3/17(月)かんさい情報ネットten ゲキ追
『放射性セシウムに汚染された木くず不法投棄問題は滋賀から他県に飛び火!その真相は?』
ナレーター:
滋賀県高島市の河川敷に放射性セシウムに汚染された木屑、
撤去された今もこの問題は波紋を呼んでいる。
滋賀県だけに留まらず、全国に拡散する汚染、不法投棄の背景をゲキ追した。
中谷しのぶ:
滋賀県高島市に放置されていた放射性セシウムに汚染された木屑、
不法投棄は滋賀県だけに留まらない事が徐々に分かってきました。
問題の背景に何があるのかゲキ追しました。
ナレーター:
今月11日に雪が降り積もった住宅街に住民らが集まり、土壌調査が行われていた。
―高島市の住民
住民1:もう空気のええとこと思って喜んで来たのに、こういう事があって、ちょっと後悔しました。
住民2:
毎日毎日ブルーシート眺めて、凄い憂鬱な気分で生活してたんですけど、
引っ越さなあかんかなてちょっと思ったくらいショックでしたね。
ナレーター:
ここは放射性セシウムに汚染された木屑が発見された河川敷の対岸にあたる。
木屑は今月滋賀県が撤去したものの住民の不安は消えていなかった。
木屑の存在が公表されたのは去年9月、琵琶湖へと注ぐ川に沿って、
500m以上に渡って敷き詰められていた。
その量は、およそ300tにのぼり、最大3,900Bq/kgの放射性セシウムが検出された。
不法投棄の現場となった河川敷の入口は施錠された門で閉ざされている。
管理する滋賀県は、何故鍵を貸したのだろうか。
滋賀県土木交通部河川港湾室 野崎信宏室長:
そもそも河川敷というのは、自由使用が基本になってますので、
誰でも自由に使っていただけるというところが基本です。
そういった中で、行政まで鍵を借りに来るというところで、
一定の抑止力というものを期待して、そんなに厳しくない形で鍵を貸すと。
ナレーター:
これは門の鍵の貸出し記録だ。
去年3月から4月に掛けて同じ人物が繰り返し鍵を借りていた事が分かった。
鍵を借りていた業者に話を聞く為、取材班は滋賀県近江八幡市の建設会社を訪ねた。
取材に応じた社長らは、堆肥を運ぶ作業をAという男から依頼されたと説明した。
木屑を運んだ建設会社の役員:
奥が自分(A氏)の土地、これは道路がデコボコしてるから、水平にならさないかんという事で、
「ここに敷いて下さい」と(説明された)。
ナレーター:しかし、堆肥と聞かされていた物は放射性廃棄物の木屑だった。
木屑を運んだ建設会社の役員:
これはもうむかついてるね。
これはあのね、金でもね、そら十分に貰っとるならともかくね、
一カ月やって45万よ、うち。
これであのね、やれるわけがないでしょ。
「何か良い仕事持ってくるよ」という話があって、この仕事が一番初めかなと思ってやったら、
全然違っとったんやね。
まるっきり騙されたという感じですね。
ナレーター:
社長らが騙されたと主張するA氏とは東京でコンサルティング会社を経営する人物だという。
不法投棄の鍵を握る存在が浮かび上がってきた。
取材班は東京に向かい、A氏の会社が入るビルを訪ねた。
(取材班:会社の名前は書いてないですね)
自宅を訪ねても電話を掛けても応答はなく、A氏に接触する事は出来なかった。
建設会社の社長も現在は連絡が取れていないという。
問題の木屑は、元々福島県の製材業者から排出された物である事が分かった。
カメラによる取材は断られたが、今回の経緯を聞く事が出来た。
放射性物質で汚染された木材の処理に掛かった費用は、東京電力が全額負担する事になっている。
一昨年9月、業者の元にA氏が突然現れ、「東京電力から委託された」と木屑の処理を持ちかけた。
そして、業者は木屑の処理と共に、東京電力への賠償請求や賠償金の受取りを
A氏に託す契約を結んだという。
.福島県では木屑の処理を巡って、ある問題が起きていた。
奥の丸太が樹皮が付いている丸太なんですけども、製材をしたり
或いはチップを生産する為には、手前のように皮を剥いてから製材機に掛けたり
機械に掛けるもんですから、樹皮がこのように滞留してくるんですけど。
ナレーター:この木の皮の処理が進まず、福島県内で8万t以上が行き場を失っている。
宗形芳明専務理事:
震災以後、放射能の影響で樹皮が一番セシウムが降りかかったという事で問題になったわけです。
ナレーター:
一昨年施行された特別措置法では、放射能の濃度によって廃棄物の処理方法が定められた。
1kgあたりのセシウムが8,000Bqを上回る物は、国が責任を持って管理する。
それを下回る物は一般の産業廃棄物と同じように処理出来る事になった。
原発事故前の基準値は100Bq/kg、それが一気に80倍に引き上げられた。
こうして事故の前では考えられないような濃度の汚染物質が
民間の業者の手に委ねられる事になったのだ。
吾妻林業株式会社 吉田芳康工場長:
産廃業者がね、何社か来ました。
その産廃業者っていうのは、このバーク(樹皮)を何とか処理してあげるよっていう
そういう甘い話なんですけど、そういう話を持って何社かうちのほうにも来ました。
ナレーター:
大量の木の皮を抱えて困った状況につけ入り、東京電力の賠償金を狙って、
処理を代行しようとする業者が後を絶たないのだ。
吉田芳康工場長:
まぁ福島県の製材業者全てだと思うんですけど、何とかこのバークを処理しないと
製品の販売も多分出来なくなるっていう、そういう危機感がありまして、
そういう(A氏に委託した業者も)なんか藁をもすがるような気持ちだったと思うんですね。
ナレーター:
取材班は契約にあたって、A氏が作成した書類を入手した。
処理の流れを確認する為、業者から業者へ渡るこの書類には、
廃棄物を排出した業者や処理を行う業者の名前が並ぶ。
しかし、最終処分地として書かれていたのは、東京都中野区、A氏の自宅の住所だった。
東京電力は、何故こんな杜撰な処理計画で事務の代行を認めたのだろうか。
記者A:
処理業者のですね、処理の業者のマニフェストに関してですね、
最終処分地が中野区の民家が記されていまして、そこが今回のコンサル会社の自宅という事で、
そのマニフェスト等について、どのようなチェックが行われているのか。
東電広報部 上島慶信課長:
当局が動いている案件に関しましては、捜査上の問題というふうに考えておりますので、
そちらに関しましては、弊社からの詳細のですね、ご説明は控えさせていただきたいと思っております。
記者B:
警察の捜査が入ってる事に関して、排出者責任というのを御社はどのように考えているんでしょう。
上島:
相当因果関係ですので、そのものがですね、事故による放射性物質の影響なのかどうかと
いう事もですね、当然考慮に入れる必要があるのかなというふうに思っております。
記者B:補助金は出しているけど、処理の方法については関与しないという事でしょうか。
上島:
そこはですね、私たちとしてもしっかりと確認をさせていただいて、
適切な対応をさせていただきたいというふうに思っております。
記者C:
刑事事件が絡んでいたら一切答えられないっていうのは、
極めて公共的な責任の重い企業としては、少しスタンスがおかしいのではと思います。
そういう、いわゆる木で鼻を括るような回答をしないようにしていくのが
今の事故を起こした東京電力としての、やっぱり新しいスタンスじゃないかって
私は思ってるんですけど、なんかこれだと、やっぱり一般の方は
何だろうと思うんですけども、いかがですか。
上島:ご意見として受け止めて参りたいと思います。有難うございます。
記者B:これ以上言っても出ないでしょうからやめますが、ちょっとおかしいと思います。
上島:宜しくお願い致します。
ナレーター:
不法投棄に関わったとされるA氏や業者の下には今月(3/6)、警察の捜索が入った。
だが、この問題は滋賀県だけに留まるものではなかった。
「木屑は鹿児島県にも運ばれた」
ある関係者から得た情報を確認する為、取材班は鹿児島に向かった。
鹿児島市の担当者は、関係者からの通報を元に去年9月、廃棄物処理業者に立入り調査を行っていた。
鹿児島市廃棄物指導課 池福孝明主幹:
どこから来たという事ではなくて、そういう形で色々困ってるので、
一時預かってもらえないだろうかと、中身については木材チップだというような事で
預かったという事でございます。
ナレーター:
その業者はA氏に頼まれ、堆肥製造組合の敷地に木屑が入っていたと思われる大型土嚢袋を
置いていたという。
だが、業者は既に組合から出て行ったと、同じ組合に所属する男性は話した。
堆肥製造組合の男性:
放射能の問題、本人は分かっていたみたいですんでね、
まぁ仮に置いてても問題はございませんという事だったみたいですけど、
不審に思って、これはもう早くどかしてくれっていう事で、
運送屋が来て取りに来たっていうのは聞いておりますねぇ。
ナレーター:
土嚢袋は去年7月頃、再びどこかへ運ばれていったという。
関係者がA氏に斡旋した土地があると聞き、鹿児島市から一時間半ほど離れた大崎町に向かったが…
取材班:この場所のはずなんですが、木屑らしき物は見当たらないですね。
ナレーター:
鹿児島県に持ち込まれた木屑は一体どこへ行ったのか。
先週、山梨県からある発表が舞い込んだ。
─3月14日
山梨県の会見:一つが3,400Bq/kg…
※河口湖畔にセシウム汚染木くず 36立方メートル、許容値上回る濃度
ナレーター:
富士河口湖町の民有地で大型土嚢袋に入った木屑36袋が発見された。
土地の所有者は
「知人に堆肥を置かせて欲しいと言われ、引き受けたが連絡が取れなくなった」
と話しているという。
山梨県は現在、滋賀県に置かれた木屑との関係を調査している。
福島県の製材業者から持ち出された木屑は、数千トンに及ぶといわれる。
これまでに発見されたのは、この数十分の一に過ぎない。
滋賀県は、行政代執行で木屑を撤去した。
─滋賀県議会(3月27日)
議員:
何故、事件は起こったのか、現在チップを撤去している計画実行者とは誰なのか、
全てが県民にとって不透明極まりません。
ナレーター:
県は、撤去した木屑は県外の処分場で処理したと説明しているが、
詳しい情報を公開しない事に議会などから批判が相次いだ。
─滋賀県知事定例会見(2月4日)
嘉田由起子知事:
本当に毎日毎日どれだけ胃を痛めてますか。
国は受入先も何も支持してくれなかった。
排出責任のある東電は知らんぷり。
不法投棄された滋賀県をいっくら非難していただいても、出口がない。
腹立たしいし、辛いですよ。
ナレーター:
産業廃棄物を埋立て処理する最終処分場(滋賀県甲賀市・クリーンセンター滋賀)
8,000Bq以下の放射性廃棄物も、こうした管理型の最終処分場で埋立て処理する。
だが今回、木屑を受入られる処分場は、なかなか見つからなかったという。
嘉田知事:
大変悩みました。
受入れて下さるところは、廃棄物処理法上の法的に認められた方法で、
また、許可も持って処理しているわけですから、決して非合法で処理しているわけではないですね、
それでも、やはり個別の名称が出ると拒否感が高い。
風評被害というものも十分あり得るわけです。
ナレーター:
先月(2月19日)、嘉田知事は環境省を訪れた。
法律上は、一般の処分場で処理できる汚染濃度の廃棄物であっても、
周辺住民の反発や風評被害への懸念から、受入れを断られるケースが多い。
自治体で対応するには限界があると、国の支援を要望したのだ。
嘉田知事:
結局、国も今8,000Bq/kg以上(の廃棄物処理)でかなり手一杯ですね。
なかなか手が回らないというのが実態だと思います。
そういう意味では、自治体と民間にまだまだ課題が付け回しされているという状態だと思いますね。
ナレーター:
国も東京電力も責任を持たない8,000Bq/kg以下の放射性廃棄物。
民間業者の手に委ねられ、不届き者の蔓延る中で、汚染は全国に拡散しているかもしれない。
―スタジオ
清水健:全てを真実に、そして丁寧にしないと、こういった事って絶対に繰り返されると思うんですね。
奥野史子:
今これ見つかってる分は、まだまだ10分の1以下だっていう事でね、
今VTRの中にありましたから、やっぱりそれが今どこにあるのか分からないっていうのは
不安極まりないですよね。
清水:
民間に任せる、それはそれで良いと思うんですよ。
じゃあ、ちゃんと赤星さん、チェックしようよ、どこの民間に行ったか、ぐらい思いますよねぇ。
赤星憲広:
うん、まぁ先ほどのね、東電さんの会見ありましたけど、
彼らは、多分上から言われる事なので、あれだけしか多分突っ込まれても言えないと思うんですけど、
何故そこの確認が出来てないのかっていう、もうそこ問題ですよね。
で、こういう業者、多分いっぱい出て来てると思うんで、
まだまだやってる業者、多分ね、悪徳業者っていうんですか、多分沢山居ると思いますから。
清水:ただ、この問題は、高岡さん、放っておくわけにはいかないです。
高岡達之:
赤星さんが言われたところで、彼は広報の立場で言えないというお話がありますが、
あの質問に答えられないんだったら広報はいらないです。
そもそものところでいきますと、東京電力が金さえ払わなければ、
こんな業者が入ってきて甘い話を撒く必要はないわけで、
東京電力が自己責任できちっと処理さえチェックしておれば、
そもそもこんな業者は金を受け取るチャンスすら、まずないです。
それから、滋賀に関していえば、知事が仰っているように、その名前を出す事で、
非常に滋賀県としては苦労した、大変よく分かります。
よく分かりますが、滋賀の地元の方に、我々の取材に答えていただいたように、
名前は出せない、出せないけれども、滋賀県が責任を持って県外のあるところに
お願いをしたんだという、ご説明を十分されたでしょうかというところに関しては、
私は多少の疑念がやっぱり残ります。
以上です。
※参照
滋賀県鴨川河川敷にセシウム木材を不法投棄した元郵政省官僚
投棄業者が設立した別の会社のサポートリストに滋賀県高島市の琵琶湖名産品振興会
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