6月13日放射性物質その物自体消えることは無い 小出裕章(京大原子炉実験所助教)
DJ:福島第一原発の事故で、水道水から放射性物質が検出された問題で
厚生労働省の検討会が、新たな大量の放射性物質の放出がなければ、
今後、水道水の安全性に問題が生じるおそれは少ないとする報告書を
まとめたということなんです。
これから、いわゆる水道水は安全であるということなんですが、
半減期30年の放射性セシウムの影響が心配されていたんですが、
今の浄水処理で、除去することができるということになったんですが、
これは大丈夫になんでしょうか?
小出:放射線の被曝というものに関しては、安全とか大丈夫とかいう言葉を
使わないでいただきたいと、私は思います。
国のほうで決めた基準値があるわけですけども、基準値より上だから直ちに危険になって、
基準値より下になったから、直ちに安全になるというようなものではありません。
被曝はどんなレベルでも危険だというふうに、まずは思わなければいけないと思います。
ただ、今回の事故の場合には、3月中頃に大量の放射能が出てきて、それによって水道水も
汚れたわけです。今後、大量の放射能が出ないようなことにおさまってくれるなら、
3月の中頃にあったような酷い汚染は多分ないという、そういうことです。
DJ:今梅雨の時期ですので、雨で放射性セシウムが川に流れ込んで、
濃縮するということは考えられませんか?
小出:ありますけれども、原子力発電所から、セシウム、ストロンチウムが
大量に出たのが、3月の中頃なんですね。
爆発が何度も起きたという頃に大量に出まして、東京周辺も汚染をされたわけですけれども、
これからもし、大気中への大量の放射能の放出がないということをできるのであれば、
水道水が今まで以上に汚染する可能性は、多分ないと思います。
ただ、それは安全とは違います。
DJ:浄水処理で放射性セシウムを除去できるというふうに、
厚生労働省は言ってるんですけども、これは沈殿させるということだと思うんですが、
沈殿した泥は、放射性物質で汚染されたままなんですよね?
小出:そうです。
今度は汚泥のほうに、セシウムがいきますので、それをどうするかということが問題になります。
DJ:今、原発の汚染水についても最大の問題だと言われてますけども、
汚染水の処理システムが、まもなく稼働すると言われてるんですが、
ここでも放射性物質の入った泥が出ることになりますよね?
小出:そうです。いずれにしても、放射性物質そのもの自体は、決して消えませんので、
どっかに移すという以外にないんですね。ですから、汚れた水をきれいにしようとすれば、
放射性物質自体は、別のところへ移して取るしかないということになりますので、
じゃ取っちゃったものは、一体どうするのかということが次の課題になります。
DJ:取ると言いましても、この汚染水から集められた放射性物質の泥って、
1立方センチ当たり1億ベクレルということなんですが、
これは人の体にどれくらいの影響がある放射線量なんでしょう?
小出:それは、そこに近づいたらば、すぐに急性の症状が出るというぐらいの放射性物質です。
DJ:それが、汚染水の処理で、25メートルプールで、4杯から5杯分は、
これから出てくるということなんですが。
小出:そうです。どんどんこれから出てきてしまうわけです。
DJ:でも、東京電力は集中廃棄物処理施設の一部に保管する方針だということなんですが、
それできちんとした保管をずっと続けていくということは、できないですよね?
小出:勿論、できないです。これから何十年、何百年という長さで、きちんと保管を
しなければいけないわけで、今暫定的に、集中廃棄物処理建屋に移動したとしても、
それで終わりではありません。これから本当にどうするのかという長い長い仕事が残っています。
DJ:少なくとも何十年、何百年という単位で、汚泥は保管していかなきゃいけないわけですよね?
小出:そうです。
DJ:気の遠くなるような話なんですが。
小出:そうですね。
DJ:ヨーロッパのドイツが脱原発を表明したんですが、
イタリアでも福島の原発事故以降、世界初の国民投票による国民審判で、
原発を拒絶する可能性が、非常に高くなっているという状況なんですけれども、
小出さんは、この動きをどうご覧になりますか?
小出:嬉しいです。
DJ:やはり、そういう動きがヨーロッパでも大きく起きてきたというところですよね?
小出:はい。
DJ:ドイツ、イタリア、スイスでも動きが出ているということなんですけれども。
DJ:週末に全国で大きな反原発の運動があって、先生も神戸のほうに、お出掛けのときに
先生が登場した途端に、ものすごい大きな拍手で、手応えみたいな、いわゆる反原発、脱原発への
一般市民の方々の思いっていうのは、もろに感じられますか?
小出:私は40年前から、原子力を廃絶したいと思ってきた人間ですけれども、
これまで結局できないまま、福島原発の事故を防げないまま、今に至っているわけですから、
あんまりなんか、楽観的な見通しをとりたくないのですけれども、
何か、確かに違ってきているというふうには思います。
今までは、労働組合の運動とか、組織の運動があった。ずっと続いてきて、勿論有り難いことだと
思ってきましたけれども、そうではなくて、先週末の集会でも、本当にこの人たちはどうやって
この場に来たのだろうかと思うように、一人一人が自立して、選択してくれてその場にいると
いうことをとても私は新鮮に思いましたし、有り難いことだと思います。
DJ:福島県の大熊町で、微量のキュリウムという物質が検出されたというニュースが
今日伝えられてるんですが、キュリウムというのは、どんな物質なんでしょうか?
小出:私たちは、超ウラン元素と呼ぶ一群の放射性核種のうちの一つです。
ウランが中性子を吸収すると、まずプルトニウムになるんですけれども、
そのプルトニウムが、また中性子を吸収すると、キュリウムになるというふうに、
次々と新しい原子核ができていくのです。
ですから、使用済燃料の中に溜まっていた、かなり出にくい放射能、揮発しにくいし、
水にも溶けにくいという、そういうものまでが、
既に環境に出てきてしまっているということを示しています。
DJ:かなり出にくい放射性物質が、もう環境に出ているということを
示しているというのが、このキュリウムなわけですか?
小出:そうです。
消えるわけちゃうねんから、早よ除染してくれーー!
このままやったら、関西もヤバイやん!
目に見えたらええのにな!
見えたら、誰も呑気なこと言えんのに!
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