2011.06.14 「発生から3ヶ月。今、もっとも恐ろしいことは何か?」
次の悲劇を防がないといけない 小出裕章(京大原子炉実験所助教)
竹内:40年間原発に反対してきた立場から見て、現在の事態をどうご覧になっていますか?
小出:私は原子力発電所というのは、いつか事故が起きると警告をしてきた人間で、
なんとかこんなことを防ぎたいと思う一心で、今日まで来たのですが、
残念ながら事故が起きてしまいまして、言葉に尽くせず無念に思っています。
竹内:現在の福島第一原発の中というのは、どういう状況になっているんでしょうか?
『原発のウソ』を読んで、実際の発表と専門家の立場との食い違いがあると思った。
小出:分からないのです。
竹内:分からないところが問題なところですか?
小出:勿論なのです。私たちのような人間にとって、一番大切なのは、正確な情報なのです。
その正確なデータに基づいて、判断をして今どういう状況なのかということを
お伝えするのが私の責任だと思っています。
これまでも与えられたデータ、つまり東京電力あるいは国が公表するデータに基づいて、
私は私なりの推測を皆さんにお伝えしてきたのですが、
東京電力の公表するデータが次々と覆されてしまって、何度も変わってしまうのですね。
ですから、私が前に、東京電力のデータに基づいて皆さんにお伝えした推定が
全く違ってしまっていたことも度々ありましたし、
今現在、本当にどうなってるのかということは、私自身よく分からないのです。
竹内:判断材料が足りなかったり、少なかったり、違っていることによって、
専門家の方たちが出す結論も変わってきてしまうということですもんね。
小出:そうです。
竹内:例えば、これまでどういったデータが具体的に足りなかったり、違っていたりしましたか?
小出:一番決定的に、今重要なのは、原子炉の中に本当に水があるのか、ないのかということです。
従来、東京電力は、炉心に半分までまだ水があると言っていたのです。
それを聞いた私は、それなら半分はまだ助かっている。
つまり形があると思っていました。炉心の下半分です。
そして、水がなくなってしまった上半分が溶けて、あるいはグズグズになって
崩れ落ちていると推測していました。でも、その状態であれば、まだ水を入れ続けることで、
原子炉を冷やすことが可能だと思ってきましたので、なんとか水を入れ続けることによって、
炉心の破局的な崩壊を防いでほしいと私は願っていました。
そのためには、外から水を入れて、入れた分だけ溢れさせるという方法は、
いずれ持たなくなるので、循環式の冷却回路を作ることが大切なんだと、
皆さんにお伝えしてきました。
ところが、ある段階で東京電力が測定器の調整をし直した結果、炉心には水が全然ないんだと
言い出したんですね。そうなってしまえば、炉心が溶け落ちてしまうことは当たり前なのであって、
東京電力もメルトダウンという言葉を使って、原子炉が溶けてしまったと認めたのですね。
そのことには実は、二つの意味がありまして、
炉心が溶け落ちるという現象が生じたときに、私自身は水蒸気爆発という現象が起きると
思っていました。その水蒸気爆発が起きてしまうと、圧力容器いう大きな圧力釜が
破壊されるはずだし、それが破壊されてしまうと、その外側にある原子炉格納容器の
放射能を閉じこめる最後の防壁も破壊されると、私は思っていました。
そうなってしまうと、本当に破局的な事態になってしまうので、
なんとかそれを防ぐことが最大の仕事だと思ってきたのです。
ただし、既にもうメルトダウンが起きてしまったと、東京電力が言い出したわけですし、
一方では、水蒸気爆発という私が恐れていた最悪の事態は、事実として起きていなかったので、
最悪のシナリオは回避したということで、ホッと胸をなで下ろしたという側面が一つです。
もう一つは、既に炉心がメルトダウンをしてしまったと認めるのであれば、
原子炉圧力容器も無傷でいられるはずはありません。
結局、底の部分に穴が開いて、溶けた炉心がさらに、下に落ちていくという現象が
起きていると思います。落ちた先は、原子炉格納容器の底なのですが、
そうなってしまうと、多分原子炉格納容器の一部が損傷するだろうと、私は思っています。
コンクリート製の場所もあるし、鋼鉄がむき出しの場所もあるんですが、
おそらく鋼鉄のむき出しの場所が、また溶けてしまって、溶けたウランの塊が外に出て行くと、
そういう事態に既にもうなっている可能性が強いと思います。
神保:圧力容器の中に、なぜか水が残っているかのように、圧力容器の中に水があると
誰も言っていないのに、局が使っている絵では、皆さんそこにあるんだと思ってるということを
番組で指摘させていただきました。
小出:ありがとうございます。
竹内:小出先生がご本の中にも書かれていましたけれども、恐れていた水蒸気爆発を
起こしてしまう事態が回避されて、胸をなで下ろしていると仰いましたけれど、
それはもう可能性はなくなったとして、それを除いて今考えられる最悪の状況というのは、
どういった状況なんですか?
小出:実は、最悪のシナリオが回避されたかどうかも、私は正確には判断できないのです。
要するに、東京電力がただそう言っているというだけであって、
本当に事態がどうなっているのかは、分からないと思っています。
そして、東京電力が水位計というものを調整したのは1号機だけなのであって、
2号機、3号機に関しては、未だに何も分からないという状況なのです。
崎山:まだ中に入れない状況ですからね。
小出:そうですね。水位計の調整自身ができないという、まだそんな状態にあるわけです。
ですから、私が恐れている最悪のシナリオが回避できたというふうに、
勿論言いたいですけれども、そこまで断言できる自信がありません。
1号機に関しては、今聞いていただいたように、もし東京電力の言っていることが正しければ、
炉心が溶け落ちて、既に格納容器の底に落ちているわけですが、
そのときに私は、格納容器自身が損傷を受けていると言っているわけです。
もしそうなってしまうと、もう炉心を冷却するということはできません。
ですから、東京電力が示したような炉心を冷却する、冷温停止するというようなことは、
もう全くできないという状況に、既に追い込まれているということになりまして、
私はもうそうなってしまえば、原子炉建屋全体を覆うような仕組みを作るという方向に
転換しなければいけないと思います。
崎山:それは、チェルノブイリのときの石棺と同じような考え方でいいですか?
小出:そうです。仰る通りです。
ただし福島の場合には、溶け落ちた燃料が地下に落ちていくはずですので、
原子炉建屋の周辺に、かなり深い深さまで、炉心が地下水に接触できないような壁を作る必要が
私はあると思います。
とりあえず、地下水を防げればいいので、コンクリでもいいと思いますが、
5メートルとか、10メートルの深さの壁を全部の周りに作る必要があるだろうし、
すぐに方針を転換して、そういう方向でいくべきだと思います。
竹内:それはスピードを争いますか?
小出:勿論です。もうどこまで落ちていっているか、今私には分かりませんし、
多分、東京電力も国も分かっていないと思いますが、地下水に接触してしまいますと、
汚染がどんどん広がりますし、海へ出て行く放射能の流出を防げなくなりますので。
崎山:これまで77万テラベクレルとか言われてますけども、
海に流れている放射性物質の数は入れてないんですよね。
小出:そうです、その通りです。
神保:最悪のシナリオという、水蒸気爆発は避けられたんですが、
未だにまだ漏れ続けている状態で、爆発はしていないけど、
逆に福島原発周辺は、高濃度の汚染になってしまっていますよね。
これは、本当に爆発しなかったから、こっちのほうが良かったんだと、
最後には言えるのか心配なんですが、いかがでしょうか?
小出:勿論、心配です。
環境に漏れていく放射能の総量が、どっちが多いのかと言われると、
私にもよく分かりません。ただし、爆発をして、空気中にまき散らされるということは、
やはり日本という国に生きている人間、あるいは周辺に生きている人々にとっては、
やはり一番大変だろうと思います。こういうふうに漏れていってくれるならば、
比較の問題ですけれども、まだ幾分有り難いと思います。
神保:周辺であれば、避難もできるということですよね?
小出:そうです。要するに海が汚されるわけで、海の生き物はものすごい大変ですし、
海産物の汚染もものすごく大変なことになると思いますけれども、
土地、陸上の汚染は避けられるということですから、
避難をしなければいけない、ふるさとを奪われる人たちの苦痛というのは、
かなり軽減されるはずだと私は思います。
竹内:全部をコンクリートで覆ったり、これ以上広がらないように地下も覆うというふうに、
仰っていましたけれど、今まで漏れてしまったものは仕方ないとしても、
それ以上の被害を食い止めるためには、先生の方法がベストだとお考えなんですよね?
小出:ただ、東京電力が今言っているように、既に原子炉がメルトダウンしているというならば、
それが最前のやり方だと思います。
竹内:実際、分からないと議論は難しいですね。
そうだったとした場合に、その方向にいきそうなんですか?
それとも、できない理由というのがあるんでしょうか?
小出:残念ながら、今の東京電力、あるいは政府のやり方というのは、全く混乱しているし、
この戦争のような状態の中で、一体誰がどういう指揮を取っているのかということが、
私には大変不安なのです。もう一刻を争うような事態ですし、
なんでもかんでもできるということは、もうあり得ないのです。
できる最前のことを一つしかできないという、そこまで来ているわけですから、
そういう決断をやってほしいと願いながら、ここまで来ましたが、
残念ながら、今はそうなっていません。
竹内:まだ伝わっていない、それとも伝えていない、公開していないのか、
専門家も、中にいる人たちも分からない部分もあるのかっていうところも
依然として釈然としないところでありますよね。
小出:そうです。
神保:3月11日以降、ここまで至ってしまった原因というのをどう見ていますか?
色々経緯聞いてみると、もっと幾らでもこういうことができたんじゃないかと思いますが、
なぜここまで、事態が来てしまったのか、原因についてのお考えは?
小出:端的に言えば、油断なのですね。
原子力発電所がこのような事故を起こすなどということは、原子力を推進してきた人は
多分、思ってもいなかっただろうと思います。ですから、彼らに言わせれば、
いわゆる想定外だったという、言い訳しか多分出てこないはずだと思いますし、
起きてしまえば、起きてしまった後のことは何も準備もしていなかったわけで、
次から次へと事態が悪化していく中で、常に後手後手に回ってしまうということで、
ここまで来たと思います。
神保:安全神話を信じていたから、そういう措置を十分にあらかじめ取らなかったのか、
それとも、自分たちが安全と言ってきている手前、危険を前提とする対応が
しにくかったからできなかったのか、よく見えないところがあるんですけど。
小出:両方だと思います。要するに、原子力発電所は絶対に安全というようなことは、
どなたにとっても、あり得ないと分かっていただけるものだと思いますが、
でも、滅多に起こらないだろうというふうに、多分原子力を進めてきた人は思っていたと
思います。ですから、自分が生きている間、あるいは原子力に関わっている間には、
多分起きないでくれるはずだというぐらいには、思っていたはずですし、
起きた場合の対策ということに関しては、殆ど誰一人として、考えてこなかったと思います。
咲山:その辺は、原子力安全委員会の人たちの発言でも、似たような発言を聞くことがある。
起こるはずがないと思っていたと。
小出:そうです。
咲山:結局、原子力安全委員会というのは、ダブルチェックのために、導入された機関なのに、
ダブルチェックの意味が全くなかったということですよね。
小出:そうです。
竹内:福島第一原発以外の原発を止めるか、止めないかという話がありますよね。
ドイツでも脱原発を目指して、イタリアでも国民投票がありましたが、
もし全部止めてしまったら、足りなくなったり、日本全体の経済が停滞してしまうとか、
思いこんでいたんですが、先生のご本を読んで、例え全部止めたとしても、脱原発をしても、
それはそれで可能な道があると分かったんですけれども。
ほかの国ではやはり、福島第一原発の事故は、なんらかの影響があったけれども、
それが起きた日本だったら、もっと影響力があってもいいんじゃないかと思ったんですけれども。
咲山:6月11日土曜日、原発を止めようというデモや集会が、東京電力本店はじめ、
全国各地であって、小出先生も神戸で公演をしたり、集会に参加したりしたと聞きましたが、
原発のない社会を求める声というのは、大きくなっていると感じられますか?
小出:感じました。
私は、40年前から原発を廃絶させたいと発言を始めた人間ですけれども、
40年前は、本当に孤立していました。
日本中が諸手を挙げて、政府は勿論、電力会社もそうだし、マスコミもそうだし、
殆どの日本人たちは、これからは原子力の時代だと思っていたわけで、
私の意見など誰も聞いてくれないという時代でした。
あるときから、労働組合を中心とする人々、あるいは原子力発電所を押しつけられてしまった
地域の人たちが、原子力はおかしいという発言を出してくれるようになりましたけれど、
本当に小さな、質素な声でしかありませんでした。
それらは、何か組織されなければ、声すら上げられないという状況が続いてきたが、
最近になって、そういう組織とは全く離れた一人一人の人たちが、自発的な声を発するように
なってきたと私には感じられますので、かなり質的な転換を今しているのではないかと
思うようになりました。
竹内:原発の専門家以外の人や、違う哲学者や技術者だったり、色んな人が加わる必要があるという
解釈をしたんですが、先生が仰りたいことは、そういうことですか?
小出:ありがとうございます。その通りです。
神保:小出先生は、電気を使わない生活をされているということですが、
原発に反対されているという以上、原発で作った電気を平気で使い放題して、
原発反対というのは、通らないということから、そういうライフスタイルをされているんですか?
小出:勿論、それもありますけれども、元々電気なんて、使う必要がなければ、
使わなければいいだけなんですね。使えるから幾らでも使うというような、
そういうことはやっぱり間違えてるし、どんなことでも、環境に影響を及ぼすわけですから、
自分にとって何が大切なのか、本当にこれが必要なのかということを
すべての皆さんが考えながら生きるべきだと、私は思います。
竹内:福島第一原発に絡んで、先生はここから先、何が一番恐ろしいですか?
小出:私は子供たちが被曝することです。
今大変な汚染が福島原発周辺で起こっているわけで、一部の人たちはどうにもならないで、
避難をさせされてしまっていて、多分その方々は二度と自宅、あるいは自分のふるさとに
帰れないと思います。でも、避難をさせられていない地域でも、
私からすれば、もう想像を絶するほどの汚染なのです。
そういうところで、子供たちが今でも生きていて、被曝をさせられ続けているということは、
私にとっては、もう到底許せないことだし、なんとか子供たちを被曝から守るということを
やらなければいけないと思います。
竹内:回避しなければいけないのに、間違った方向で、パニックや風評被害を防ぐためとか、
小さく伝えられがちなんじゃないかという印象を受けるんですが。
小出:仰るとおりです。もう風評被害ではないのです。
現に汚染が起きているわけだし、そこで子供たちも被曝をさせられてるし、
食べ物だって、たくさん汚染されているのです。
私は食べ物自体に対しては、汚染を規制しろなどという主張は、一度もしたことはありません。
ちゃんと農業を守るために、ちゃんと流通もさせなければいけないし、
原子力をここまで許してきた日本人の大人は、それを責任をとってそれは食べるべきだと
私は主張しているのですが、でも汚染はもう既にしているのであって、
汚染をしていなくて、風評被害だなんてことはないのです。
神保:40年間ずっと反対されてきて、事故が起きるまでというのは、
ある意味では、先生のメッセージというのは、異端扱いを受けてきたんじゃないかと
思うんですけど、結果的に先生が警鐘を鳴らしてきたことが起きて、
起きたが故に、今先生の主張というのが、メインストリームになっているわけですが
先生としては、恐れていたことが起きているわけですけれど、
自分の言ってたことが正しかったということが、
同時に証明されていますが、先生はどう受け止められますか?
小出:全く嬉しくありません。
私は40年間、敗北を続けてきて、次々と原子力発電所を作られてしまったわけですが、
私が戦ってきたのは、こんな事故を起こさないようにしようと思ってきたわけです。
ただし、今回の事故で、最終的な決定的な敗北をしたということだと思います。
咲山:それでも訴え続けていくというのは、それはどういう気持ちからですか?
小出:次の悲劇は、やはり防げなければいけないと思います。
これで日本人が気がつかなければ、本当に愚かな国民だと思いますけれども、
なんとか今回のことを学んで、原子力発電所というものを廃絶してほしいと願いますし、
それができるまでは、やはり私は発言を続けなければいけないんだろうと思います。
----以上
竹内!喋るの下手すぎるヽ(`Д´)ノ
話したいこと、質問したいこと、ちゃんとまとめとけ!(;・∀・)
毎日放送のほうが聞きやすい☆
陸地の汚染か、海の汚染・・・
どちらがマシとかみたいな発言には、?やな。
それと、大人が責任もって食べるってのも。
現実的には難しいと思うけどな。
大人だけが汚染されたものを頑張って食べて、
きれいなものだけを子供に食べさせる。
それは、流通を止めないためやとしても、
食べ続けた大人がいつか体調を崩すことになれば
その親の子供はどうなるんやろか?
それと、汚染された農産物・海産物とかを食べてもらうことが
生産者の望むことなんやろか?
それと、大人が食べるということは、既に被曝してる大人、避難してる大人も
さらに被曝させることにもなるよなあ。
多分、小出先生は、そういう意味で言うてるわけやないんかもやけど、
汚染された農産物、海産物は、すべて加害者が買い取ればええと思うけどな。
脱原発言うてる人の中に、小出先生みたいなライフスタイルにしてる人って
どれぐらい居るんやろ?
原発を反対しながら、冷暖房ガンガンの中で、パソコンしたり、
パソコンしながらテレビ見たり、ラジオ聞いたり
携帯電話もバンバン使てるのが現状やもんな。
いっそのこと、テレビもラジオも緊急以外は、休日作るとか、5時間ぐらい止めるとか
してもええんちゃうんかな?
携帯もソーラーにするとか、電気やなくても充電できるタイプに製造したらええんちゃうん!
まぁ、うちは原発賛成やないし、なくてもいけそうやから、なくしたらええと思うけど、
今は、とにかく除染してほしい。
これ以上広がらんように!
いや、もう既に広まってるから、さらに増えんようにやな!
それと、海には絶対に流さんといてほしい!
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