IWJさんの8/28(水) 泉田裕彦 新潟県知事インタビュー告知動画
そして、9/7(木) 「福島ではどこが問題だったのか、
社会的な意思決定、制度の問題も明らかにした上で改善しないと、
我々人類の子孫は生存の危機に直面する」 ~岩上安身による泉田裕彦新潟県知事インタビュー
動画は、上記サイト、またはYouTubeの泉田新潟県知事インタビュー へ
1時間の予定が1時間半というロングインタビューなので、かなり長文ですが良ければどうぞ☆
※聞き間違い等ご指摘願います!
岩上安身氏:
はい、皆さん、こんにちは。ジャーナリストの岩上安身です。
私は本日、新潟県新潟市の知事公舎のほうに、お邪魔しております。
大変立派な素晴らしいお部屋なんですけれども、
これから泉田裕彦新潟県知事に、お話を伺いたいと思います。
泉田さん、宜しくお願い致します。
泉田裕彦知事:ようこそ新潟へ、宜しくお願い致します。
岩上氏:私はですね、母親が北陸出身なんですよ。
泉田知事:あっ、そうですか。
岩上氏:
ええ。石川県なんですけど、だから一族はみんな母方の一族はみんな、石川県中心に住んでまして、
ちょっと北陸に来ると、特別な思いあるんですが。
泉田知事:じゃあ、雪国の生活なんかも体感されてる事あるんですか。
岩上氏:
いやっ、これはないんですね。金沢で、やっぱりそこまで積雪がなかったっていう事と
やっぱり、そういう時期、昔はそんなに頻繁に、ねぇ。
泉田知事:行き来、難しかった事ありましたもんねぇ。
岩上氏:
難しかったですねぇ。ほんと、遠かったと思いますけど、今新幹線が通ってるんで、
直ぐに、近いですよね、新潟までも。
泉田知事:
そうなんです。新潟市内に関して言いますと、東京と年間の日照量あんまり変わらないんですよ。
岩上氏:えっ、ほんとですか。
泉田知事:そうなんです。
岩上氏:
新潟市内に来て、直ぐここに来たんですけど、それで周りをキョロキョロするとですね、
新潟の人たち、皆さんお肌がきれいであって。
泉田知事:なるほど、有難うございます。
岩上氏:色白の方、多いですよね。知事も色白ですけど。ほんとに皆さんツヤツヤ…
泉田知事:
やっぱり、日が当たらないから白いのかなって、太陽に気を付けてるのかな、よく分からないんですけど。
岩上氏:
紫外線のやっぱりあれなのか、ほんと色白の方、お肌のきれいな方がね、男性、女性問わず多くて。
泉田知事:有難うございます。
岩上氏:と言って、ちょっと新潟によいしょして…お話をね、伺っていきたいと思うんですけれども。
泉田知事:はい、はい、はい。
岩上氏:
インタビューですね、是非お願いしますというふうに申し込んでいたのは、
一つあの、知事のですね、まぁ言動に大変、今注目集まってるわけですけれども、
この記者会見、新潟県のほうでもですね、これを動画、或いは文字起こしを
アップロードして下さっていて、全体分かるんですが、
しかしあの記者の方々、やっぱり毎回ですね、似たような質問、どうしてもならざるを得ない。
今だと、その田中委員長、規制委員会の田中委員長といつ会うんだと、
こればっかりがですね、毎回毎回繰り返されていて、
何故、この知事は頑なにそれを拒んでいるように見えるのか。
泉田知事:田中委員長じゃなくて、廣瀬社長ですね。
岩上氏:
あっ、いやっ、廣瀬、ごめんなさい、廣瀬社長の事や、或いは田中委員長との事も含めてですね、
廣瀬社長でした、ごめんなさい。
こうしたですね、お話の、田中委員長は逆でしたね。
泉田知事:そうです。
岩上氏:こっちが申し込んでいたんですね。失礼致しました。
泉田知事:なかなか。そうなんです。
岩上氏:会ってくれないと。
泉田知事:そういう事なんですね。
岩上氏:
ですね。えー、まっ、この東電の廣瀬社長、或いは田中委員長との会う、会わないみたいな話だけが
その中身の事は、ちょっと、なんていうか、おざなりになりながらですね、
記者の方々は、よく分かってるんでしょうけども、
見てる一般の方々は、よく分からない。
ですから、順を追ってですね、どういう事があり、どういう経緯があった上で、
で、どういう論理で、この会う必要があったり、なかったり、
それから、この再稼働についてですね、GOを出すか否かと、またそういう議論に入るか否かと
いう事の前に、何を考えなくちゃいけないのか、という事をですね、
論点も整理して、全部一通りお聞きしたいなって思ってたんですね。
泉田知事:
そうですね。
私も毎回お話をしてもですね、やっぱり切り取られて、こう伝わらない部分ていうのがあるんで、
今日は、まず一時間ぐらいを目標に説明をさして頂きたいと思いますんで、宜しくお願いします。
岩上氏:
はい、有難うございます。
で、あとまた、記者クラブのね、記者会見、記者クラブが主催してる記者会見、
これ記者クラブの人たちが、まぁ質問させないとかですね、色々頑ななところがあるんですよ。
で、それをこないだ知事とお話をさせて頂いて、まっ、メディア懇談会という、
まぁ、記者クラブ外のメディア、或いはジャーナリストにもですね、
質問の機会を作って下さった事、これ感謝したいと思います。
我々IWJだけではなくて、ほかにもフリーランス、田中龍作さんとか、おしどりマコさんとか、
あのー、まっ、駆けつけてですね、質問していたようですけれども、
この柏崎刈羽の再稼働の問題というのは、県内だけの問題ではないと思いますし、
この利害関係者っていうのは、非常に広域に渡るし、
国内外にやっぱり影響のある問題だと思いますんで、是非こうしたオープンのですね、
メディアとの接点を今後も是非お続け頂ければなと思います。宜しくお願いします。
泉田知事:はい、宜しくお願いします。
岩上氏:
という事で、やっぱり冒頭ですね、この福島第一原発の事故からスタートしてるんではない。
その少なくとも新潟におけるこの原発の問題というのは、
柏崎刈羽の建設時から遡るかもしれませんけれども、少なくとも2007年の中越沖地震、
この時の経験が非常に重要だという事だと思うんですね。
この辺からお話、ちょっと伺いたいと思います。
泉田知事:
2007年でですね、M6.8の地震がですね、柏崎刈羽原発の近くで起きたわけです。
その時にですね、実は火事が起きてるんですよね。
これ原発の事故って、いつ起きるんだろうかと。
今政府のですね、防災会議、中央防災会議があるんですが、
そのほかに、この地震、東日本大震災のドタバタの中で、原子力防災会議っていうのを作って、
二本立てにしちゃったんですよ。
で、こういう災害とセットになるんで、原子力事故が起きやすい。
そういう時こそやっぱり起きるんだと思うんですよね。
それが単独の原子力防災だけ取り出して、ほかと連携していない体制っていうのは、
そもそも問題だという事だと思うんですけども、まず経験からお話しさせて頂きたいと思います。
これは2007年の中越沖地震の時に起きた火災事故です。
何故こういう事になったのかという事なんですけども、地震が来るとですね、結構大変なんです。
構内、波打った道路。これ一番酷いとこ撮ったわけじゃなくって、何気に撮ってもこんな感じで。
岩上氏:これ震度はどのぐらいだったんですか。
泉田知事:震度は6強ですかねぇ。
岩上氏:6強。
泉田知事:ええ。
岩上氏:これは新潟市内の震度ではなくて、これは現地の
泉田知事:
ええ。現地の。
これもSsっていう基準地震動っていうんですが、これをですね、大幅に超えたという状況でした。
歩道なんかはやっぱり落ちてくんですね。
構内、車が円滑に通るんだろうかというところも含め疑問残るわけです。
東日本大震災以降、電源車置きました、
それから消防車増強しましたっていっても、そもそも行けるかどうかっていうのは、
こんな状況になりますよと、いうところ、これ考えないといけない、いう事です。
それからですね、もう一つ、これがですね、2号機タービン建屋の状況なんですが、
最大でですね、これ分かりますかね。
岩上氏:地盤沈下…
泉田知事:ここまで…
岩上氏:地面が本来ならあった。
泉田知事:地面があったんです。それが地震でですね、下がっちゃうわけですよ。
岩上氏:これ段差がある建物ではないわけですね。ここ…
泉田知事:
そうそう、ここまで、ここまで地面があったのが地震で、こう下がっちゃってですね、
最大1.5m沈下をしています。
結果として何が起きたのかというとですね、ずれるわけですよ、こういう形で。
これ配管がですね、外れてここに通っていた線からショートをして、
それで火事になったという事です。
この時、ほんとに我々、この災害からの復興で厳しい思いしたんですが、
というのはですね、世界中に、炎が出ているのに誰も居ないと、原子力発電所、
そういう映像が配信されちゃったんです。
実は消防施設あったんです、柏崎刈羽にも。
でも、その消防配管もあんな1m50もずれると、水が出なくなっちゃうんですよ。
それで、東電の消防隊の皆さんは、水、最初掛けようとしたんですが、掛けらんなくって避難したと。
で、これ原子力の世界の常識でいうと、原子力発電所から火を噴いてるのに、
周りに誰も居ないっていうのは、大量の放射能漏れをしてると、
いうふうにメッセージとして伝わっちゃうんですよね。
結果として、県庁にもですね、海外色んな国からですね、来て頂いて、
業務に携わってた方居られるんですが、家族から電話掛かってくるわけです。
「そんな危ない所に居ないで早く帰って来い」と。
自然界で検出されるギリギリの、コバルト60っていう物質なんですけども、
若干微妙に出たんですが、今回の東日本大震災の東電事故とは比べ物にならないほど
微量であっても、風評被害、もの凄いものがあったという状況でした。
いずれにしてもですね、こういう形で地震が起きて火事が起きますと、いう事になるとですね、
これトラブルが発生すると、いうのがやっぱり2007年の経験としてあるんですよね。
岩上氏:これ消火栓は用意していた、しかし消防車はなかった。
泉田知事:なかったんです。
岩上氏:ということですよね。
泉田知事:そうです。消火栓は…
岩上氏:
あのまぁ、先にあの道路が、の状態が悪くなると消防車すら動かないて話があったけれども、
その消防車も当時はなくて、必要と、必要だなという事になったわけですね。
泉田知事:
そうですね。
で、消防車もそうなんですが、とりあえずまず段差が生じるという事を考えるとですね、
建物と一体化して欲しいんです。
岩上氏:なるほど。
泉田知事:
フィルタベントを付ける付けないっていう話があって、フィルタベントは義務付けになりました。
実は原発2種類あるんです。
PWRって加圧水型と、これ沸騰水型っていうんですが、
東京電力のですね、原発はBWR、沸騰水型、なってます。
これはフィルタベントを付けないと、要は稼動さしちゃいけないという決まりになりました。
したがってですね、付けないといけないんですが、これね、離してあるんですよね、7mぐらい 。
一体化してあれば安心感あるんですけども。
岩上氏:これは、何故離れていくんでしょう。
泉田知事:うーん、何故なんですかねぇ。
岩上氏:やっぱり技術的に、その一体化出来ないって事ですか。
泉田知事:説明が…
岩上氏:或いは一体化するとコストが掛かるという事…
泉田知事:説明がないんです。
岩上氏:説明がない、これについての。
泉田知事:
そうなんです。
実は、東京電力と新潟県の間には安全協定っていうの結んでます。
その安全協定にどう書いてあるかっていうと、この放射能の取扱いに影響がある、
つまり環境に影響があるようなもの、これ、結局放射能を放出する機械ですから。
こういったものについては、事前了解を取るっていう、これは条文で、
ちゃ~んと書いてあるんですけども、約束破りたいっていう話なんです、簡単にいうと。
岩上氏:あー、事前了解を求められた事はないという事ですか。
泉田知事:いや、事前了解を取るというのが、安全協定の中に書いてあるんです。
岩上氏:書いてあるわけですね。
泉田知事:
で、今回の東電はですね、安全協定を破ってですね、
了解なしに申請したいっていう事を言ってるわけなんです。
で、こないだ廣瀬社長が私のとこに来られた時に、同時性とか、色んな事言ってましたけど、
条文上は、事前了解という事になってます。何故かっていうと…
岩上氏:
あの、広瀬社長の言い分の同時性というのは、言葉は難しいですけれども、
要するに、事前にこちらの了解を得てから進めますよ、ではなく、
こちらの了解を求める動きと、それから実際の申請というのは同時に行いたいと、
こういう事を同時性と言ってるわけですね。
泉田知事:
前例違反なんですけどね。そんな事はないわけです。
何故かっていうと、やっぱり地元と、それから事業者が同意をして、
それで作ってから、申請するっていうのが本来あるべき順番です。
で、BWRの場合は、PWRと違って、ないと駄目なんですよ。
ないと駄目なのに、申請する時に、まだ実は固まっていないんです。
それで、そもそも規制委員会っていうのは審査するんでしょうかと。
そこもおかしいんですけども、元々は完成したものを申請して下さいねって事になってるのに、
完成する前に作りますよっていう、設計図だけ。
それもどうするかっていう事も相談しないでですね、どんどん進めちゃって。
で、いざ2007年、2007年の時はですね、これ一体化するから大丈夫ですよという説明で、
あの火災事故のあとの修正作業をやったんですけども、今度は説明が違うんですよ。
「離れていても大丈夫」
いや、離れていても大丈夫だっていっても、より安全を考えれば、一体化しておけばですね、
配管外れないですよねぇ。
岩上氏:
あの、外れて、この離れている事の最大の問題点は、さっきの写真にあったような段差が生じて、
こういう事が、こういう配管が壊れたりするという事が起きたら大変だと。
泉田知事:
そうです。
つまり、フィルタベントの配管外れるって事は生の放射能が出るっていう事ですから、
それは地震を考えれば、一体化して下さいよと。
岩上氏:
そもそも論で、これ見ている人にね、ベントとは何かと。
ベントをする必要性は何かと、
ベントを付けなくちゃいけないっていうのはどういう事なのかっていうのが
まぁ、分かってる人は勿論居るんですけど、分かってない人も居ると思うんです。
ベントの必要性というのは、知事もお認めになっていて、いらっしゃるわけですね。
泉田知事:うん、うん、うん。
岩上氏:で、どうしてベントを付けなければいけないかっという事をちょっと触れて頂けたら。
泉田知事:
まずですね、考え方の問題なんですけども、
福島の事故の本質は何だったのかと、いうとこから説明します。
福島の事故は、津波事故じゃありません。
電源喪失事故でもありません。
これはきっかけでしかないわけです。
岩上氏:きっかけでしかない。
泉田知事:ええ。福島事故の本質っていうのは何かっていうと、冷却材喪失事故なんです。
岩上氏:
冷却材を喪失した事故。
これはつまり冷やす事が出来ない状態になったという事が問題だって事ですね。
泉田知事:
そういう事なんです。
これジェネス(JNES)っていうですね、原子力安全基盤機構っていう所あるんですが、
運転教育ビデオ、訓練用の教育ビデオ作ってるんですけども、
つまり運転員なら、誰でも知ってる事なんですが、
冷却に失敗する、即ち水がですね、抜けてしまうと、いう事になると、
2時間程度でメルトダウンするんです。
岩上氏:なるほど。
泉田知事:
だから冷却材、即ち水等々ですね、冷やす物を、これ燃料に入れて、
常時冷やしておかないとメルトダウンが起きちゃうんです、 2時間で。
で、電源喪失したって別にメルトダウンしないんです。
岩上氏:それだけでは。
泉田知事:
うん。津波が来たってメルトダウンしないんですよ。
津波の水が入れば冷えてますから、メルトダウンしないんです。
津波が来て、電源が止まって、結果として、冷却材の水が抜けちゃって、
冷やすものがなくなったんで溶け落ちたと。
だから、原因が津波であろうと、地震であろうと、テロであろうと、戦争であろうと、
もしかしてロシアみたいに、隕石が近くを通っただけで、物が壊れるっていう事になってるわけで、
なんで壊れるか分からないけど、冷却材を喪失した時に、ちゃんと冷やす事が出来ますかという事。
原子力の安全ていうのはですね、三つの要素で保たれます。
それは、止める、冷やす、閉じ込めるなんです。
もう一回言いますね。
止める、冷やす、閉じ込める、これが本質論なんですよ。
したがって、福島の場合、止めるには成功したんです。
でも、冷やすのに失敗すると、自動的に閉じ込めに失敗して、放射能を大量に飛散して大惨事になる。
岩上氏:なるほど。未だに閉じ込める、成功してないですけどね。
泉田知事:そうそう。未だに…
岩上氏:ダラダラダラダラなってますけど。
泉田知事:
だから、そういう事なんです。
水もそうだし、空気中でもそうなんですが、止める、冷やす、閉じ込めるなんです。
冷やす事に失敗すると、閉じ込めに自動的に失敗して大惨事になる。
これがポイントなんで、冷やす事に失敗した時にどうするんですかというところが…
岩上氏:
冷やす事を絶対やらなきゃいけない。
絶対やらなきゃいけないけど、それに失敗する事はあり得るという事で、
その時どうするかも考えておかなければならないっていう事ですよね。
泉田知事:
そういう事なんです。
因みにですね、今、この日本の環境、そして今や太平洋を心配されてる、世界から、
状況になってるわけですが、この放射能を大量にばら撒いたのは、2号機なんです、
あの爆発していない。
で、何故2号機が大量にばら撒いたのかというと…
岩上氏:イメージとしては、3号機、4号機の爆発のほうが…
泉田知事:1号機ですね。 1号機と3号機が爆発があったんですけど。
岩上氏:そうですね、ごめんなさい。あの、こうした…
泉田知事:4号機もか。
岩上氏:
4号機も。火災で爆発ではないと言ってんですけど、行くと凄いボロボロになってますから、
あれは爆発だと思うんですけど。
泉田知事:爆発ですよ、爆発です。
岩上氏:あのー、一番派手だったのは、やっぱり3号機です。
泉田知事:そうですね。
岩上氏:
まぁ、こうした物に比べると2号機は、一見するとそこまで激しい建屋の破壊もなかったから、
大した事がないように思われがちだけれども、そうではないと。
泉田知事:
そう。2号機が一番大量に放射能ばら撒いた。
その理由は何故かっていうと、格納容器が壊れたからなんです。
格納容器の中に、原子炉が入ってるんです。
格納容器がなんで壊れたのかというと、圧力が高くなったからなんです。
圧力が高くなっていると何が起きるかっていうと、何をイメージしたら良いですかねぇ。
岩上氏:風船がいっぱい、パンパンに…
泉田知事:
風船がパンパンに膨らんでいるところに、更に吹き込もうとすると、なかなか入らないですよねぇ。
中の圧力が高いと、消防車ぐらいの圧力だと水が入らないんです。
だから圧力を下げてやれば、冷やせるのに、圧力が高いから水が入らないと。
格納容器まで上がっちゃってるというと、原子炉容器はもっと上がっちゃってると。
若しくは、原子炉容器に穴が開いて、メルトスルーをしていてですね、
既に役割を果たしていないかどっちかなんですが、
いずれにしても、格納容器がパンパンになってる所はもう水が入らない。
この水を入れる為には、圧力を下げないといけない、だからベントをすると。
岩上氏:ベントというの結局、排気をするという事ですよね。
泉田知事:排気ですね。
岩上氏:
まぁ緩めてやって、そこから排気をする。
但し、その排気する中のねぇ、圧力は下がりますけれども、放射性物質が同時に出てしまうので、
それでフィルターを付けなきゃいけないという議論になってるわけですよね。
泉田知事:
まぁそういう事ですよね。
ただ、アメリカではですね、フィルタベント、これ義務付けじゃないんですよ。
何故かっていうと、もっと早い段階に圧力を下げておけば水が入るんです。
岩上氏:なるほど。
泉田知事:
格納容器からのベントっていう事は、溶け落ちたあとっていう前提なんで、
放射能入りの水蒸気がある前提でしょ。
放射能入りの水蒸気が出来る前に、対応するっていう事はアメリカ決めてるわけですよ。
だから住民が反対してるんです、フィルタベント。
フィルタベントを付けるって事は、放射能撒くって事ですかと、反対ですと。
そんな事にならないように、先に冷やす為に、それぞれアメリカ軍が居てですね、
2時間以内に現場に駆けつけて、どこでテロが起きても冷やすようにしてると。
これ、9.11の時にツインタワーに旅客機の航空機テロありましたよね。
で、あのあと、ペンタゴンにも突っ込みました。
4機目は、ピッツバーグに落ちてるんですが、ホワイトハウスを狙ってたとも言われていて、
これがもし、原発を狙ったらどうするんだと、
いう事は9.11のあと、直ぐ研究が始まったんですよ。
その結果ですね、テロが来ても、航空機テロがあって壊れてもですね、
要は、放射能を飛ばさない為には、冷やせば良いと。
その為の体制を取ったんです。
だから、いざっていう時に、対応取れてるんで、敢えてフィルタベント、
溶け落ちる事を前提にしてですね、作る必要がないっていう発想になってるわけですよね。
だから、日本の場合どういうふうにするんですかと、いう事を議論しないといけなくて、
そのフィルタベントからもですね、1基しかない時、つまり原子炉が一つの原発と、
それから複数ある原発と、同じじゃないですよね。
福島の例見ても、同時にどんどん事故が進展してくっていうふうになると…
岩上氏:
どこか一カ所でも、周囲に大変高濃度の放射性物質が出るような事があると、
もう、ほかの所には駆けつける事も出来ないし、
何もオペレーションする事も出来ないというような事態に陥って、
次々に連鎖的にという事があり得ますよね。
だから、全基とも安全を確保しないと、全部おじゃんになってしまうかもしれないわけで、
これ難しいところですね。
泉田知事:
難しい、まぁ、逆にいっぱいあれば、電気は確保されるっていうメリットがあるっていう話もあって、
これ難しいとこなんですが、日本のですね、今規制の問題は安全規制じゃないっていう事なんです。
日本の規制庁が作ってるのは、あくまでも規制基準なんですよ。
一定の確率で、事故が起きるという前提なんです。
それはそれで正しいんです。
今まで人が作ったのに全く事故が起きませんって、これ嘘吐いてきたわけです。
そういう事をするから、いざ事が起こった時、対応出来なかったわけで、
そうじゃなくって、一定の確率で事故が起きますと、
でも事故が起きた時に、どう対応するか決めてませんっていうのが今の規制基準なんですよ。
規制庁が作っている基準、一言でいうと、原発の性能基準です。
性能基準だから、フィルタベントが要るとか要らないとかって話になってるわけで、
アメリカみたいに、要は冷やせば良いんですねと、いう事で、どう体制を作るかと、
誰がやるんですかと、いざっていう時に、 ジジイの決死隊で行くぞって、
その時に、初めて決めるとか、あり得ないわけで、行く人は全部決まってるわけですよ。
で、放射線レベルが上がっても、物を届ける人、人を助けに行く人、全部決まっていて、
基準値は一応あるんですが、最後基準値を超えてやらないといけない時は、
個人サインが要るんですけども、それでも対応しますと、いう仕組みがあるんですが、
日本の規制基準ていうのは、あくまでも原発の性能基準、
どういう設備を持たすかというだけしかやっていないと、いうところが問題なんです。
で、もう一つ。
岩上氏:
そのもう一つ行く前にちょっと、ちょっと前に戻らせて頂いて、
そのフィルターベントの話なんですけれども、この切断してしまうリスクがあるという事に関してね、
取り分け地盤が違うからこそ、段差が起きたという事を知事は凄くこう、問題にされてますよね。
同じ地盤の上に作る問題というのは、ここちょっと触れて頂くと有り難いんですけど。
泉田知事:
うん。これ建物を一体化しておけば、少なくても地震が来た時は、一緒に揺れるわけですよね。
離しているとどうなるか。
新宿の高層ビルが東日本大震災の時、どうなったかっていうのを映像見られた方多いと思いますけど、
一緒に揺れないでしょ。
ビルは、全部違う揺れをするわけです。
なんで違う揺れをするかっていうと、固有の共振周波数があるから。
だから建物を一体にしとけば、これがっちり繋がって、安全度が高まるわけです。
離しておけば、当然建屋と、それからフィルタベントの施設違えばね、揺れるわけですから、
リスクが高まるわけです。
だから、一体化してくれという事を言ってると。
岩上氏:
これ規制委員会の田中さん、これ面会をね、求めていらっしゃいますけれども、
僕、先ほどちょっと言い間違えちゃいましたが、この田中さんにですね、
記者が記者会見等で質問しているんですね。
その同じ地盤で、同じ地面で、まぁやってくれというふうに知事が要望してますよという事に関して、
それはデザインの問題だと、だから、全然あのー、関係がないというですね、
こういう、ちょっと木で鼻をくくったような回答なんですよ。
デザインの問題だという回答について、どういうふうにお考えになりますか。
泉田知事:今申し上げた懸念は、どういうふうにお答えになるんでしょうかと聞きたいですけどね。
岩上氏:こうやってね、それぞれの建物が違う揺れ方をする事によって。
泉田知事:そう、そう、そう、そう。
岩上氏:それは配管が破綻してしまう可能性。
泉田知事:
それからもう一つ、田中委員長、こういうふうに言われてんですけど、
今回の規制基準は、あくまでも最低限の基準ですと、
より安全性を高める為に、電力会社の努力を促すという、そういう基準でありますと。
より安全性高めるっていう事やらないわけですよねぇ。
その理由を廣瀬社長に聞いたら、経営問題ですっていう事でしょう。
岩上氏:
あー、やっぱり結局は、そこはコストの問題だという事に繋がっていくわけですね。
泉田知事:
だから結局、お金のほうが先だから、早く申請させろ、今までの約束は破りたい、前例も変えたい、
我々お金が掛かってるんで、安全性は後回ししたいっていう事にしかならないんですよね。
岩上氏:なるほど、なるほど。
泉田知事:
汚染水の問題もそうですけど、
これ参議院選挙の前に、濃度が上がってるっていうの分かってましたし。
岩上氏:分かってましたね。
泉田知事:
更に、廣瀬さんのところにも、漏れているっていうのは、分かってたわけですよね。
それにも拘わらず、参議院選挙が終わってから発表したわけです。
どうして直ぐ情報出せなかったのかと、問われてですね、廣瀬社長こう言ったわけですよ。
「311の教訓を学べませんでした」と。
3月11日の教訓を学べない会社が原発を運営する資格あるんでしょうか。
これやっぱり極めて不安ですよ、立地地域としては。
実際問題として、このフィルタベントの設置にすらですね、
これ県からもペーパーで、紙をお出ししてですね、要請してるわけです。
拒否ずっとしてますんで、即ち安全対策に不熱心な会社と。
何故そうなるのかっていうと、
やっぱり廣瀬社長の頭の中の9割は、汚染水問題、賠償問題、廃炉問題、
ここに頭がいっぱいで、原子力発電所の安全対策、分かってないわけですよね。
例を申し上げると、例えば2号機。
何故ね、格納容器が壊れたのでしょうかと。皆さん、分かります?
岩上氏:いやぁー、難しいですよね。
泉田知事:廣瀬社長は、それぐらい答えられないと駄目でしょう。
岩上氏:そうですね。要するに原因が分からないと。
泉田知事:
これね、何故壊れたかっていうと、先ほどのベントの話じゃないんですけど、
圧力が高まって壊れたわけです。
じゃあ、どうして圧力が上がったんですかと。
ベントしようとしてたんだけど、出来なかったんですよ。
何故、ベント失敗したんですかと。
それに対して今度の基準は、どういう対策講じたんですか。
全部答えられない。
岩上氏:これは、答えられないというのは本当に今のところ、究明出来てないという事なんですかね。
泉田知事:
ある程度は、もう少し答えられるんです、本当は技術的には。
社長の頭に入っていない。
という事は、何をして良いかが分からないっていう事でしょう。
岩上氏:
これあのー、記者会見の時にね、定例の記者会見の時に産経新聞が色々と県内の事を
まぁ、アンケート調査して来たんですけど、いかがなものかみたいな質問をした時に、
ベントについて答えられますかと。
それでまぁ、産経新聞の社説か論説とかは、まっ、再稼働いけいけどんどんと。
まぁ、どっちかっていうと知事に批判的な、そういう論調なもんで、
じゃあベントについて答えて下さいと、どうして出来るんですかっつったら分かりませんと、
記者が正直に答えて、社としてご回答下さいというふうに仰ったんですけど、
あれからの話はどうなったんですか。
泉田知事:全くないです。
岩上氏:全くないですか。
泉田知事:
これね、要は人類の英知っていうのは何なのかっていう問題なんです。
複雑な組織、大規模な人員が関わって、それで最先端の技術を運営するっていう代表例でいうと、
原発あるんでしょうけど、やっぱり宇宙開発もありますよね。
アメリカのスペースシャトル計画、これやっぱり大規模なのでミスがありました。
チャレンジャーの爆発事故、コロンビアの空中分解事故ってあったわけですが、
アメリカはどうしたかと、振返って頂きたいんですが、
チャレンジャーの爆発事故は、実はブースターのオーリング。
これガスが抜けないようにする、塞ぐとこなんですが、
これが氷点下に打ち上げを初めてやったもんだから、上手く機能しないで、ガスが漏れて、
メインタンクに引火して爆発しましたと。
原因を突き止めたわけです。
で、それに対して、このオーリングが機能するように、ちゃんと技術的対応をし、
そして、打ち上げの条件を設定し、WARNINGが出てたんですよね。
オーリング大丈夫か、心配であると。
それを無視した組織っていうので、これ最後NASAの長官も首が代わってるんですけども、
人の組織面の改善もやり、ルールも変えてですね、
それで、最後は大統領が国民の皆さん、確かに悲しい事故だったけども、
こういう原因で、こういう対策を取ったんで、我々はもう一回宇宙に、
もう一歩踏み出しましょうっていう事で、了解を得て次のステップに行ったわけです。
ところが原発もですね、もの凄く複雑な組織と多くの人員と最先端の技術が関わっているのに、
事故原因は、何かよく分からないんだけども、人様がやっているような技術的なとこだけ見て、
みんな悪かったねと、さぁ次行きましょうって話でしょう。おかしいんですよ。
どうして1号機は24時間、これ津波が来たのが3月11日の3時35分ないし3時37分どちらかなんですが、
津波が来て全電源喪失するわけです。
先ほど申し上げたように、ほんとであれば、この全電源喪失した時に、
止める、冷やす、閉じ込めるでしょ。
冷やすが出来てるかっていう事を確認すべきなんですよ。
だって、2時間でメルトダウンするっていうのを知ってたわけですから、運転員の皆さんは。
ていう事で、それを確認しませんでした。
若しくは、確認したんだけども、社会的制約でベントが出来なかったのか、
そこ、はっきりして欲しいんですよね。
更にいうと、3月11日の午後5時の段階で、進展予測してます、東電は。
6時には、メルトダウン始まるっていう。
だから、分かってたわけなんですよ。
それなのに、そこ有耶無耶にしてるでしょ。
で、有耶無耶にしてる問題は何かっていうと、私も行政のトップで、
こういう柏崎刈羽の火災事故、経験してるんで気持ちは分かるんですが、
ベントをですね、直ぐ出来るんだろうかと。
つまり、ベントすると放射性物質が出るって事になるでしょう。
住民が避難してるかどうかっていうのをチェックしないで、
ベントの指示を政府が出せるんですかと、いう事になるわけです。
岩上氏:
そうすると、そもそもが、立地のね、状態、そもそものところで、ベントをしてもですね、
ある程度の距離の人たちには迷惑が掛からないように、
もう住む人が住んでいないような状態を作り出しておくとか、
いうような状態でないと話にならないって事ですよね。
泉田知事:
いやぁ、まぁそこまでじゃなくて、まぁ色々あるんですが、
ちょっと話、すみません、続けさせて欲しいんですが、
3月11日の夜半、つまり12日の午前1時に、官房長官記者会見があったんですが、
この時まで、ベントは東電にするなって政府から指示出てるんですよ。
だって、2時間でメルトダウンするのに、夜中の1時まで引っ張ったら、圧力上がっちゃうわけですよね。
圧力上がっちゃうから、ベントがやりにくくなってるんじゃないのと。
つまり、社会的制約と技術的制約がどう絡まっていたのか。
それから、これ東電の技術者の人に聞いたんですけども、
NHKの放送なんかでは、いわゆるブタの鼻から蒸気がモヤモヤっと出てると。
モヤモヤっと出てるんで、動いてると思ったと、錯覚しました、みたいな事で、
実は、訓練してなかったんで、誰も知りませんでしたって放送がなされましたが、
彼らの説明は、座学でどういう状況になるかっていうのは学んでましたって言うんですよ。
という事は、モヤモヤっていうことは、出ていないっていうのが分かってたって事なんですよね。
で、気が付かなかったのか、対応出来なかったのか、
いずれにせよ、24時間で爆発するっていうのは、冷やせば良いのに、
その冷やすっていう作業を積極的に確認しなかったのか、確認したんだけども出来なかったのか、
社会的要因もあるんで、中、行かなくったって、聞けば分かるわけなんですよ。
で、それに対して、じゃあ、どう対応してしたんですかと、いう事についても何ら説明ないでしょう。
で、日本の国際収支が赤字になります、なりませんていう話、
これを立地地域のね、人から見たら、どう見えるかっていう事なんです。
政府は、特に小さいお子さんを持っているお母さん方がどんな心配しているかっていうのに、
思いに致してないんじゃないかと。
田中委員長には、是非聞きたいんですけど、お母さん方、何心配しているかっていうと、
我が子が放射能浴びずに済むんですか、どうですかっていうところを気にしてるんで、
国際収支の赤字がどうのこうのって言われたって、
結局、うちの子は、放射能を浴びちゃって甲状腺癌なるようじゃ困りますよと
いうところを心配してるわけです。
24時間で爆発を防げる対策、どういう事をやったんですかと
いう事を説明する必要ありますよね。
岩上氏:
事故調がありました。事故調についても時々触れられてらっしゃいますけど、
事故調でも総括が出来ていないというふうに仰ってる。
泉田知事:出来てません。
岩上氏:これを、真意をちょっとご説明頂きたい。
泉田知事:
国会事故調、それから政府事故調、民間事故調、東電の事故調査会、色々あるんですけども、
一番客観的にやったっていって、評価高いの国会事故調ですかねぇ。
賛成派も反対派も色々入って、全員サインして、合意した者だけで纏めたというものなんですが、
この国会事故調の報告書に、解明出来てないんで、続けて下さいって書いてあるわけです。
でも、それは国会も引継いでいないし、本来ね、原子力の安全確保に責任を持つ、
これがですね、原子力規制委員会設置法なんですが、
この所掌事務ってあってですね、原子力利用における安全の確保に関する事。
これはですね、原子力規制委員会やらないといけないんです。
そしてもう一つ、原子力利用における安全の確保に関する事項について勧告し、
政府に勧告出来るんです。
ここが原因を調査をして、同じ事を起こしませんよっていう対策を取らなければいけないわけですよね。
だって、アメリカなんてちゃんと原因と対策取って、
それでみんなでどうしますかって相談をして、次に行ってるわけですから。
この原子力事故みたいなね、社会にもの凄く大きな被害を与える事故が起きた時に、
原因もなんかよく分からない、みんな悪かったねで行きましょうと。
これ済まないと思いますよ。
岩上氏:
これは、何故そのような後始末の仕方になっているのか、
そのまぁ、要するに事故が起こった直後からの対応ですね。
東電は、まっ、問題のある企業、非常にこの責任感の足りない企業、説明の不足している企業、
事故原因を突き詰めようと、主体的に究明しようとする意思とか、情熱の欠けてる企業だと。
これはもう、衆目一致するところだと思うんですけれども、
他方、監督する政府にも問題があるんじゃないか。
ただ、保安院が当時監督していたわけですけれども、保安院の中村審議官がですね、
当時、これはメルトダウンが起きてるかもしれないと言った直ぐ直後に、まぁ更迭されて。
泉田知事:そう、そう、そう、そう。
岩上氏:
まぁ、人が替わり、そしてすっとぼけたですね、会見が延々続くんですよ。
それを僕らがその頃からですね、ぶっ通しもう24時間中継を続けながら、
あの人はどこ行ったんだろうと思い、まぁ、3.11の直後の3月12日にはですね、
メルトダウンについての情報をダダ漏れで出してましたから、
政府の言ってる事、東電の言ってる事、それから自分たちが、
例えば、原子力資料情報室の後藤さんが初めて、彼は情報室の人じゃないけれども、
後藤政志さんが初めてですね、カムアウトした時の最初のインタビューを僕はして、出してるんですね。
大混乱の最中ですけど、その中で何万何十万という人が見て下さったわけですけれども、
このあまりにの落差っというのは、今でも鮮烈に覚えてるんですが、
あの時、政府はですね、隠蔽に加担したんじゃないか。
だから、東電の問題もある、だけれども、政府は一体どうしたんだ。
で、政府は手を汚してないのか、誤魔化してないか、ていう問題は凄く大きいんですよね。
泉田知事:
だからこそ、まず東電が証言すべきなんだと思います。
中村幸一郎審議官、12日午前中の記者会見で、
メルトダウンしてると見て良いと言われてますよねぇ。
岩上氏:はい。
泉田知事:
これ、極めて重要な発言だったと思うんです。
それは何故かっていうと、東電の事故進展予測でも、
もう早い段階でメルトダウンするっていうの予測をしていた。
そのほかに、中村審議官がこのメルトダウンしてるとみて良いと言われた根拠があってですね、
それは、燃料棒の中のペレットの中にしか入ってない物質が建屋の外で検出されてるんですよ。
だって、燃料棒の中のペレットの中にしか入っていない物が外に出たら、
メルトダウンしてる以外の理由ないじゃないですか。
だからこそ、東大工学部の原子力工学科卒業なんですよね、中村審議官。
だから、プロの目で見れば、記者から聞かれれば当たり前の事として、
メルトダウンしてると見て良いっていうふうに仰ったと。
問題は、東電の中で誰がこの進展予測、止めたのかと。
東電の説明で、そのあと妙な事ずっと言ってましたよね。
実は私もですね、柏崎刈羽原子力発電所もビデオを公開されたのを見て頂だけば分かる通り、
この対策の中のメンバーとして、入ってたんですよね。
状況を全部知っていたはずなのに、私のところに来て説明したのは、
ジルコニウムは、溶けたかもしれないけど、ペレットは積み重なって、
ちゃんと立ってますって絵描いて、こうなってますっていう説明してったんですよ。
誰が嘘吐けっていうふうに言ったのかっていう事をまず東電が明らかにする責任があると思いますよ。
そうじゃないと、事実が分かってる人がですね、
ジルコニウムは溶けたけど、ペレットはね、縦にずっと健全で残ってますなんていう説明しますか。
メルトダウンしてないっていう説明しようねと、いう事を東電の中で誰か指示したはずなんですよ。
で、実際5月15日の記者会見です、東電が初めてメルトダウンを認めたのは。
でも、ジェネスのね、教育訓練用ビデオ見て貰えば分かるんですが、
どこから溶け始めるかっていうと、熱が集積するんで中心部から溶け始めるんです、
メルトダウンていうのは。
だから、中心部にですね、ペレットが縦にね、ジルコニウムが溶けた状態で、
縦にきれいにだるま落としみたいにね、立ってますなんて言うの恥ずかしくってね、
技術者言えないはずなんですよ。
それを言わせた人は誰なんだと、いう事をまず確定をすると。
岩上氏:誰だと思いますか。
泉田知事:分かりませーん。
岩上氏:
これはしかしね、僕やっぱり、保安院の、あの時のこの首のすげ替え含めてですね、
どう考えても、まぁ勿論、東電の問題あると思うんですけれども、
国はやっぱり、これは東電に、やましいところがあっても東電の責任を追及しないから、
だから、このまま原発がですね、続けていけるように。
まず事故は起こった、非難は浴びるだろう、直ぐ分かりますよね。
だけれども、とにかく原発維持政策は続けていける、
これがとにかく守らなければならない線なんだと、いう事で一貫してやってきてるように
見えるんですけれども、それはいかが思いますか。
泉田知事:ちょっと推測でものを言うのは、ちょっと立場上難しいという事なもんですから。
岩上氏:
例えばね、何故、刑事責任が一切問われないで、こう来てるのか。
その法的な責任とか、刑事責任とかですね、刑事責任というより、
責任というものが問われない状態。
個々人のですよ、その時の経営のトップがですね、いやもう満額で退職金を貰ってですね、
悠々暮してて、そして何の詰問もされないというような状態とか。
これ世界中から、国内外から批判を浴びているけれども、そういう責任をお前ら取らせないよと。
取らせるという事になると、真実を言わなきゃならなくなるから、
あー、だから、まっ、責任問わない状態と。
この状態というのはですね、まっ、警察、検察も含めてですね、結局国策で続けているものを
ストップ掛けられる、で、事態を本当のところを解明するような事は出来ない、やらない、
やらないでおこうと、こういう合意があるように思えるんですけど、いかがですか。
泉田知事:
これ、日本の制度を少し私見直したほうが良いと思っていて、
故意と過失は分けて考えるべきじゃないかと思うんですよ。
例えば、航空機事故が起きた時に、全て刑事責任を問うという事になると、
真実、隠蔽したくなるんですよね。
通常通り操縦をしていたのに、ここの機器があまりにもね、混乱を招くような位置にあったんで、
結果としてミスがあったんだけど、別に飛行機落とそうと思って事故起こしたんじゃないんですと。
でも、ここを改善しないといかん。
これ公共の利益に資するんで、過失でですね、トラブルが起きたというのは、
司法取引で免責にしてですね、真実に迫るという制度、これは必要なんだと思うんですよ。
一方、意図的にですね、嘘を吐くように指示をして、それで、こう事故を拡大させてる、
汚染水の問題を引き起こしてる、これは刑事罰を問うてですね、積極的にやっていくと、
いうような事も必要なんではないかなと。
結局、誰も責任を取らない。で、真実も言わない。
で、原因を有耶無耶。みんな悪かったね、そんなんで、人類これからどうするんですかと。
特に日本のね、エネルギー政策どうするかっていう事を除いてもですね、
世界で既に460基の原発があるんですよ。
で、今の規制委員会の計算だと、1万年に1回メルトダウン。
そもそもね、事故原因を検証総括しないで、なんで、あの事故率計算出来たのか、
これも聞いてるんですが、答えないんですけども。
そういう状況なんですが、 1万年に1回ね、メルトダウン起きるという事になると、
100基あれば、 100年に1回起きるって事でしょう。
400基あれば25年に1回起きるって事になるんですよね。
実際、スリーマイル、チェルノブイリ、福島って見てみると、何か良い数字かもしんないと
いう気はするんですが、福島の経験ていうものを世界が引継がなければ、
400基もあるね、更に増えようとして500基になるっていう時に、
しょっちゅうあっちこっちで事故起こされたんでは、これ地球環境保たないと思うんですよ。
だからこそ、福島は何があったのか。
で、どこが問題だったのか、そういう技術的な事だけじゃなくって、社会的な意思決定の問題。
それから、制度の問題、これも明らかにした上で改善をしないと、
我々人類の子孫っていうのは、本当に生存の危機に直面するんじゃないかと、
いう危機感があるんで、私個人としては、多分ね、こういうなんかみんな、こう流れて行く時に、
寄らば大樹の陰でペタッとくっついたほうが楽なんだと思います。
変なね、批判もされずに、世渡りして行けば良いのかもしれないんだけど、
でも、中越沖地震を経験して、何が起きるか、どこに問題があるか分かってて、黙ったら、
それはそれで問題だという意識があるもんですから、
そもそも知事に立候補した時に、7.13水害ってあったんですよね。
岩上氏:7…
泉田知事:
水害、7.13水害。
三条、長岡、見附、こういった所でですね、大きな水害があったんですけども、
そこの対応が、今一なんで「泉田さん何とかしてくれや」っていうような話もあって、
知事立候補したっていう経緯があって、要は歴史に恥じないね、決断したいよねと、
いう事から今の、に奉職してるっていう経緯もあるもんですから、
自分には損かもしれないけど、分かっている事、問題な事は、
やはり後世にちゃんと伝えていきたいなという気持ちで今喋ってます。
ちょっと逸れちゃったんで。
岩上氏:
いえいえ、あの、大丈夫ですよ。物凄く重要な話でね。
ただあのー、えー、期待がですね、まっ、県内の空気は肌では私は分からないですけれども、
少なくとも県外という、まぁ全国でですね、えー、知事へのですね、この関心、
知事がどうする、しようと思ってるのかっていう事への関心は高まっているし、
そこにはやっぱり期待もですね、込められてると思うんですね。
あのー、今、現状はこの再稼働に向けて、まっ、東電が前へ進もうとしている、
規制委員会が足並みを揃えようとしているとこに、まっ、待ったを掛けてるような感じ。
えー、自分のほうからですね、攻めて出るという感じではなく、
待って、そしてそれに対して、このこれがおかしいんじゃありませんかというふうに、
説いて聞かせている状況だと思うんですよ。
このある種の膠着状態というのが、いつまで続くのか分かりませんけれども、
その状態で良しとお考えなのか、それとも、ご自身のお話こうやって聞いていきますとですね、
もっともっと、この原子力行政、或いは原子力の事業者の経営のあり方、
全部ですね、見直さなくちゃ駄目じゃないかという提言をお持ちですよね。
泉田知事:持ってます、はい。
岩上氏:
その提言を、まっ、こういう機会があるので、まっ、話してるという段階から、
もう一歩も二歩もですね、積極的に提言して行く何か方途をお考えでしょうか。
泉田知事:
あっ、勿論。
実はですね、県の技術委員会においては、福島の事故の検証作業しています。
岩上氏:県として?
泉田知事:
県として。新潟県として、技術委員会を持ってますから。
で、同じ事故当事者の東電の原発がここにあるわけなんですよ。
福島の事故の原因、ほかのね、原発は東電と関係ない会社がやってるんで、
聞いたって何も出て来ないわけですよ。
新潟県だけ唯一なんです。
あと福島県も出来るんだけど、福島県は事故のまさにその当事者ですから、
原発を抱えて、東電と安全性の議論をするのは新潟県しかないんですよ、日本中で。
岩上氏:なるほど。
泉田知事:
したがって、東電からはですね、意思決定の仕組み、制度の問題、これも含めてですね、
お聞きをするという為に、技術委員会動かしてます。
事故原因の検証作業ってやってます。
大体、委員長とも合意が取れたと思いますので、連続シリーズでですね、
皆さん疑問に思ってるところを東電に来て貰って…
岩上氏:委員長もって…
泉田知事:県の技術委員会の委員長。
岩上氏:あっ、技術委員長。田中委員長じゃなくてね。
泉田知事:
京大の先生なんですけど、ここでですね、聞いて頂くという事をやりますんで、
情報を発信していきたいと思います。
岩上氏:あっ、なるほど。
泉田知事:で、それから…
岩上氏:
じゃあ、オープンでその説明会とか、それから、まっ、会見とか、
そういう事が行われるようになるという事ですか。
泉田知事:勿論です、勿論です。
岩上氏:あー、そうですか。それは是非我々も。
泉田知事:
それからですね、これ経営問題でいうと、東電の借り換えがですね、10月に来ますよね。
500億ぐらいだと思うんですが、12月に5千億くらい来るんですか。
そうすると、やっぱり申請しちゃうんじゃないかなぁというところもありますよねぇ。
岩上氏:
東電は、あのー、経営が苦しい、このままでは赤字転落必至だと、
そしたら何とかする為には、柏崎刈羽を動かすんだと、こういう理屈で、
今一生懸命柏崎刈羽再稼働を前のめりと、こういう事が伝えられてますし、
彼らも、まぁ、認めてるところだと思うんですよ。
泉田知事:但し、それは破綻処理の原因にもなり得ると思ってます。
岩上氏:あー、なるほど。
泉田知事:
これ、国費をね、470億、汚染水対策に投入して、東電だけじゃなくて政府が前面に出ると、
これは評価します。でもその時に、今の経営陣で良いんですか。
意思決定をね、つまり安全を蔑ろにして、お金優先にしてる人たちに、相変わらず任せるんですかと。
発送電分離をした上で、分けたほうが良いんじゃないですかと、それぞれ。
送電会社、基幹線送電と、それから配電をする会社、それから発電をする会社。
発電するのも原子力と火力と分けるのか、全部一体にするのか色々選択肢はありますけども、
更に、廃炉プラス補償する会社。
廃炉っていうのは、これ成功して技術を蓄積すると、実は400基500基っていうね、
世界の原発の廃炉作業を全部請け負って、儲かる会社になる可能性だってあるわけだから、
この際にですね、破綻処理をして、体制を、役員を、ちゃんと安全をやる人、
誇りを持って送電出来る人。
それからお客様に喜んで頂く電気ビジネスをやる経営者。
過去のですね、失敗を隠蔽するんじゃなくって、過去の失敗を乗り越えていける体制に
見直してくっていうね、そういうきっかけにすらなる可能性あると思ってるんで、
これは、岩上さんのところもね、是非発信をして頂けたらと。
岩上氏:ええ、勿論。
泉田知事:
いうふうに思います。
で、もう一つ、どうしても言わして頂きたいんですが、柏崎刈羽、
過去の経験に踏まえて対応しないと、大変な事になるっていう事、
これだけは皆さん是非、分かって頂きたいんですが、免震重要棟、これ福島にあって、
ここで、初めて作業出来たって言われてますよねぇ。
岩上氏:はい。
泉田知事:何故、あそこに免震重要棟があったかっていうと…
岩上氏:もう非常に至近距離ですよね。
泉田知事:ええ。
岩上氏:
で、僕もあそこ行きましたから、あの場所がもし確保されてなかったら、
ほんとにコントロール出来なかったなぁってのは、実感持ってよく分かります。
泉田知事:
柏崎刈羽の2007年の火災事故が起きた時に、私実はサイトと連絡取れなかったんです。
なんで取れなかったのかっていうと、ホットラインあるんですよ、県と柏崎刈羽の間に。
ところが、ホットラインのある部屋が、東電のほうね、開かないんです、地震で歪んで。
だから、ホットラインまで辿り着けませんでしたっていう話だったんで、それは困るだろうと。
これね、規制基準でも何でもないんです。
あの時、つい最近規制基準に入れたんですけど、規制基準じゃないんだけど、
ホットライン繋がらなかったんだから、ちゃんと対応してくれよという事でお願いをして、
作って貰ったのが免震重要棟なんです。
で、東電の柏崎刈羽だけに、免震重要棟あるっていうの変だよねという事で、
柏崎刈羽に出来たあとに、福島にも作ったんです。
完成したのが地震の半年前。
だから、あの時…
岩上氏:間一髪ですよね。
泉田知事:
そう。私、あの時も相当言われたんです。
「もう知事、良いじゃないの」と、「ここまで色々言ってるんだから」っていう話はあったんだけど、
だって連絡取れなかったものね、また同じ事が起きたら困るでしょ。
これどうしてもやって貰うっていう事、あの時も頑張ったんです。
で、免震重要棟を作って貰ったから、バランス上福島にもあったと。
もし、あの時私が頑張っていなかったら、どうなってるかっていうと、
ないんですよ、福島に免震重要棟は。
という事は、東京に今人が住めない状況になってた可能性すらあるわけで、
そういう経験もしてるんで、益々ね、どこが悪いかって分かってるのに、
黙れって言われたって、それは人類に対する犯罪じゃないかと、黙る事が。
ていう気に、やっぱりどうしてもなるんで、これは、言うべき事は言わして頂くというつもりです。
岩上氏:
これ、一点ね、あのー、色んなご批判が投げつけられていると思いますけれども、
その多くはですね、まっ、お金の事、金の事全然考えてないじゃないかみたいなお話だと思うんですよ。
まっ、典型的には、さっき産経の名前出しましたけど、
産経新聞系の夕刊フジに出ていた記事なんかで、非常に失礼な、お耳障りだと思いますけど、
この、菅元総理やですね、泉田知事のような素人政治家がですね、口を出す事によって、
ポピュリズムで云々かんぬんで、挙げ句その経営再建に繋がるね、経営状態が悪化してる、
それをその再稼働進めなきゃいけないのに、それを邪魔している、みたいな論調。
これは典型的な論調だと思うんですけど、
こういう事に関して、勿論ご反論あると思うんで、是非、ご反論をですね、
不愉快極まりないかもしれませんが、でも、まぁ一番投げられている批判。
泉田知事:石井さんていう記者ですかね。
岩上氏:ええ、そうですね。
泉田知事:
面白い人だなぁと思って見てます。
実は私ね、彼エネルギー政策に素人が関わるっていうふうに書いてたと思うんですが、
私、エネルギー庁二度勤務してます。エネルギー供給計画にも関与しています。
岩上氏:官僚ですから、通産省の官僚ですからね。
泉田知事:
そうなんですよ。
という事はどういう事かっていうと、エネルギー政策に携わる事で飯を食った人なんです。
普通、ある仕事で飯を食う人をプロっていうと思うんですが、
逆に石井さんっていう素人記者は、エネルギー供給計画の作成にも携わった事ないわけでしょう。
面白い事書く人だなぁと思って、別に言っとけば良いんじゃないですかねぇ。
分かる人は分かりますよ、見たら。ええ。
岩上氏:
なるほど。
これしかし勿論、彼のような記者の一つ一つをね、取り合ってられないって当然なんですけれども、
ただ、明確にしとかなきゃいけないのは、再稼働するという事がね、日本の経済を救うんだと、
或いは、このどんどんどんどんですね、赤字が増えていくばっかりなんだと、
こういう言い方をする人たちは、他方で一つの事故が起きた、その後始末のコストは、
どれだけ莫大なものになっていっているか。
そして、それを出来るだけ圧縮して、小さく見せようとすると、その後追いで、
汚染水の問題のようなものは、どんどん膨らんでいくという事を
全く考慮に入れない議論をしているっていう事ですねぇ。
泉田知事:
あともう一つはですね、この安全対策ちゃんとやる必要がある重大な根拠はですね、
いざ、今日本のメーカーが主要な原子力の部材作る最大の供給者になってるわけですけども、
日本のプラントを輸出して、事故が起きた時どうなるかっていうと、
日本が補償する仕組みになってるんですよね。
で、プラスですね、使用済核燃料をどうするんだと、いうところも問題になるんで。
岩上氏:引取らなきゃいけないかもしれないっていう事ですか。
泉田知事:いやいや、引取る事が前提の契約になるはずです。これからは全部。
岩上氏:
あのベトナムだとか、トルコだとか全世界に今、安倍政権は、もう原発セールスマン宜しく、
売り歩いて行きますけど。
泉田知事:そういう条項が入ってるっていうふうに聞いてます。
岩上氏:これ全然公開されませんよね。明らかにならないですよね。
泉田知事:
いや、出てると思いますけど、皆さんやっぱり伝えてないところあるんじゃ。
だから、いずれにしてもね、安全対策は機械だけ売りゃ良いってもんじゃないんですよ。
制度どうするんだと、人材どうするんだと。
それから、いざっていう時の仕組みどうするんだと。
更に、使用済核燃料どうするのと、いうところもセットでよく考えて行かないと、
後世にツケ残しますよっていう事なんです。
それをやらないで、目の前だけ見れば、極めてね、危険ですよ。
で、目の前の事だけ心配だ、電気料金が心配だっていうんであれば、破綻処理すれば良いんです。
岩上氏:うん。破綻処理。
泉田知事:破綻処理。で、それで、体制、発送電分離。
岩上氏:東電を…うん。これ、国有化するっていう事ですか。
泉田知事:
で、さら、ん、ん、更にいうとですね、今BWR、東電、事故当事者ですから、
それ以外のところは申請してるんだから、東電が申請しなくったって、
結局は、日本の赤字が減ってく効果は同じなんですよ。
東電が先頭になって申請する理由は全くないわけです。
むしろ、東電が今世界に対して、歴史に対して責任を負ってるのは、
自らが何故事故を引き起こしてしまったのか。
それに対して、どう対策を取るべきかっていう事を明らかにするほうがよっぽど価値があると。
そして、未来へのリスクを下げるっていう事になるんで、
東電がやるべき事はですね、汚染水を止める事。
そして、過去の事故を総括、検証をする事。
そして、それに対策を明確に出す事。
何度も言いますが、津波事故でも電源喪失事故でもないんです。
冷却材喪失事故に対して、どう対応するかという事をしっかりやる事が
今、東電が果たすべき最大の責任だと思いますよ。
岩上氏:
なるほど。あのー、知事の一番この仰りたい事は、今お聞き出来たかと思うんですけど、
逆に、あのー、時間もね、結構いってるんですが、
でも、ここから私が、どうしても逆にお聞きしたい事をですね、ちょっとお聞きしたい。
泉田知事:どうぞ。
岩上氏:
お話の中、聞いていくと、この原子力行政のあり方ってのは、
実に、つくづく日本軍によく似ているなと。その、性能って話をしました。
だから、例えばその航空機とか、戦闘機とか、戦艦とかの性能を競う事は、
もう誇らしくやるんですけれども、兵站を考えるとかですね、
或いは、一つの戦闘が思わしくなかった時に、どのように退却し、損耗を減らし、
そして、大局で見て戦略として、勝っていく方法は何かと考えず、
常に個々の戦闘でですね、負けるという事は許さじで、全部玉砕をしていくと。
で、あとの事は、不利な状況に関する想定は一切しない。
まぁ、あとは死ねという話。もうこういう、あとは野となれ山となれ。
でもね、その将軍なり何なりが腹ぐらい切ったって、済む話じゃないんですよ。
彼らがいくら腹を切ったって、どうにもならないわけです。
でも、そういう事をして、それの責任だと言って、国全体を滅ぼしたわけじゃないですか。
泉田知事:仰る通り。
岩上氏:大敗戦したんですよ。
泉田知事:そうなんです。
岩上氏:
大馬鹿な、この大馬鹿野郎な事をやったわけですよ。
で、一旦方向を決めたら全く考えないで、次から次へと。
そして、例えば宣戦と言うんだったらば、宣戦の手続きあるのに、事変でスタートして、
ずーっとやり続けていくというですね、国内にも説明しない、
対戦相手にも説明しない、第三国にも説明しない事を、大馬鹿をずっとやり続けた。
今、本当に同じ事やってるんじゃないかと。
泉田知事:
そう、まさにそうです。保身と責任回避、この連鎖によって日本は一度国滅ぼしたわけですよ。
岩上氏:そうですよね。
泉田知事:
実は私ね、『失敗の本質』っていう本があるんですが、野中郁次郎先生が書かれた本なんですが、
野中先生と共著があるんですけども。
岩上氏:あっ、そうですか。
泉田知事:そうなんです。
岩上氏:今度ちょっと読ませて頂きます。
泉田知事:
ミッドウェー海戦が典型的だと思うんです。
あの時は、日本軍圧倒的有利だったんですよね。
それにも拘わらず、何故大敗北を喫したのかというと、
アメリカは、被弾する事を前提に対策立ててたんです。
日本は、被弾する事を考えてない、攻撃だけ。まさに今岩上さん言われた通りという事で、
ホーネットなんかはですね、被弾していっぱい穴だらけになってるのに、
穴が空いたとこはですね、木を打ち込んで水を止め、火はあっという間に消して、
航空甲板はですね、また綺麗にして、第二次攻撃隊が来た時には、無傷の空母だと
日本に誤解をさせるぐらい、やられる事を前提にした態勢を取ってたんです。
したがってですね、またホーネットを攻撃しちゃったみたいな。
エンタープライズが残って、日本は赤城、加賀、蒼龍、飛龍、全部沈むと。
そこで、戦局が逆転していくっていう事になるわけで、日本にはですね、爆弾一発当たっただけで、
あれは魚雷と爆薬の送艦やってたし、ガソリンが燃えるって事考慮してないもんだから、
一発当たっただけで空母全部使えなくなって、優秀なパイロット全部失って、
あとはもう後退後退後退と。
今の原子力政策が、まさにそれとそっくりになってるんじゃないかと。
岩上氏:
まさかこんな戦争の話も出来る知事だとは知らなかったですから、びっくりしましたけど。
そう、まさに仰る通りですよね。
泉田知事:
それは日本の意思決定の問題なんですよ。
いざっていう時に、この安全神話、原発の安全神話もそうでしょう。
これ、壊れないっていう事をやるから、壊れちゃった時対応出来なかったんですよ。
壊れる事を前提に、どうリカバリーを作ってくか。
過去の教訓をどう伝えていくかと。
戦争を総括しなかったところから同じ問題抱えてると思うんです。
一億総懺悔、そんな事ないですよ。
負けると分かってた戦争決断したのは誰だって、責任者居るわけですよ。
誰が判断誤ったかというところがいるわけですが、そういう事を一切総括せずに、
みんな国民悪かったよねと、いう事で高度経済成長やっちゃったと。
原発政策を同じ事をすると、また第二のバブルの崩壊を原子力政策でやるんじゃないかと。
今度それやったら、ほんとに国滅ぼしますよと。
岩上氏:そうですね。
泉田知事:
で、他国にね、機械性能だけで売りつけて、
いざっていう時どう対応するかっていう制度も作らない、人の育成もしない、
それから原因究明もしない、同じミスまたしましたと、
いう事はね、これはもう人類と歴史に対する犯罪だと思うんで、
それは断固として避けるべきではないかというふうに思います。
岩上氏:
仰る通りだと思います。
で、かつて、ついこないだまで、ねっ、この日本軍の話、旧日本軍の話、
それの失敗のあり方は、まっ、その、戦後ですから今。
だから、あくまでこの経済政策と置き換えて、メタファーとして、かつてのね、失敗について、
我々は学ぶべきではないかって話だったんですけど、今、今日はですね、
もう一回、ほんとに軍事の事を考えなきゃいけないかもしれない時代にやって来てしまった。
えー、実はその、急激にですね、その隣国との緊張が高まってる、高められてる。
わざわざ高めようとしている。
そういう状態の中ですね、50基も、54基っていっても、まぁ50基ですね、50基、
海岸線にずらりと原発を並べてるわけですね。
で、その原発が標的になるという事、これ、あのー、なるかもしれないという、
この可能性について、例えば原子力行政の専門家たち、規制委員会、
ここで話し合われたかというと、チラッと専門会議の中で出た事はあるけれども、
そんな事まで考える事あるんだーと言って、そのまま消えただけで。
泉田知事:思考停止してるんですよね。
岩上氏:
思考停止ですね。
で、我々はとてもじゃないけど、その具体的な現実的な戦争となると、考えられないと。
それは、防衛省がやってくれという話で、考えてないんです。
で、他方ですね、ちょっと資料持って来たんですけれども、
じゃ、防衛省はどうなのかと申し上げますと、これはこれでですね、考えてないんですね。
これ、『ヤマサクラ』というですね、米軍と、それから防衛省の間でのこの作戦計画の
これ、ダーッと、こんなあのー資料なんですね。
で、私が入手した物なんですけれども、これ日付見て頂きたいんですけど、
2011年7月1日、6月30日、つまり3.11の…
泉田知事:あとですね。
岩上氏:
あと。あとで、こういう計画を立てられているんですけれども、
これは、あのー、えー、沢山あるんですけど、パートが。
日本海側から、まっ、現実的には北朝鮮、及びその中国軍がですね、
こう、まぁ第一陣というのは、例えばミサイルとか、空爆ですよね。
それから、次の段階としてこの上陸しようと。
上陸して来る先っていうのは、見て下さい、これ、若狭湾だったりするんですよ、例えば。
こっち側もあっちこっちもポイントありますよ。
それを上陸して来るのをここの水際で迎えを突くんです。
で、つまり若狭湾の原発銀座はですね、敵軍の、まっ、海、空、それから陸上部隊、
これの砲弾や爆撃の雨嵐で、それから迎え撃つ自軍のほう、
これは日本軍と、日本軍っていうか、自衛隊、まっ、国防軍になっちゃうかもしれないけれども、
それと米軍の、これまた迎え撃つ砲弾、爆弾の雨嵐でここで大バトルやるってんです。
これずっと行ってみれば、日本海側がこれからですね、まっ、中国、北朝鮮等々と
緊張の高まっていく、このままずっとエスカレートしていけばですね、
前線なんです、最前線なんですね。
で、こういう事を、原発をそのままにしておきながら、想定してやろうって考えてんのかと。
実際にこれ、あの合同演習なんですよ。
これ、演習計画の物、資料なんですね。だから、考えてるんです。
で、じゃあこれについてですね、アメリカは例えば、アメリカの戦略もあります。
統合エアシー・バトルといって、この中国とアメリカとの間に緊張高まった時に、
どこで戦争やるかって、戦場を日本列島に戦場にしてですね、
アメリカ一回ね、退避して、中国のミサイルを食らったあと、米軍基地なんてやられたあと奪還に来る。
そして、ここで日本列島で猛烈なですね、戦いを、戦場にしてやると。
原発があるんですよっていう事ですよね。
この統合エアシー・バトルを落とし込んで、海上自衛隊の幹部学校の『海幹校戦略研究』という
専門の論文集があるんですけれども、こういうエアシー・バトルの背景といいながら、
それをどうやって落とし込んで自軍のですね、この戦略、戦術にしていくかっていう事の、
まっ、全部計画立てていて、戦争の準備しているわけですよ、はっきり言えば。
三矢研究どころじゃない。
もの凄く分かりやすいぐらいに戦いの準備してんですけど、こん中にですね、読みました。
一行も出て来ないんです。ここがね…
泉田知事:そこがねぇ。
岩上氏:
原発立地で戦うんですよ。
日本海側の海岸線ずらっと並んでるのを、ここに被弾したら大変ですよって、全く出て来ない。
泉田知事:
そこが問題で、凄く不思議なのはですね、
国会で原発に対するテロが起きたらどうするんですかという話、
低強度の侵入も含めてなんですが、あまり聞こえて来ないですよね。
県議会で私も質問受けてるんです。
何故ならば、北朝鮮、具体的に言うと。
金正日政権時代にはですね、日本は38度線で紛争が起きた場合に、後方支援基地になると。
だから、まずここを叩けっていう戦略が立案をされていて、
その攻撃目標が原発になってるんですよね。
岩上氏:まぁ、そうですよね。
泉田知事:
今回の福島の事故っていうのは、原発の弱点を世界中の人に教えてるわけです。
どうすれば良いかっていうと、今から十数年前ですけど、岡山…、広島かな、
高圧鉄塔がボルト抜かれて倒れたっていう事件ありましたよねぇ。
スリーパーが日本国内に潜入していて、いざっていう時に、ボルト抜いて、高圧鉄塔倒して、
電源止めてですよ。
それで、特殊潜航艇に乗って、10人ぐらいのマシンガンで銃武装した特殊部隊が入って来て、
そうすると警官しか居ませんから、警官を射殺をして、プラスチック爆弾で取水口を塞いで、
水を止めてですね、それで、あと非常用発電機止めちゃえば、福島と同じ事が起きるじゃないですかと。
岩上氏:うん、うん、うん。
泉田知事:
実際作戦として立案されてたわけですよ。
これどうするんですかと、いうような事。
これ、ノドンの有効射程距離、半径5kmぐらい。
飽和攻撃で10基も打てば一発ぐらい当たるでしょうという世界で、
そういう事態になった時に、じゃあどうするんですかと。
まさに軍事と裏腹。元々、原子力発電は原子力潜水艦の発電機をおっきくした物が原発なんで。
岩上氏:そうですね。元々軍事技術のスピンアウト商品みたいなもんですからね。
泉田知事:
ええ、ええ、そうなんです。
だから、アメリカは冷却する仕組み持ってるんです。
軍事技術と裏腹。さっきの航空母艦の例と同じで…
岩上氏:ボロボロになった時に、尚完全な…
泉田知事:放射能を浴びないようにする。
岩上氏:ねぇ、敗北を喫しない為の方法とかですね。
泉田知事:
そう、そうです。
空母、それから原子力潜水艦には、被弾する事を想定した対策あるわけなんです。
実際3月11日、クリントン長官は、日本に冷却材を供与すると発表して、
あとで取り消しました、日本側が断ったんで。
で、実際あの時は、横須賀にジョージワシントンがいて、
北朝鮮のミサイル警戒の為に、ロナルドレーガンが展開してたんですよ。
これは、いざっていう時、被弾した時に、空母の原発からですね、
乗組員を守る為の冷却材を持った部隊が居るわけなんですよ。
それを福島に提供していたら、ほんとにこんなに大量の放射能をばら撒く必然性が
あったんでしょうかと、これ疑問なわけですよね。
で、こういったところの意思決定もしっかり検証しないといけないわけで、
東電の買い出し部隊がホームセンターにバッテリー買いに行きましたなんて、
アホな事しなくっても、空母からヘリコプターでですね、冷却材を3月11日の早い段階、
これ米軍はですね、どの段階で、どうメルトダウンが起きるかって分かってるんで、
とにかく、初期段階が勝負だと分かってるプロフェッショナルですよ。
この人たちの助けを何故借りなかったと、いうところ。
それからもう一つ、B5bっていう規定があるんです。
先ほど、テロでね、アメリカが研究したって申し上げましたが、
テロ対策でいざっていう時に、何をしなければいけないかっていうのを定めた規定で、
新規に追加したんです。それがB5bっていう…
岩上氏:規制委員会の。
泉田知事:
NRCですね。ニュークリア・レギュレーション・コミッティー(Nuclear regulation committee)、
アメリカの規制委員会は、あのテロのあとですね、規制強化したんです。
岩上氏:あのテロというのは911の事ですね。
泉田知事:
911。911のテロのあと強化したんです。
もし、それが電力会社に伝わっていたら、対応が違ってたかもしれない。
保安院が止めてたんですよ、原子力安全保安院が。
誰が止めたのかっていうところもやっぱり明らかにする必要あるんだと思うんですよね。
それをしないと、同じ事がまた起きるじゃないかと、いう事になるわけで、
結局、民間事業者向けのね、対応。
この規制っていうのも、十分日本はやらなかった。
それから、その背景も検証していない。
更に、いざね、壊れた時どうするかっていうのも、政府は断った。
あの時アメリカの大使館は、大使ですね、清水社長にも勝俣会長にもアクセスしてるんですよ。
でも、教えられてないから、両者は何言われてるか分からなかったんですよ。
結局、原発を運営する意思決定をする人が、原発を知らないってのは困るっていう事。
で、もう一つ申し上げると、当時ですね、原子力本部長、武藤さんトップでした。
3月11日の当日っていうのは、勝俣会長は中国に居ました。
清水社長は奈良に居ました。
地震でですね、交通アクセスが取れなく、そして電波も電話も掛からない状況で、
指揮出来なかったんですよ。
武藤さんが原子力本部長でトップ、但し副社長。
人事異動の時に、私のところに挨拶に来られました。
なんで、聞きました。
「武藤さん、あなたの一存で海水注入出来ますか」と。
つまり、廃炉になる事を覚悟で、5千億無駄にする決断が副社長に出来るか聞いたわけです。
「出来ません」っていう答えでした。
で、その時に、会長も社長も連絡取れない。
原子力保安委員長が5千億、壊して良いから水入れろっていう指示が出来たのかと、
いう意思決定をいざ事故が起きた時、誰がやるんですかと、いうのも規制委員会の規制と関係なくて、
何も決まってないわけですよ。
こんな状態でね、いざ地震が起きたらどうするんですかと、いざ津波が来てね、
また冷却材喪失事故、起きたらどうするんですか。
全く決めないで、安全だ安全だと。
安全じゃないんです。安全基準というの、嘘ですからね。
あれは規制基準ですから。
規制適合審査しかやってないんで、安全審査なんてやってませんから。
わざと言い換えてる人がいっぱい居ますけども、
そういう状況で本当に責任を果たせるんでしょうかと、いうところは極めて疑問なんで、
田中委員長には、しっかり答えて頂きたいと。
それを書いてるんで、だから会ってくんないと思ってるんです。
岩上氏:なるほど。
泉田知事:答えらんないから。
岩上氏:答えられないから。
泉田知事:
だから、あんたは、勧告権あるでしょうと。
使えば良いじゃないかと。
どうして勧告権使わないんですかと。
やっぱり原子力ムラの尻尾が繋がってますかっていう、そういう事だと思うんですよね。
岩上氏:
今、とにかく情報開示の必要性という事をもうずっと仰られてんですけど、
これまでも情報開示というのが、主体的にもしないし、
そして、それを生かそうともしてこなかったし、
責任を逃れる事や、出来るだけ情報が広まらないように、
つまり、情報をむしろ封殺する方向、方向へと進んできた。
そこに持ってきてですね、今度秘密保護法とかですね、
要するに、これ以上更に行政情報が、行政の持ってる情報、政府の持ってる情報が、
本当にそれは安保上ね、出しちゃいけない機密なのかどうかという事も分からないまま、
検証されないまま、秘密です、秘密です、秘密ですというふうになっていっちゃう。
もっともっと、情報が開示されない社会になってくるかもしれない。
これが、しかも安全保障と関係あると言っている。
更に、この憲法をね、解釈改憲で進めようとしている。
それから、集団的自衛権行使容認だ。
シリアみたいな事があったらば、日本も行こうと、いや、というよりももう、
安保法制懇でですね、シリア行こうっていう話も出ている。
一気に、きな臭くなってってるわけですよ。
これは、もう戦場になるかもしれない。
こんな事言うと、ほんとに物騒で申し訳ないけれども、
でも、防衛大臣がですね、敵基地攻撃論もう言ってるわけですから。
ミサイルを先に、北朝鮮のミサイル、例えば叩こうと。
或いは中国、叩こうと言ってるわけですから、当然報復ありますし、
それが非常に、ここの、まぁ勿論、若狭湾も、あっちもこっちも危険、
東京も危険だろうし、横須賀も沖縄も危険だと思いますけど、
やっぱりここも大変危険だと思うんです。
この軍事的なエスカレーション、そして何やらきな臭くですね、
どんどんどんどん準備が進んで行くような状態。
そして情報は、どんどんどんどん出ない方向に行きそうな事、この辺りに関して。
時間もないので、全部お答え出来きるかどうか分かりませんし、
知事の立場で言う事、これ矩を踰えてる話かもしれませんが、
しかし、やっぱり巻き添えになるのは、それぞれのその立地の現実の人々ですからね。
ちょっとお考えをお聞かせを頂ければと思います。
泉田知事:
これ、申し上げるとですね、秘密だから原因説明しなくて良いって事にならないんだと思うんですよ。
例えば、先ほど宇宙開発の話しましたが、スペースシャトルのですね、ロケット技術っていえば、
これICBMと同じもんですから、当然軍事機密でもあるはずですけども、
でもスペースシャトル計画で、例えばチャレンジャー号の爆発事故起きました。
コロンビア号の空中分解事故起きましたといったら、これ原因ちゃんと究明して明らかにしてますよね。
軍事機密だから言いませんていうのは許されないわけですよ。
原発なんてのは、まさに社会に物凄く大きなインパクトを与えるんで、
それは、法律があろうとなかろうと、必ず説明して頂く必要があると。
で、その時に、私言いたいのは、政府の体制がね、はっきりしてないんです。
誰が安全性、つまりこの規制基準の正当性、私は不正だと思ってますけど、不十分。
これを説明するんですかと。
資源エネルギー庁じゃないんですよね。
経済産業大臣じゃないんですよね。
つまり推進官庁が来てこの基準を安全ですって言ったって、
だ~れもなるほどって溜飲下げないわけですよ。
説明しないといけないのは、誰なんでしょうかと。
規制委員会が自ら作った基準の正当性を説明し、そして、何故事故が起きたのか。
それに対して、どう対応するのか。
この基準を満たすと事故が起きなくなるのか。
この辺のところの説明責任は、やっぱり規制委員会が負ってるとしか私は思えない。
岩上氏:そうですね。
泉田知事:
それは必ずしも今の法律とは関係しない世界で、必ずやって頂く必要があると、
こういう事だと思ってます。
岩上氏:
規制委員会の中で、だから究極その、武力ね、侵攻の、或いは攻防が、戦争が、
こういう事態は、もう想定してません、我々の関係ない事ですと仰ってる。
泉田知事:だから、それがおかしいんです。
岩上氏:これはおかしい。これは、やっぱり考えるべきだと。
泉田知事:
因みにちょっと、今日観られているですね、これオーディエンス、何て言うんですかね、
ラジオだと直ぐリスナーって私言うんだけど。
岩上氏:まぁ、視聴者で結構ですよ。
泉田知事:
あ、ごめんなさい。視聴者の皆さんに申し上げたいんだけど、
アメリカのNRC、原子力規制委員会、これの最適、最大の人的供給源は海軍です。
何故かっていうと、彼らは専門知識を持って、そして組織の統率能力を持ち、且つユーザーなんです。
潜水艦乗ってたり、航空母艦乗ってたりするんで、
いざ何かあった時に、放射能浴びる立場の人なんですよ。
だから、しっかりやるんです。
日本の規制委員会、サプライサイドばっかりやってませんかと。
これ私、委員会出来る時も声を大にして言ったんですが、誰も結局伝えてくれなかったんですが、
地方自治を分かってる人、委員に一人も入れてないでしょ。
放射能を浴びるリスクのある人を入れないね、委員会って何ですか、それはと、
いう事なんだと思います。
したがってですね、NRCは当然色んなね、軍事的リスクっていうのも持ってるし、
だから、原発のセキュリティ、めちゃくちゃ強いわけですよね、テロの対策。
日本は、棍棒を持った民間の警備員が基本的に、まぁ、あと警察官は配属されてますけどね。
というので強化しますって、民間の事業者にやらせたらそうなっちゃうわけですよ。
銃規制、銃を保持出来ないんだから。
アメリカの場合は、元々何が起きるか分からないという世界情勢、安全保障情勢を
理解した人が原子力規制をやってると。
そこに能天気なのか、真面目にやるのかの違いが出て来るっていう事なんじゃないかと思いますけどね。
岩上氏:なるほど、分かりました。あと一点くらいの質問良いですか。大丈夫ですか。
泉田知事:じゃあラストで。
岩上氏:
ラストで、良いですか。
あのー、これもほんとにあのー、地方自治をね、から超えてしまう質問かもしれませんけれども、
先ほどの流れからちょっと出て来る事なんですが、
そもそも原発は、何の為に導入したのかという事ですね。
ほんとに発電の為だったのか。
あの導入時の責任ある政治家、例えば岸さんであるとかですね、そういう人たちははっきりとですね、
国会でもこれはまぁ、将来において、今はともかく、将来においてね、
我が国が核武装する、核兵器をするというね、その選択肢はね、
全く排除されるもんではないというような答弁もしてるし、発言もずっと続いてるわけですね。
で、ここというところ、場面では、保守政治家、或いは官僚からも核保有への意思と、
潜在的認識という事は、表明されてきている。
で、ここへ来てですね、石原さんのような、いやもっとあからさまに、
いや日本は核武装の軍備をするべきだと、原発は推進するべきだと、
何故、原発を推進、維持するのかというと、核技術を温存して、
それを核保有に備える為だ、ていう事をはっきりもう明示して、
そして、それをコソコソ隠すんじゃない、っていうような事を言ったりする。
安倍さんも呼応してですね、ちょっと前にですけれども、
核保有の事を黙ってるんじゃなくてね、そういう事を含めて、
表に出すべきだというような事を言ってたりするわけですよ。
この、何が何でもどう誤魔化しても、それから一般の人たちに、被曝する人々への、
この何ていうのかな、説明責任というものも果たさないででも、
原発というものを続けようとする意思は、根本的には国に、その核兵器として、
核兵器を保有する為の準備としてですね、この原発をね、政策として維持、続行していくんだと、
いう意思があるからじゃないか。
こういう疑いが、やっぱりどんどん濃厚になってきてるんですけれども、
この点について、どういうふうにお考えですか。
泉田知事:
私は、基本的にはアメリカの世界戦略だと思ってます。
米ソ冷戦が始まった時に、核武装競争が始まったわけで、
それで、配備をしないといけない立場に追い込まれたんですよね。
その時に、日本は原爆の被害を受けてますんで、核アレルギーがめちゃくちゃ強かったと、
いう事で、それで平和利用にっていうふうにして、意識を少し改革したいっていうのが、
敗戦国日本に対して、アメリカからのオーダーとしてあったっていうところが
やっぱりスタートラインだったと思うんですよね。
で、結果として、平和利用という形での原子力発電、始まったわけですが、
これって元々、核兵器の展開の為の副産物みたいなものだと。
だから、日本がバックエンドもやってるという事になってるわけで、
日本が主権国家として、ほんとに意思決定出来てんのかどうか、
これ昭和20年以降っていう事を考えると、疑わしいところがやっぱりあってですね、
必ずしも今言われたような日本核武装という事がですね、芯に入ってるかっていうと、
むしろ日米原子力協定、その背後にあった米ソ冷戦、
ここに端を発してるんじゃないかなっていう感じ、私凄く受けてます。
で、その証拠っていうかですね、一つ例を挙げると、これチェルノブイリの例なんですが、
チェルノブイリの事故起きましたよね。
この時、旧ソ連は今の日本よりも遙かに厳格にですね、この放射能からの被害、
軽減する為の措置を科学的に取りました。
5mSvって、一つ、約ね、これ基準になるんですが、
5mSvっていうのは、放射線管理区域の放射線レベルなんです。
ご存じの通り放射線管理区域になると、18歳未満就労禁止です。
したがってですね、この5mSv以上のところ、基本的に人が住めないわけですよ。
で、1~5の、1っていうのは、公衆が被曝して良い年間の1mSv、値なんですが、
1~5の間は、これ選択権、移住権あって、仕事と、それから家とちゃんと提供するんで、
移りたい人はどうぞという形で、住民を守ったという事をやったわけですね。
日本は、これ福島の一番高いところだと、
ひょっとすると20mSvを浴びても、年間ですよ、通算じゃなくて。
そこで子育てしなさいみたいな話になってるわけですよね。
それって、日本全国どこでも5mSvを超えると、18歳未満就労禁止なのに、
ここだけ特別に、20mSvまで毎年被曝して良いんですかと。
そうすると今までの知見は何だったんですかと、いう事になるわけです。
それから、福島の方から私にところに哀願の手紙来るんですけども、
どういう事かっていうと、広島、長崎で被爆された人、累積です。
累積で1mSvを超えると、追加にですよ、1mSvを超えると被爆者手帳貰って医療費タダになるんです。
福島の人は、年間20mSv浴びても、貰えないんですかと。
法の下の平等、正義はこの国にあるんでしょうか。
こういう話がやっぱりね、聞こえて来るわけなんですよね。
で、それをやる為には、多分物凄いコストが掛かる。
だから、事故が起きた時の被害っていうのは、東電や国が取らないで、
現場に押し付けてるんじゃないかと、いう構造になってる。
それが色んな矛盾を今呼んでるんだと思うんですよ。
ソ連は、真面目に対応した結果、何が起きたのかというとですね、もの凄いコストが掛かると。
結局、ソ連崩壊する原因を作ったのが、チェルノブイリの事故じゃないかと言われてる。
それをですね、ゴルバチョフ書記長は、このまんまね、核兵器を大量にアメリカと競って、
作り続けたら、国家が破綻するっていう、その危険を感じたんで、
戦略核削減交渉、ソルト(SALT)っていうのを始めて、SS-20の削減とかですね、やって、
核弾頭を減らしましょうっていう事をやったわけです。
核戦争をやったら、そのあとの放射能処理どうするんですかと、
いう事を想起させたのがチェルノブイリ。
で、それを軍縮まで、結局結び付ける原因になったのが経済なんですよ。
それと同じ事をやっぱり深く議論すべきであって、国際収支の一時的な話だけでは済まないね、
使用済核燃料の話とか、それから、いざ壊れた時の賠償問題。
これは世界に対するね、輸出した時の賠償問題のほかに、
住民に対する補償どうするんですかと、いうところも含めて、ちゃんと制度を作ってから、
初めて議論をしないと、おかしいんではないかと。
新潟県にも物凄く多くの人が避難されてます。
帰る見込みの立たない人も大勢居られます。
それ、なんでそうなるかっていうと、公共補償っていってですね、道路作りますとか、
公共事業やる時には、新たにですね、例えば田んぼ供出したり、牧場出したり、
港を作ってなくなったら、新たに再開出来るだけの再取得の補償するわけですよね。
でも、東電やらないですもん。
テレビの前では、被災者に対して誠心誠意補償しますって言ってたでしょう。
岩上氏:はい。
泉田知事:
でも、いざやると、公共補償やらないんですよ。
現在価値、トラクターもうボロボロだから、これは時価に合すと幾らですねと。
土地の値段も、放射能を撒き散らしたあとの土地の値段で評価するんですよ、
時価ですって言って。おかしいじゃないですか。
岩上氏:下げたのお前だろうって話ですけどね。
泉田知事:
うん、だからそれは、ちゃんともう一回元の生活を取り戻せない状況になってるんです。
そういう人を新潟県人は、見せられてるんですよ、ずっと。
いざとなればね、国も事業者も責任を取らなくって、被害は全部地元の住民になるんですよと。
こんな制度で行くんですかと、いう点も含めて、
一回一から検証した上で、初めて議論じゃないんでしょうか。
岩上氏:
有難うございました。予定時間を大幅にオーバーしてしまいましてですね、
これ以上は、さすがに私もいくら厚かましい私としても質問は出来ないんですけれども、
でも、今ですね、あれも聞きたい、これも聞きたいという気持ち、今ここにいっぱいあります。
また機会を作って下さい、是非。
泉田知事:はい、分かりました。
岩上氏:
続けてですね、あれも聞きたいと、多分向こう側で見ている人も
こんだけお話し出来る知事だったらば、あの事も、この事も、その事も是非お尋ねしたいというのは多分、多くの人に今胸の内にね、沸々溜まってると思いますね。
本当にでも今日は、色々幅広くですね、お話聞かして頂きまして、有難うございました。
泉田知事:今日はこういう機会を頂きまして、大変有難うございました。
岩上氏:
とんでもないです。どうも有難うございました。
という事で、長時間のご視聴の皆さん、どうも有難うございました。
泉田知事:有難うございました。
以上です。
インタビューの内容は、今までの会見等で発言してた事も多かったけど
戦争に関しては、今までも多少は触れてたけど、ここまで深く発言されたのは初めてやと思う。
再稼働問題で、泉田知事の発言が推進派も反対派にも注目され、
メディアは一部分だけ切り取って悪意の見出しを付けたり
発言にわざと誤解を与えるような記事があったりして、推進派のネタにされてるけど
泉田知事は、反原発運動をしてるわけでもないし、そのトップでもない。
当然、新潟県の知事で、会見や議会では、原発問題以外にもさまざまな問題について
質疑応答されてる。
県のトップとしては、当たり前の事なんやけど、原発問題だけに注目されてる事に危機感ある。
この危機感ていうのは、知事を批判してる人、特に支持してる人に対して。
理由は、うまく説明でけへんけど・・・。
ただ、いつも思うのは、常に新潟県民を守るていうスタンス、
そして、新潟県の発展の為にさまざまな企画をしてるていう事、
これは、どんな課題についてもいつもブレてない。
このインタビュー後、岩上氏のツイに
泉田知事、インタビューのあと、「ここまで言ったら危ないかも」と呟いた。「消されたり、自殺したり。でも、僕は自殺しませんから。遺書が残っていても、自殺ではない。もし僕が自殺なんてことになったら、絶対に違うので調べてください」と言われた。そんな物騒なことにならないことを心から祈る。ほんまに、こんな事にならんように祈る!
— 岩上安身 (@iwakamiyasumi) September 7, 2013
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