2011-06-18

2011年6月15日(水)MBS(毎日放送)ラジオ番組「たね蒔きジャーナル」小出裕章氏が出演

6月15日 急性放射線障害が出る可能性 小出裕章(京大原子炉実験所助教)

DJ:福島原発の作業をされている方の線量計が、事故の直後に大幅に不足するという状況で、
被曝線量を管理するのがずさんだったという情報について、どう感じられますか?

小出:酷いことだと思います。現場が大変混乱していたということなのでしょうが、
線量計が足りないというのであれば、福島第二原発から運ぶ、あるいは柏崎刈羽から
運ぶということもできたはずですので、最低限やるべき処置だったと思いますし、
線量計を持たせないまま作業員に働かせるということは、絶対にあってはならないことだと
私は思います。

DJ:このところ、社員の方で被曝している人や被曝限度の250ミリシーベルトを超えている人が
いるという情報があるが、持たずに入っている時期もあるとなると、この数字というのは
どうかと思いますが、いかがですか?

小出:そういうことですね、持たない間が特に事故の初期で、一番被曝をしていた頃のはずですから、
その頃がないというのは、もう決定的なデータの損失というか、被曝の見逃しに
繋がっていると思います。

DJ:ひょっとすると、もっと大勢の人が限度を超えているということはあるかもしれませんか?

小出:あるかもしれないというよりは、むしろあるだろうと思います。

DJ:こういった方々が出てきますと、どんどん現場を離れなきゃいけない人が
出てきますよね。作業員の人の数というのは、今後足りるんですか?

小出:私は当初から、そのことが心配だとずっとお伝えしてきましたし、
例えばチェルノブイリ原子力発電所の事故の場合には、収束させるまでに
60万人から80万人という軍人や労働者が動員されたのです。
日本で、一体そんなことができるんだろうかと考えると、とてつもなく難しいだろうし、
これから一体どうやって作業員を確保できるか、私は大変不安です。

DJ:一般の人がすぐというわけには、いかないわけですよね?
特殊な知識とか作業技術が必要ですよね?

小出:勿論、そうです。

DJ:一方で、そういった線量を超えてしまった人たちの今後の体調管理は、どういうふうに
していかなきゃいけないんですか?

小出:場合によっては、急性放射線傷害というのが、出る可能性もあると思いますので、
ですから事故が起きた当時に、枝野さんが「直ちに健康に影響はない」という言い方をして、
ずっといたのですけど、直ちに健康に影響が出てくる人たちがいるのかもしれないと
私は思うようになりました。
直ちに影響が出ないにしても、それだけの被曝をしたということは、
かなりの確率で癌になる当たりくじを引いてしまったということになりますので、
今後そういう方々の健康をずっと調査をして、フォローをして、場合によってはきちっと
補償等をするという責任があると思います。

DJ:ずっとっていうと、どれぐらいですか?

小出:何十年という単位です。

DJ:その方の人生ずっとっていうことですよね?

小出:そうです。
いわゆる広島や長崎の被爆者の方と同じような重荷を背負うことになると思います。

DJ:そういった状態になりますと、当然特殊な技能とか知識を持っている方が離れるわけで、
そうなってしまうと、その方々は仕事ができなくなりますよね。
例えば収入とか、今後仕事をどうするとか、ほかの作業の現場とか、あったりしますか?

小出:多分ないだろうと思います。東京電力という、世界でも屈指の企業が、本来であれば、
きちっとそういう人たちに対して、今後の生活の補償をするということは、私は責任があると
思いますけれど、事ここに至ってしまっては、東京電力が何回倒産しても、
購えきれないほどの損害が出てきてしまっているわけです。
一体そういう人たちの生活をどのような形で支えていかれるのかということを
もうこうなった以上は、国として考える以外にないと思います。

DJ:福島市内の子供さん、34000人に線量計を配布することが決まったんですが、
子供さんに線量計を配ることについてどう思われますか?

小出:やらないよりは、やったほうがいいと思います。ただし、配る線量計によるんですが、
おそらくγ線しか感じないものだと思います。
でも、子供というのは、地べたに寝ころぶことだってあるでしょうし、
内部被曝をするわけで、線量計を与えたからといって、彼らの被曝量が正確に測れると思っては
いけません。単なる目安という程度のものに過ぎないというふうに思っていただいて、
それでも福島の子供たちが、どのくらいの被曝をするかということを大人たちがしっかり監視をして、
できる限り守るような方策をこれから考えるというために使うべきだと思います。

DJ:9月から3ヶ月配ってみて、一ヶ月ごとにデータを分析するということについては?

小出:実際には、そういう3万何千人もの子供たちを調べようと思うと、そういう線量計しか
使えないと思います。

DJ:それは、どういう線量計ですか?

小出:多分ガラスバッチか、TLDという名前の線量計だと思いますが、
ひと月なら、ひと月装着させて、それをひと月後に分析に回して、ひと月間の被曝量を知るという
そのような線量計です。

DJ:それは小出先生から見て、精度や機能性はいかがですか?

小出:機能的な面からいえば、大変小さなものですので、子供さんが持つにしても
大して苦痛にはならないと思いますが、先ほど聞いていただいたように、γ線にしか感じません
ですから、地面に寝ころんでβ線の被曝をするとか、内部被曝をしてしまったとか、
そういうものに関しては、殆ど無力だと思わなければいけません。

近藤:持つことによって比較ができるということがあるわけですか?

小出:そうですね。どの都市の子供たちの被曝が多いとか、どこの小学校が多いとか、
その程度のことは分かるだろうと思います。

近藤:それによって安心はできないってことですよね?

小出:勿論、安心はできません。きっと濃淡が出てきてしまうでしょうから、
被曝の多いところで、生活してしまった子供たちに対しては、どうやってそれを低減できるか、
というような方策に使うと、せいぜいそのくらいだと思います。

DJ:東京都内で100カ所、放射線量の測定が始まったというニュースもあり、
地上から5センチの高さと、1メートルの高さで大気中の放射線量を測定しようということで、
100カ所、一週間掛けてということなんですが、
測定するというこが出てきてますが、測る高さも色々あるようですが、いかがですか?

小出:地表5センチと1メートルで計るのは、良いだろうと思います。
できれば子供たちの被曝を知るという意味では、50センチも計ったほうがいいと思いますけれども、
地表に近いところと、1メートルというところは、基本的に必要な測定だと思います。

近藤:100カ所なんですけれども、例えば今でも新宿の数字が出るわけですが、
全国地図の上に落として数字が出てるが、比較して低かったら安心したりするわけですね。
そうすると、100カ所のトータルが、仮に軒並み低かったとしますと、
それ自体で、安全神話がそこからまた生まれたりしますよね。

小出:しますね。

近藤:すると、その100カ所は常に変えていかないと意味がないんじゃないですか?

小出:ただ、定点で観測するということも重要ですので、基本的には人々がたくさんいるとか、
子供たちが集まるとか、そういう場所は必ず必要だと思いますし、
そうでないところは、定点でなくて順番に回っていくというようなこともやったほうが良いだろうと
思います。

DJ:これまでのモニタリングというのは、地上から1.5メートルだったり、80.3メートルという
自治体もあったということなんですが、これについては?

小出:全く馬鹿げたことだと思います。

DJ:どうしてこんなことになってたんですか?

小出:分かりません。地上から80メートルって、一体どんなとこで計ったのかと思いますけど、
高層ビルでやっていたということなんですかね。殆ど意味のないことをやっていたと思います。
東京でもやり始めたという5センチ、1メートル、できれば50センチというところも決めて、
全国でやるという方向でいってほしい思います。

DJ:一般の人でも線量計を手に入れられる状況ですが、何か注意することはありますか?

小出:まず、測定器の性能というのは、大幅に違いますので、ご自分が手に入れた測定器で
計ったところが、小さく出たからと安心してはいけませんし、逆に大きく出たからといって、
その数値だけでビックリしてもいけないと思います。
ですから、その測定器の性能がどういうものかということを、
まず十分に知っていただかなければいけませんし、
いずれにしても、個人で入手できるような測定器というのは、簡易型のものだと思ってください。
ですから値自身にあまり重きを置いてはいけませんし、ご自分で持ったら、
例えば100カ所計ってみて、ここの場所が高い、あるいは低いという、
そういう相対的な比較はできると思いますので、まずそのことからやって、
自分がなるべく被曝を少なくする。子供たちに被曝を少なくさせるという、
その目安に使うというぐらいだと、思っていただくのが良いと思います。


ほんま、全国的にやってほしい!
けど、近藤さんが言うように、低い結果が出たことで、ここは安全♪
とか、また大々的に報道されてもいややな。

0 コメント: