被曝させる行為になるんちゃうんか?

住民感情とか言うけど
不安とか心配とか、怖いとか、そんな感情論で反対してるわけちゃうで。
子供に被曝させる可能性のあることに反対してるわけや。
大阪の大人も親や。子供を守るのは親の義務やろ。単なる感情論ちゃうやん。

小出さんは、何十年も原発に反対してきたけど、国は聞き入れなかったんやよな。
事故が起こってしもて、反対してきても責任を感じてるんやよな。
それって、瓦礫受け入れも同じちゃうん?
ほんまは各自治体が受け入れるよりは、現地で処理したほうがええて言うてるのに
国は聞き入れないって言うてるやん。
また同じこと繰り返すん?
今度こそ、国を動かすぞ!って思わんの?要望・要請だけなら一般人もしてる。
小出さんなら、それ以上に権威もあるから、諦めずに信念を貫いてほしい。

小出さんが本来発言すべきは、
汚染の少ない西日本の子供たちが被曝するリスクがあるから、瓦礫は受け入れないでください!
とちゃうんかな?
ちゃんとした施設、ちゃんと除去してるつもりでも事故は起こることもある。

「大人の責任」で、汚染された食品を食べて、瓦礫を受け入れる。
ってことは
その大人(親)の大事な子供も汚染された食品を食べて、瓦礫によって被曝されるリスクがある
ってことやよな。

こういうことが、小出さんが言う「子供を守りたい」になるんかな?



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