2011-06-15

2011年6月14日(火)、MBS(毎日放送)ラジオの番組「たね蒔きジャーナル」小出裕章氏が出演

6月14日 今は戦争状態だと認識すべき 小出裕章(京大原子炉実験所助教)

DJ:原発事故の影響で、乳牛をすべて処分せざるを得なかった相馬市の酪農家の男性が
自殺したというニュースが伝わってきています。
男性は、「原発がなければ」と書き残しているんですけれども、
このニュースを聞いて、まずどう思われますか?

小出:全く痛ましいことだと思います。でも、その方にとっては、自分が育ててきた家畜、
牛たちは、子供のような存在だったでしょうし、その家畜たちをもう自分の手で、
どうにもできないという事態に追い込まれてしまったわけで、その方だけでなくて、
多分たくさんの酪農家の方たちも同じような思いでいるだろうと思います。

DJ:本当に大変痛ましい話なんですけれども、今日はそのほかに
福島第一原発で、作業員が相次いで250ミリシーベルトを超える被曝をしたと見られる問題で、
厚生労働大臣が、内部被曝の暫定値が100ミリシーベルトを超えた場合、
一時的に作業から外すよう東京電力に指示したことを明らかにしております。
内部被曝だけでも、100ミリシーベルトを超える人が、20人以上も出ているそうなんですが
これを小出さんは、どうご覧になりますか?

小出:元々一般の人々のこれ以上被曝してはいけないという限度は、
一年間に1ミリシーベルトです。
私のようなごく特殊な放射線業務従事者の場合には、
5年間の積算で100ミリシーベルトというのが限度になっています。
ただし、一年間に限っては、50ミリシーベルトまでは仕方がないだろうと
言われてきたわけですが、今回のような事故が起きたら、
とてもそんな基準が守れないということで、元々一回の作業だけに限って、
100ミリシーベルトまで許すというふうに決まっていたのです。
でも、今回の事故は、あまりにも酷すぎるので、その100ミリシーベルトすら守れない。
だから、250ミリシーベルトまで許すと言って、一気に引き上げられてしまったわけで、
それを超えた作業員がたくさん既に生じているということになってしまっているわけです。
被曝の管理というものをもっと本当は厳密にしなければいけなかっただろうと思います。
やはり100ミリを超えてしまった人たちに対しては、
勿論重大な被曝をさせてしまったわけですから、そういう人たちを作業から外すということは
当然の処置だと、私は思います。

DJ:内部被曝というものは、正確に計るのは難しいんですよね?

小出:はい、とても難しいです。でも、今回のような事故になった場合では、
外部被曝よりも、内部被曝のほうが、深刻になるということは、当然予想できますので、
本来であれば、もっと早くから、内部被曝というものを測定して
作業員を守らなければいけなかったと思います。

DJ:福島原発周辺は、線量が高くて、ホールボディーカウンターの数字が
正確に読み取れないということで、4台あるものが、殆どもう使えなくて、
県内にもう2台しかないというのが、現地から届いてるんですが、あまりにも酷いですね。
全国的には、ホールボディーカウンターというのは、集められるんですか?

小出:ホールボディーカウンターといっても、色々な種類がありまして、
簡易型のホールボディーカウンターから、
大がかりで精密な測定ができるホールボディーカウンターまであるんですが、
精密な測定ができるホールボディーカウンターは、大がかりな装置になってしまって
全身が入れるような部屋をすべて鉛で囲うような構造になっています。
ですから、それを移動することは無理だと思います。
簡易型のほうは、勿論そういう構造になっていないわけですけれど、
そのかわり、周辺からの汚染の影響を受けてしまうことになりますので、
どっちも一長一短だと思います。
ただし、各原子力発電所に、それぞれの簡易型の測定器とかが、設置されてるはずで、
もし本当にやる気になれば、それを車か何かに乗せて、汚染の少ない場所まで移動させて、
作業員の人をそこに行ってもらうということは、可能だったでしょうし、
むしろ、やるべきだったと思います。

DJ:3ヶ月経って、やれていないのは驚きですね。

小出:はい、そうなんですけれども、
今は、皆さんが、どこまで深刻に思われてるか、私にはよく分かりませんが、
本当に戦争を起こしているようなことと同じような、非常事態になっていると
私は思います。そのことの認識がまだまだ足りていないということだろうと思っています。

DJ:事故の状態になっていない福島第二原発の話で、津波で入ってきた水が、
発電所内に溜まっていて、放射性物質に汚染されているんですが、
それを海に流すという計画があるんです。
原発が運転されているときと同じくらいまで濃度を下げてから、流すということなんですが
その量は3000トンもあると言われてるんですが、先生はこれをどう受け止めますか?

小出:大変、誤解を招きかねない表現で申し訳ありませんけれど、
そんなことは放っておけばいいと思います。
法令の濃度限度というのは勿論決まっていますし、
それより低い濃度限度まで処置ができるのであれば、
勿論これまでも海に流すことが認められてきたわけです。
既に福島第一原発では、法令の濃度限度の何百倍というような放射性廃液を
もう入れる場所がないからと言って、いきなり1万何千トンも流してしまったという
実績すらあるわけで、法令の限度を守るということであれば、それこそ今の段階で
何の問題もすることはないと思います。
先ほども聞いていただきましたけれど、とてつもない戦争状態なのです。
そういう中で、本当に何が大切なのかということをしっかりと考えていただきたいと思います。

DJ:佐賀県にある松の木の葉からセシウムが検出されたというニュースがあるが
佐賀県は福島から1100キロも離れた場所なんですけども、どうご覧になりますか?

小出:それも私から見れば、当たり前のことです。
もう1100キロだって、大した距離じゃないわけで、米国にも福島原発事故の放射能が
届いているわけですし、ヨーロッパにも届いているわけですし、
あの事故の放射性物質がもう全地球を汚染しているというほどに
もう広がってしまっているわけです。
そういう中で、私たちは生きざるを得ないところに追い込まれてしまっているのです。
3月11日を境に、私たちの世界が変わってしまったということを
皆さんがやっぱり知っていただかなければいけないと思います。

DJ:1100キロも離れた場所から、放射性物質が検出されるのも
それはもうそういう形で出るということが分かっていたという状態だったということですね。

小出:もちろんです。1986年にチェルノブイリというソ連の原発で事故が起きたときも、
8200キロ離れた日本にだって、勿論放射能が飛んできたわけですし、
そのときも全地球に放射能汚染が広がりました。

DJ:驚くべき事ではないということですね。

小出:そうです。

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戦争か・・戦争知らんから、なんとも言えんけど
ほんま、どこまで深刻なんかと思う。
なんでそんな呑気にしてられるんかが不思議!

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